(朝日新聞 2026/01/15)
 三重県の一見勝之知事が外国籍職員の採用を見直す方針を表明したことについて、大阪を拠点とする在日コリアンの団体と弁護士有志が15日、共同で記者会見を開いた。「社会に広がりつつある排外主義に、迎合するものだ」などと抗議し、方針の撤回を求めた

 NPO法人「コリアNGOセンター」の郭辰雄(カクチヌン)・代表理事と、「STOP排外主義!近畿弁護士有志の会」を結成した弘川欣絵弁護士らが、大阪弁護士会館で会見した。

 両団体はそれぞれ、一見知事らに声明文を送ったという

 「驚きと怒り。こんなことが起きるのかと」。郭さんはニュースに接した時の心境を、そう話した。

 在日外国人の就職を巡っては、1970年に当時19歳だった在日2世が、韓国籍を理由に採用を取り消されたとして日立製作所を訴え、勝訴。地方公務員の事務職も一般市で国籍要件の撤廃が広がり、政令指定市では96年に川崎市が撤廃した。三重県も99年から、大半の職種で国籍にかかわらず受験できる

 郭さんは「多くの在日外国人と日本の市民が差別をなくそうと取り組んできた、長年の歴史の蓄積を真っ向から否定している」と述べた。さらに「自治体の首長による『外国人は公的な所から排除しても構わない』というメッセージで、外国人に対する危惧やリスク意識を喚起させ、ひいては憎悪をあおる発言。他府県にも影響しかねない危険なものだ」と、非難した

 弘川弁護士は、外国人が家族で滞在できる資格を政府が拡大してきたことに触れ、「この国を故郷として暮らす外国籍の子供たちが増えていくのに、職業選択が阻まれるというのは本当に悲しい」と話した。

 三重県は県民アンケートの結果も踏まえて検討するとしているが、当事者らが対象から除かれていることや、「安易な多数決」を参考にすることについても、弁護士らは抗議している。

 一見知事は見直しの理由に、個人情報流出への懸念などを挙げている。 三重県の方針については、同県内の自治体や、全国の団体からも抗議などが相次いでいる。(浅倉拓也)