(朝日新聞 2026/01/15)
高市首相と韓国の李在明(イジェミョン)大統領が、首相の地元の奈良県で会談し、重要物資のサプライチェーン(供給網)の強化など、経済安全保障分野での協力などで一致した。歴史や領土をめぐる火種を抱える両国だが、「実利」重視で、結束をアピールした形だ。
両氏の会談は、昨年10月の韓国・慶州に続き2回目。首脳が相互に訪問し合う「シャトル外交」の継続も確認。日韓のみならず、日韓米の安全保障協力の重要性を議論したのは、トランプ米大統領が西半球での権益確保を重視するなか、ともにアジア太平洋地域への関与を求め続ける立場を踏まえたものだろう。
中国にどう向き合うかも、両国に共通する課題だ。
日本は、台湾有事をめぐる高市氏の国会答弁以降、中国から経済的な圧力を受けている。レアアース(希土類)の輸出制限の可能性も取りざたされており、韓国との協調は欠かせない。
一方、李氏は訪日に先立ち、中国を国賓として訪問し、習近平(シーチンピン)国家主席と会談している。歴史問題で持ちかけられた対日「共闘」とは距離を置くが、高市氏との会談後の記者発表では、中国を含む3カ国の協力の必要性にも言及した。日中関係の悪化で開催が見送られた日中韓サミットの再起動に向け、日韓の連携を期待したい。
国交正常化から昨年で60年となった日韓関係は近年、冷え込みと改善を繰り返してきた。対日関係を重視した保守系の尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領と岸田元首相のもとで緊密化した流れは、両国のトップが代わった今も引き継がれている。
ただ、完全に定着したと言い切るのは早計だ。
世界文化遺産の「佐渡島の金山」の追悼式をめぐる対応や、竹島をめぐって自衛隊が韓国軍機への給油を中止した問題など、歴史や領土をめぐる摩擦は残っている。実利だけが接着剤では、両国の関係が構造的に安定するとはいえない。
高市氏は李氏とドラム演奏をしたり、法隆寺を視察したり、親密さをアピールしたが、真摯(しんし)に過去に向き合う姿勢や、韓国の複雑な国民感情への配慮を抜きに、信頼関係は続かないと知るべきだ。
両首脳が、戦時中の事故で朝鮮半島出身者を含む183人が犠牲となった、山口県宇部市の「長生炭鉱」で発見された遺骨のDNA型鑑定に向けた協力を進めることを確認したのは、前向きな一歩に違いない。遺骨の収容や返還までには多くの課題が残るが、確実な成果につなげてもらいたい。


日本が確保したのを奪われるだけ
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