(聯合ニュース 2024/12/04)
 韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は3日夜、国会で多数を握る野党が来年度の予算案の削除を求め、閣僚や検事の弾劾訴追案を提出して国政をまひさせたとして、非常戒厳令を宣布した。これを受け、国会は4日未明に本会議を開き、非常戒厳の解除要求決議案を可決した。与党の一部議員も採決で賛成票を投じた。

 尹大統領は非常戒厳令宣布に関して緊急談話を発表し、「(北朝鮮に追従する)従北勢力を撲滅し、自由憲政秩序を守るため非常戒厳令を宣布する」と述べた。また、「政権発足後22件の政府官僚の弾劾訴追を提出した」として、「これは世界のどの国でも例がなく、韓国建国以降もなかった」と指摘。「判事を脅迫し、多数の検事を弾劾するなど司法業務をまひさせ、行政安全部長官の弾劾、監査院長の弾劾、国防部長官の弾劾の推進などで行政もまひさせている」と批判した。

 そのうえで、「国家本質の機能や麻薬犯罪取り締まり、治安維持のための主な予算を全額削減し、国家本質の機能を傷つけ、韓国を麻薬天国、治安パニックの状態にした」と非難し、「憲法と法によって立てられた正当な国家機関を揺さぶることで、内乱を画策する明白な反国家行為」と強調。「今の国会は犯罪者集団の巣窟になり、立法独裁で国の司法行政システムをまひさせ、自由民主主義体制の転覆を図っている」と断じた。

 韓国で非常戒厳が宣布されるのは1979年以来、45年ぶりとなる。

 非常戒厳令の宣布により、戒厳司令官に朴安洙(パク・アンス)陸軍参謀総長が任命され、政治活動の禁止などを盛り込んだ布告令が発表された

 戒厳軍が国会に入ろうとし、抵抗する国会議員の補佐官らとの衝突も起きた。

 国会(定数300)は4日午前0時50分ごろに本会議を開き、非常戒厳の解除要求決議案を上程。同1時ごろに在籍議員190人、賛成190人で可決した与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表に近い議員18人と野党議員172人が賛成した。禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長は「議決により大統領は直ちに非常戒厳を解除しなければならない。もう非常戒厳は無効」と述べた。

 国会は午前2時ごろ、大統領と国防部長官に戒厳解除要求通知を送った。

 韓国の憲法第77条は「国会が在籍議員過半数の賛成で戒厳の解除を要求した際、大統領はこれを解除しなければならない」と定めている

 また戒厳法第11条は「国会が戒厳の解除を要求した場合は滞りなく戒厳を解除し、公告しなければならない」とし、「大統領が戒厳を解除する場合は閣議の審議を経なければならない」と規定している。(金泰均)


(MONEYTODAY/KOREAWAVE 2024/12/04)

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は45年ぶりに非常戒厳令を布告したものの、わずか6時間で解除する事態となった。戒厳令直後に国会で190人の議員全員が賛成し、戒厳令解除決議案を可決したためだ。

ユン大統領は「度重なる弾劾や立法操作、予算の乱用で国家機能を麻痺させる無道な行為を即刻中止するよう国会に求める」と述べ、野党への不満を改めて示した。しかし、「非常戒厳令」という切り札が巨大野党の強烈な抵抗であっけなく崩れたことで、ユン大統領は政治人生で最大の危機に直面したとの評価がなされている

ユン大統領は4日午前4時27分ごろ、龍山(ヨンサン)大統領執務室で、緊急国民談話によって戒厳令解除と戒厳軍の撤退を発表した。前夜に非常戒厳令を布告してからわずか6時間後、事実上失敗を認めた形だ。その後すぐに午前4時30分に閣議を主宰し、「戒厳令解除案」を議決した。

共に民主党など野党が国会の300議席中約190議席を占めている現状を考慮すると、そもそも勝算がない試みだったのではないかという批判が浮上している。ユン大統領としては、戒厳令布告とともに軍・警察を国会に投入し、国会による戒厳解除決議案の可決を阻止することを計画していたと見られるが、結果としてその目標は達成されなかった

野党の議員・職員の徹底的な抵抗により戒厳軍の国会本館侵入が遅れ、その間に本会議場では在籍議員190人全員の賛成で戒厳解除決議案が可決された。この中には与党・国民の力の議員18人も含まれていた。チュ・ギョンホ(秋慶鎬)院内代表ら親ユン(ユン大統領支持派)の与党議員50人余りは本会議に参加せず党本部で事態を見守るだけで、味方としての役割を果たせなかった。

憲法第77条第5項によると、国会が在籍議員の過半数の賛成で戒厳解除を要求した場合、大統領はこれを解除しなければならない。仮に大統領が解除を拒否しても、解除要求案が議決された瞬間に戒厳軍の活動は法的根拠を失う。このため、ユン大統領に残された選択肢は多くなかった。

国会の戒厳解除要求を受け入れたユン大統領だが、45年ぶりの非常戒厳令が引き起こした後遺症は計り知れないものになりそうだ。共に民主党など野党はユン大統領の戒厳令布告に対して「内乱罪」を適用すべきだと主張している。憲法第60条によると、大統領は内乱または外患罪を犯した場合を除き、在任中は刑事訴追を受けないとされている。そのため、内乱罪が適用されれば、現職大統領であっても起訴や処罰が可能だ。内乱罪の場合、刑罰は死刑、無期懲役、または5年以上の懲役となる。

内乱罪が適用されない場合でも、ユン大統領に対する国会の弾劾訴追手続きが進められる可能性が高い。野党議員を中心とした「ユン・ソンニョル弾劾議員連帯(弾劾連帯)」は、ユン大統領に対する弾劾訴追案の発議を進めると表明した。これまでイ・ジェミョン(李在明)民主党代表らもユン大統領の弾劾を求める街頭集会に継続的に参加してきた。

また、今回の戒厳解除決議案の可決に与党議員18人が参加した点を踏まえると、今後、与党内の分裂の可能性も予測される

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