(産経新聞 2024/11/12)
全国の朝鮮学校の児童生徒らが今月中旬から北朝鮮を訪問することが12日、分かった。平壌で来年1月に開かれる迎春公演に5年ぶりに参加するという。公演は金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記を礼賛する内容も含まれ、過去には、生徒らの参加を問題視した自治体もあった。また、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)内部では、韓国敵視政策への転換やウクライナ侵攻への派兵に対する混乱も生じているといい、こうした中での訪朝は波紋を呼びそうだ。

迎春公演は、北朝鮮で最重要行事の一つ。朝鮮学校の児童生徒は、これまでも「在日朝鮮学生少年芸術団」として参加し、歌劇や楽器演奏などを披露してきたという。新型コロナウイルス禍で訪朝は見送られていたが、今回から再開する

関係者によると、小学校に当たる朝鮮初級学校と中学に当たる中級学校の児童生徒約百人が、京都朝鮮中高級学校の校長らの引率で今月中旬に訪朝。現地で練習を重ねて公演に備える。公演には正恩氏が参列するとの情報もある。

朝鮮総連が、各学校に宛てた文書では、日本や韓国の動画などが収録されているなどの理由で携帯電話の持ち込みは不許可とし、北朝鮮にいる家族や親戚に渡す現金を持っていく場合は、学校に事前に報告するよう指示している

迎春公演を巡っては過去に生徒らが「元帥さまだけを最後まで信じて従う愛国の柱に強く育ちます」などと誓う場面が朝鮮中央テレビで放映。大阪府が補助金支給を見送った経緯もある

また、北朝鮮は、韓国を「敵対国家」と定めた憲法に基づき、先月、南北を結ぶ道路や鉄道を爆破。朝鮮総連の内情に詳しい関係者によると、これまで統一教育を行ってきた朝鮮学校では混乱や反発が出ている。さらにウクライナへの派兵に対する戸惑いも生じているという。

朝鮮総連は「産経新聞の取材は受けられない」としている。