(朝日新聞 2024/08/10)
101年前の関東大震災の直後に旧片柳村(さいたま市見沼区)で殺された朝鮮人青年を悼む市民らの実行委員会が、今年9月4日の追悼行事にメッセージを出すよう大野元裕知事に文書で要請した。
日朝協会埼玉県連合会は毎年9月、朝鮮人の姜大興(カンデフン)さんの墓がある見沼区の常泉寺で追悼行事を続けてきた。震災から100年だった昨年は、市民らの「姜大興さんの想(おも)いを刻み未来に生かす集い実行委員会」と共同で催した。今年も同様の行事を計画している。
大野知事は昨年9月の記者会見で「関東大震災では様々な混乱があり、デマ情報に基づいて朝鮮人に対する虐殺があった。痛心に堪えない」と述べた。
実行委は今年8月2日付の文書で「知事の発言に共感し、支持します」として悲劇を繰り返さないために追悼のメッセージを出すよう求めた。片柳村と同時期に虐殺事件があった熊谷市、本庄市、上里町で毎年9月1日に開かれる自治体主催の追悼行事にも、同様の対応を取るよう求めた。
さいたま市の清水勇人市長は昨年の常泉寺での追悼行事に向けて、「本市に暮らすすべての方々が、国籍や民族などの違いを超えて、互いを認め合い、尊重し合える、多様性と包摂性のあるさいたま市を目指し、人権啓発、人権教育に取り組む」などとする追悼のメッセージを寄せており、実行委は今年もメッセージを出すよう清水市長に要請した。
県とさいたま市の担当者は「検討する」と説明している。(佐藤純)
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