(産経新聞 2024/03/28)
群馬県の山本一太知事は28日、駐日韓国大使館の尹徳敏(ユン・ドクミン)大使から面会を求める公式の連絡があったことを公表した。高崎市の県立公園「群馬の森」内にあった朝鮮人労働者追悼碑を県が代執行で撤去した問題などについて協議するとみられる。山本知事は面会に応じる意向で、外務省に報告した上で日程調整するよう、担当課に指示した

県地域外交課によると、手紙は22日夕、メールに添付された形で送られてきた。正式な文書はまだ到着していない。山本知事は内容については明言を避けながらも、「『会って話したい』ということ。当然、追悼碑の問題も含まれる」と語った。

追悼碑は平成16年、「政治的行事は行わない」との条件付きで市民団体に設置が認められたが、式典で「強制連行の事実を訴え、正しい歴史認識を持てるようにしたい」などの発言があり県は26年、許可を更新せず、令和4年、最高裁で市民団体側の敗訴が確定。その後も協議は平行線をたどり、県は2月2日、代執行により撤去した。

山本知事は、この問題について「何度も述べてきたが、碑文に問題があるとは思っていない。ただ、交わした条件に対するルール違反があり、最高裁まで争った上で出た結論に沿って行ったこと。正しい判断と認識している」と語った。

撤去後、韓国内のテレビ報道などで報じられ、「日韓の友好関係に傷がついたのではないか」といった懸念が伝えられる一方、自民党の衆院議員がX(旧ツイッター)に「嘘のモニュメントは日本に必要ない」などと発言するなど、多様な反応がみられる。


山本知事は「さまざまな意見があることは承知している。しかし、判断は群馬県が決めるべきことで、私が責任をもって決めた。もちろん政府方針にも沿っている。多くの県民の皆さんには、ご理解いただいていると信じている」と話した。


(毎日新聞 2024/03/28)

 群馬県の山本一太知事は28日の記者会見で、県が県立公園「群馬の森」にあった朝鮮人労働者追悼碑を行政代執行で撤去したことを巡り、韓国の尹徳敏(ユン・ドクミン)駐日大使から会談の要請があったとして、会談に応じる考えを示した。追悼碑の問題で両氏が会談するのは初。大使側は碑を管理していた市民団体「『記憶 反省 そして友好』の追悼碑を守る会」にも会談を求めており、団体は同日、応じると決めた

 山本知事は撤去について、市民団体のルール違反が理由とし、「碑文自体に問題があるとは思っていない。(自分は)歴史修正主義者ではない」とも改めて述べた。

 団体が政治的活動をしないとの条件を守らなかったとして、県は1月29日~2月2日に碑を撤去し、韓国内でも報道された。県によると、大使側は3月22日にメールで「今後の日韓関係について話し合いたい」などと会談を求めたという。県は日本政府の徴用工問題などに関する見解も確認した上で、会談に臨む。【田所柳子】