日本政府、「朝鮮王室儀軌」など1205冊引き渡しへ
(朝鮮日報 2010/11/09)    


金星煥・外交部長官と前原外相が電話会談で合意
民間人所有の書物は対象から除外


 日本が植民地時代、朝鮮総督府を通じて持ち去った、「朝鮮王室儀軌(ぎき)」(朝鮮王朝時代に、王室や国家の重要な行事の内容を絵と文章で整理した書物)や、「大典会通」(法典の一種)、「増補文献備考」(文物に関する資料集)などの書物1205冊が、韓国へ引き渡されることになった

 外交通商部は8日、金星煥(キム・ソンファン)同部長官と日本の前原誠司外相が同日夜に電話で会談を行い、こうした内容を盛り込んだ協定を締結して、近日中にこれらの書物を韓国へ引き渡すことで合意した、と発表した。だが、「帝室図書」(奎章閣〈朝鮮王朝の歴代国王に関する文書を保管した役所〉にあった図書)や、歴代国王が受けてきた教養講座「経筵(けいえん)」のために書かれた書籍などについては、日本へ持ち込まれた時期や経路、所有形態などに関する論議が収束していないため、今回は含まれないことになった。

 金長官と前原外相はこの日の電話会談で、「韓半島(朝鮮半島)由来の書物1205冊を、協定の発効から6カ月以内に韓国へ引き渡す」という点について合意した。引き渡しに関する協定は、金長官と前原外相が近日中に締結する予定だが、日本では協定の締結について国会の承認を得なければならないため、年内に書物を引き渡すのは困難とみられる

 また、日本によって持ち去られたものの、民間人が所有している書物についても、今回の引き渡しの対象から除外された。日本が引き渡す書物は、「朝鮮王室儀軌」167冊すべてと、「大典会通」1冊、「増補文献備考」99冊、奎章閣から持ち出されたそのほかの書物938冊で、具体的な内容について、日本側からの通告はまだないとのことだ。

 韓国政府の関係者は、「日本による韓国併合から100年を迎え、今年8月10日に菅直人首相が発表した談話の内容を着実に履行することにより、未来志向的な韓日両国の友好・協力関係を構築していこうという、日本政府の誠意ある措置として評価する」と語った。

 なお、文化財の引き渡しについて韓国政府は、違法な手段で持ち去ったため、「返還」という用語を使うべきだ、と主張したが、日本は1965年の韓日基本条約により、文化財の返還に関する請求権は消滅した、という見解を崩しておらず、「引き渡し」という表現に固執したとのことだ。

■朝鮮王室儀軌
 朝鮮王朝時代に、王室や国家の重要な行事の内容を整理した書物。婚礼や葬祭、祭りなどの出来事を絵によって記録している。朝鮮王朝初期に作成されたものは、大部分が壬辰倭乱(じんしんわらん=文禄・慶長の役)の際に消失しており、朝鮮王朝中期以降に作成されたものが現在残っている。



文化財引き渡し、朝鮮総督府の寄贈印あるものが対象
(朝鮮日報 2010/11/09)

『大典会通』1冊、『増補文献備考』9冊も引き渡し

 今回日本政府が引き渡すと発表した韓国の文化財は、『朝鮮王室儀軌(ぎき)』など1205冊。これらの図書は、すべて宮内庁書陵部に所蔵されているもので、内訳は▲『朝鮮王室儀軌』167冊▲『大典会通』1冊▲『増補文献備考』99冊▲そのほか奎章閣(朝鮮王朝時代に、歴代国王に関する文書を保管した役所)図書938冊となっている。

 すべて、日本による植民地時代に朝鮮総督府が寄贈したことを意味する「朝鮮総督府寄贈」の印が押されている。朝鮮総督府は、朝鮮王室の図書館に当たる奎章閣にあった『朝鮮王室儀軌』などの書籍を、寄贈という名目で日本に持ち出した。

 今回韓国に引き渡される図書のうち代表的なものは、朝鮮王朝時代の王室と国家の主な行事を、絵と記録で残した『朝鮮王室儀軌』だ。これは、『明成皇后国葬都監儀軌』『進封皇貴妃儀軌』『冊封儀軌』『殯殿(ひんでん)魂殿都監都庁儀軌』など、宮内庁が所蔵する167冊すべてが引き渡される。これらの儀軌は、朝鮮総督府が1922年5月に皇室に寄贈したもの。

 『明成皇后国葬都監儀軌』は、1897年に執り行われた明成皇后(日本での呼称:閔妃〈びんひ〉)の国葬の全過程を、絵と共に記録した儀軌だ。明成皇后は1895年の乙未事件で殺害されたが、高宗は葬儀を遅らせ、2年後に国葬の形で挙行した。当時の葬礼の様子を描いた絵には、参加した人々の官職名まで詳細に記録されており、朝鮮王朝の記録文化の精髄をリアルに示している。『嘉礼都監儀軌』は、1866年に行われた高宗と明成皇后の結婚式の様子を記録したもの。また『大礼儀軌』は、1897年の高宗の大韓帝国皇帝即位式の様子を記録した。

 『大典会通』は朝鮮王朝時代最後の法典で、1865年(高宗2年)に王命によって編さんされた。朝鮮総督府の印が押されている『大典会通』は 2種類あることが把握されているが、今回引き渡し対象となった図書は、木版の高宗2年刊行本と推定されている。図書の末尾に「昭和10年10月31日(書陵部が)引き渡しを受けた」という記録がある。

 『増補文献備考』は、上古代から旧韓末に至るまでの韓国の文物制度を百科事典のように分類・整理したもので、幾度も増補を繰り返し、大韓帝国時代に最終版が出た。宮内庁の所蔵品で朝鮮総督府の印が押されているものは、2種類あることが把握されている。このうち1種は、1巻から250巻までに正誤編1巻を加え、計252巻51冊からなる。もう1種も、全250巻に正誤編1巻を備えたもので、版木や出版年度も前のものと同じだが、分量が異なり、こちらは全251巻50冊となっている。

 当初、朝鮮総督府が皇室に寄贈した図書は、『朝鮮王室儀軌』81種類167冊をはじめ、84種類282冊に上るという。韓国の研究者らは、『朝鮮王室儀軌』のほかに、王室の族譜(一族の系図)に当たる『セン(王へんに叡の左部分)源系譜紀略』と『大典会通』『増補文献備考』の3種類があることを把握している。ところが日本側は今回、奎章閣図書938冊と発表しており、これまで知られていなかった図書が相当数、新たに把握されたものとみられる。具体的な目録は、まだ把握されていない。

 一方、宮内庁の所蔵図書のうち、当初関心が集まっていた▲「帝室図書之章」(帝室図書館の印)が押された図書38種375冊▲経筵(けいえん=朝鮮王朝時代に国王に対して行われた儒教の経書や歴史の講義)関係図書3種類17冊―については、今回の引き渡し対象には含まれなかった




【社説】日本による文化財引き渡し、新しい未来への第一歩
(朝鮮日報 2010/11/09)

 日本政府は8日、宮内庁が所蔵している「朝鮮王室儀軌(ぎき)」(朝鮮王朝時代に、王室や国家の重要な行事の内容を絵と文章で整理した書物)など、韓国の図書1205冊を、近いうちに韓国に引き渡すことを発表した。日本政府が所蔵している韓国の文化財が故国に戻るのは、1965年の韓日基本条約締結当時、1432点が戻されて以来、45年ぶりのことだ。日本による韓国併合100年を迎える今年、文化財の引き渡しを通じ、謝罪と反省の気持ちを実行する日本の決定を歓迎したい。菅直人首相は今年8月10日の談話で、「植民地支配がもたらした多大な損害と苦痛に対し、改めて痛切な反省と心からのおわびを表明する。朝鮮総督府を通じて搬出され、日本政府が保管している朝鮮半島の図書を近いうちに引き渡す」と約束した。

 宮内庁が保有している韓国の図書4678冊のうち、日本の国会での承認を経て戻ってくるのは、「朝鮮王室儀軌」167冊と「大典会通」1冊、「増補文献備考」99冊、(朝鮮時代に歴代国王に関する文書を保管していた)奎章閣のそのほかの図書938冊だ。

 関心を集めた「帝室図書」の印が押された本や、朝鮮時代の経筵(けいえん、歴代国王が受けてきた教養講座)資料用の本は、朝鮮総督府を通じて搬出されたという事実が確認できていないため、引き渡しが先延ばしにされた。

 日本政府が両国の未来のために文化財の引き渡しを決心した以上、細かいことに執着せず、文化財を本来の持ち主に返すという大原則の下、今後できる限りの誠意を見せてくれることを期待する


 1965年、韓日国交正常化交渉の際、文化財引き渡しについての問題は、強制動員された勤労者の個人請求権問題と共に、最もおろそかにされ、今でも未解決の問題として残されている。今回引き渡される文化財は、そのうちのほんの一部にすぎないが、両国が不幸な過去を清算し、新しい未来へ共に進むための第一歩となるだろう。さらに、日本の民間が所有している韓国の文化財のうち、強奪されたことが明らかなものの引き渡しを促進するきっかけとすべきだ




'韓半島由来文化財返還'の政府当局者問答
(聯合ニュース 韓国語 2010/11/08)

政府当局者は、日本の文化財返還協定文案で『引き渡し』という表現を使ったことと関連して8日、「そのまま『引き渡し』のみ使用したのではなく『韓半島に由来する図書を引き渡す』として、文化財が帰って来るという意味を生かそうとした」と話した。

この当局者はこの日夕方、ソウル市都染洞の外交部庁舎で記者らと質疑応答時間を設けてこのように明らかにした後、「文化財が韓国に戻るという点で『返還』だと思っている」と付け加えた。


次は政府当局者との一問一答。


--返還合意したリスト内訳は?

▲最終合意以降に公開されるだろう。概略、『朝鮮王朝儀軌』167冊全部と『大典会通』1冊、『増補文献備考』99冊、奎章閣(朝鮮時代、歴代国王に関する文書を保管した役所)のその他の図書938冊だ。


--返還の代わりに『引き渡し』という用語を使ったのは?


残念な点だ。私たちとしては協定文案の交渉過程で日本に『返還』という用語を使用することを強く堅持したが、相手側があるだけに文案には『引き渡し』という表現を使用した。それでも、この文化財が帰ってくるという点で返還だと考えている。1965年の文化財協定でも『引き渡し』という表現を使用したので、私たちの立場が弱かった。

また、ただ『引き渡し』とのみ書かれるのではなく『韓半島に由来する図書』を『引き渡す』としたことで、文化財が帰って来るという意味を生かそうとした


--年内返還の可能性は?

▲日本政府では年内を目標に最大限努力していると言っていますが、様々な制約要件がある。私たちは国会へ行く必要がないが、日本としては国有財産が搬出されるために国会を経なければならない。結局、国会での手続きがどれだけ迅速に行われるかにかかっている。私たちは国会の同意を受ける必要はないが、閣僚会議を通過後、大統領の決裁を受けなければならず、両国間の署名がなければならない。


--1千205本のうち民間所有は?

すべて日本宮内庁の所蔵だ


--日本政府が持っているものは皆渡されるのか。

▲日本は、できるだけ調査をし、把握されたものは皆渡すと説明したし、(私たちが)当初の予想よりも多かった。 宮内庁にあるものだけでなく立法府と司法府を除いて、在外公館まで含め政府関係は全部調査したという。


--それでは、重要性が低い本ということはないのか。

▲そんなことはない。 いくつかの重要な図書も含まれているという(専門家たちの)評価があった。


--『経筵』は含まれるのか

含まれていない

菅総理が去る8月の談話で発表した基準、《日本の統治期間に朝鮮総督府を経由して搬出された図書で、日本政府が保管している韓半島に由来する図書》という基準を満たさないためだ。私たちが聞いた説明によれば、『経筵』は植民統治以前から日本皇室にあった図書という。すなわち、『経筵』が日本に流出した経緯や時期が不明だというのだ。

これに対する専門家たちの質疑応答セッションで、日本側の専門家たちの説明を聞き、韓国側の専門家たちが納得した


--『帝室図書』は含まれるのか

含まれていない

『帝室図書』という、朝鮮王朝でも印章を捺しましたが、日本の皇室でも印章を捺したと日本側の専門家たちが韓国側の専門家たちに説明をし、私たち側も私たちのものではない可能性があるという点を認めた。『帝室図書』を'私たちの本'とした前提が違うのだ。


--追加の返還措置の可能性は。

▲私たちとしては答えるのが難しい。日本側としては最大限すべてしたという立場だ。


--日本国内の私たちの文化財は6万件余りと推定されているが。

▲そのように話されるが、それ自体を正確な数値と見ることは難しい。この部分は私たちが今後検討していかなければなければならないと考える。


--早ければ、アジア太平洋経済協力体(APEC)時に締結可能なのか。

▲最大限努力する。


--署名主体は?

▲両国の外相になるだろう。


--はやく進行された理由は?

▲色々意味があるが、私たちとしてはできるだけ国民の期待に応じるためだ。


--今回返還される文化財は朝鮮時代の作品か?

▲リストを一つ一つすべての点検をしていないので分からない。


--予想より多くなったと言ったが、当初の予想はどの程度だったか。

▲初めは600点を越える水準と予想していた。 (機械翻訳 若干修正)



これで韓国民が満足するなんて思っているニカ♪

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2019年は「三・一独立運動100周年」ニダ
2040年は「韓国光復軍設立100周年」ニダ
そして2045年は「光復(独立)100周年」ニダ



 

おかわりいっぱい
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明治の日本―宮内庁書陵部所蔵写真
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