実弾提供:日本の態度に韓国政府の怒り収まらず
(朝鮮日報 2013/12/26)



国連軍の一員として、南スーダンに派遣された韓国軍の「ハンビッ部隊」が23日、国連を通じ、日本の陸上自衛隊から提供を受けた実弾1万発は、約330万ウォン(約32万5000円)相当、即席麺6箱分のサイズだ。そんな実弾1万発が韓日の軍事・外交関係を揺るがしている。韓国政府は日本の反応に激しい不満を抱いている。日本政府が自衛隊の軍事的役割拡大のために今回の一件を活用していると受け止めているからだ。

韓国国防部(省に相当)は24日、外交ルートを通じ、日本側に「強い警告」を送った。韓国政府高官は「日本は頂点に立つ国家とはいえない」と漏らした

■米国は弾薬提供事実を公表せず

現在南スーダンには、韓国軍約280人、日本の自衛隊約320人が派遣されている。両国はいずれも国連の勧告に従い、実弾を携行した。韓国国防部は、日本は相対的に安全な首都ジュバに駐留しているため、治安の不安定なボルに駐留している韓国軍に弾薬を提供する余裕があったとの見解だ。ハンビッ部隊には日本だけでなく、米国も小銃弾を提供した。

韓国国防部関係者は「米軍は反政府軍を刺激する可能性があるとして、実弾提供の事実を公表しなかった。日本はそれを全く考慮せず、メディアに情報を流した」と批判した。

韓国政府はハンビッ部隊の安全に配慮し、日本側に報道自粛を求めた。しかし、日本では23日午前からメディアが報道を開始した。韓国国防部関係者は「日本政府は23日午後2時に閣議を開き、実弾提供の是非を最終決定することになっていた。国防部はその段階で国内メディアに説明するつもりだったが、日本政府が事前に意図的にリークしたようだ」と語った。

■日本政府の軽挙妄動

日本の小野寺五典防衛相が24日、南スーダンに派遣された自衛隊責任者からの映像報告の内容をそのまま公表したことについても、「あり得ないことだ」との反応が韓国側から出ている。韓国政府筋は「映像の内容は事実と異なるばかりか、両国の軍の間でのやりとりを了解もなく公表するのは、友好国の行動とはいえない」と不満をあらわにした。

日本政府内部では「戦後秩序が維持されてきた日本で実弾提供問題がどれほど重大なことなのかについて、韓国側の理解が全くない」との声が出ている。日本メディアは「韓国側が必要だというから実弾を提供したのであり、日本は国内での手続きを踏んだだけだ。それに韓国がなぜ問題提起するのか理解できない」と報じている。

日本政府は25日にも実弾提供の事実を宣伝し続けた。安倍晋三首相は「人道上、危機管理上、判断した。現場(で韓国側)からは感謝の念をもらっている」と述べた。これについて、韓国政府関係者は「日本政府があまりに軽挙妄動に走っている。韓国軍と日本の自衛隊はいずれも国連の南スーダン派遣団(UNMISS)の所属で、UNMISSの司令官(少将)の指揮を受けるため、所属部隊間で必要に応じて資源を再配分するのは日常的なことだ」と述べた。

東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員



【社説】日本にとって32万円の弾薬提供はそんなに騒ぐことか
(朝鮮日報 2013/12/26)

国連南スーダン派遣団(UNMISS)の一員として現地に派遣されている韓国軍の「ハンビッ部隊」が、現地で日本の自衛隊から小銃用の弾丸1万発の提供を受けていた問題が、韓国と日本との外交問題に発展しつつある。

韓国と日本は弾薬提供が行われるに至った経緯について、互いに異なった説明をしている。韓国側は▲現地の国連軍を通じて要請した▲韓国軍が使用する5.56ミリ口径の銃弾を使う国は米国と日本しかない▲国連から弾薬の支援を受けた-とコメントした。これに対して日本側は▲韓国軍将校が現地で直接自衛隊に電話で支援を要請した▲国連は窓口の役割を果たしただけ-と主張している。韓国政府は日本側に対し「この問題を政治的に利用すべきでない」と強い遺憾の意を伝え、また韓国政府の一部では「これでは日本を正常な国と見なすことなどできない」と激しい怒りの声まで出ているという

支援された弾薬の数がたとえ何発であっても、緊急事態に直面した韓国軍に日本が弾薬を提供してくれたのはありがたいことだ。しかしこの決定を下して以降、安倍政権が示した態度は「日本という国の度量」をあらためて考えざるを得ないものだった。

米国も今回3400発の銃弾を韓国軍に提供したが、今のところ何のコメントも反応もない。

これに対して日本ではメディアが前面に出て、弾薬を積んだヘリが韓国軍部隊に到着する前からこの問題を大々的に報じ、現地の韓国軍指揮官が「感謝の意を伝えた」という事実まで公表した


安倍首相をはじめとする日本の閣僚たちは「今回のことをきっかけに『積極的平和主義』という原則に基づき、国際社会の平和と安定により貢献していきたい」との考えを相次いで表明した。安倍内閣が掲げるこの「積極的平和主義」という言葉の中には、日本の軍事的役割の拡大という意味合いが当然込められている。安倍内閣は韓国軍に330万ウォン(約32万5000円)分の弾薬を提供したことを「『積極的平和主義』が適用された最初の事例」のように宣伝し、同時に自衛隊が他国に実弾や武器を提供することを禁じる関連法の「初の例外措置」であることも強調し始めた。

韓国軍が国連に弾薬提供を要請した直接の理由は、韓国軍が保護している1万5000人の現地住民の安全を守るためだ。25日には韓国軍の駐屯地からわずか300メートルの地点に迫撃砲弾が落下した。

このような状況をよく知るはずの日本が、1万発の弾薬提供を通じ、ありとあらゆる形で「恩着せがましい態度」を軽々しく取り続けるのは、本当に「せせこましい」態度だ。

これでは近隣諸国が抱く日本に対する不信と不安はさらに大きくならざるを得ないだろう。日本は今、自らの足元を突き刺していることを知らねばならない




これが例えば「避難民が集まり飲料水が足りないので『浄水システム』を借りたい」であれば、わざわざ発表したり、官房長官談話なぞ出さなかったでしょうね。

朝鮮日報にはこのコラムをぜひ読んでほしいですね。
官邸を韓国に替えて


【コラム】夕歩道
(中日新聞 2013/12/25)

砂漠の端っこで元パレスチナゲリラの男と雑談していたら、ふと得意そうな顔になり、こう言った。「オレは二百メートル先の的に、きっちりと当てられるんだぜ。カラシニコフで」。的はむろん人間だ。

その突撃銃の開発者ミハイル・カラシニコフ氏、亡くなる。安価で丈夫、操作しやすいその銃は全世界で使われ、人類史上、最も多くの人を殺した兵器ともまた小さな大量破壊兵器とも呼ばれる。

時は、まさしく偶然か。日本の銃弾一万発を国連経由で南スーダンのPKO韓国軍に提供。避けえぬ理由はあるだろうが、官邸はよくよく分かっているのだろうね、戦後日本の銃弾一発の重みを



●『武器輸出三原則等』で〈三原則対象地域以外の地域について(略)「武器」の輸出を慎むものとする。〉(1976年に三木首相が政府の統一見解として答弁。)となっている。

●『PKO協力法』第25条の「物資協力」の“物資”に武器・弾薬は含まないというのがこれまでの政府の見解(この法で武器・弾薬の提供を禁じているわけではない)。


第121回国会 衆議院 国際平和協力等に関する特別委員会(1991/10/01)
○沖田正人委員(日本社会党) (略)端的に申し上げて武器とか弾薬とか装備とか、そういうようなものは含まれておりますか、おりませんか。
○野村一成政府委員(官房参事官) 含まれておりません。
○沖田委員 事務総長から要請があったときにはどうなさいます。
○野村政府委員 そもそも事務総長からそういう要請があるということを想定いたしておりませんし、もし、仮定の問題ですけれども、ありましたとしましてもお断りするということになります。
第142回国会 衆議院 安全保障委員会(1998/05/12)
○辻元清美委員(社会民主党) さて、この物資協力の対象物資なのですけれども、これには武器や弾薬は含まれないという解釈でよろしいのでしょうか。官房長官、お答えいただけますでしょうか。
○村岡健造国務大臣(官房長官) (略)武器弾薬の供与を要請されることは想定されておりません。したがって、譲渡される物資の中にそのような武器弾薬は含まれることはないと思っております。

●武器・弾薬の提供を盛り込んだ『物品役務相互提供協定(ACSA)』(日米間では武器:不可・弾薬:状況により可、日豪間では武器・弾薬:不可)を韓国と締結していない。


これらの状況で、さらに『秘密保護法』でマスコミが敏感な中、日本政府が発表しないなんてことはできないですね。

韓国政府は△見通しの甘さから弾薬不足△日本から支援を受ける、という2つの国内批判をそのまま受けとめていれば良かったのに、「弾薬は足りていたニダ」「緊迫した状況ではなかったニダ」「国連に支援を要請したが日本には要請していないニダ」と言い出したから、日本内で「なし崩し的に平和政策をかえようとしている」と“良心派”マスコミが騒いだため、日本政府が「PKO陸自隊長の映像」などを出すことになったことをわかっているんですかね?




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