(時事通信 2024/03/29)
 国連安全保障理事会は28日、対北朝鮮制裁決議の履行状況を調べる専門家パネル(定員8人)について、任期を来年4月まで1年間延長する決議案を否決した。北朝鮮との軍事協力を深めるロシアが拒否権を行使した。日米韓など13カ国が賛成。中国は棄権した。

 活動の継続には根拠となる決議が必要で、今の任期が切れる今年4月末までに新たな決議が採択されなければ、パネルは活動停止を余儀なくされる。安保理筋によると、パネルの存続に向けた交渉を続けても「ロシアが延期に合意する可能性は低い」との見方が強く、パネルは事実上廃止されることになりそうだ。

 パネルは北朝鮮に関する情報を集め、制裁違反が疑われる事例を調査する「監視部隊」。活動停止となれば制裁逃れが増加し、北朝鮮による核・ミサイル開発の加速につながる恐れがある

 ロシアのネベンジャ国連大使は採決に先立つ演説で「朝鮮半島情勢は根本的に変わった」と述べ、対北朝鮮制裁そのものの見直しを要求。さもなければパネル延長決議案を支持できないとして、全15理事国のうち唯一反対した

 日米韓などは22日に予定していた採決を延期してロシアの説得を試み、採決前にも共同声明を出して翻意を促したが、実らなかった。山崎和之国連大使は会合で「ロシア自身が北朝鮮から調達した軍需品をウクライナ侵攻に使用して安保理決議に違反しているのは無責任で恥ずべきことだ」と糾弾。各理事国からも拒否権発動に遺憾の表明が相次いだ。


(NHK 2024/03/29)

国連の安全保障理事会では、北朝鮮に対する制裁の実施状況を調査する専門家パネルの任期を延長する決議案が、ロシアの拒否権によって否決されました。専門家パネルの活動が打ち切られれば、国連の北朝鮮に対する監視が弱まることが懸念されます。

安保理ではこれまで、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対する制裁の実施状況について、各国の専門家からなるパネルが調査を行い、毎年報告書をまとめてきました。

28日、この専門家パネルの任期を延長する決議案が採決にかけられ、日本やアメリカなど13か国が賛成しましたが、中国は棄権し、ロシアが拒否権を行使して否決されました

採決にあたりロシアのネベンジャ国連大使は「制裁は北朝鮮を締め上げるためのアメリカと西側諸国による前例のない政策だ」と述べ、制裁そのものを見直すべきだと主張しました。

各国からは拒否権を行使したロシアを非難する意見が相次ぎ、このうち日本の山崎国連大使は「ロシア自身が北朝鮮から軍事装備を調達してウクライナで使用し、安保理決議に違反しており、無責任で恥ずべきことだ」と非難しました。

2009年に設置された専門家パネルは、15年にわたって北朝鮮がどのように制裁を逃れ核・ミサイル開発を続けてきたかを調査し、3月に公表した報告書では北朝鮮が違法なサイバー攻撃で外貨を獲得していると指摘し、武器や弾薬をロシアに供与している疑いも調査しているとしていました

専門家パネルの任期は4月30日までで、このまま活動が打ち切られれば国連の北朝鮮に対する監視が弱まることが懸念されます。

◇米 ホワイトハウス「重要な制裁をさらに弱める」ロシアを非難

アメリカ・ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は28日記者団に対し、ロシアが拒否権を行使したことについて「彼らの無謀な行動は、北朝鮮の核実験と弾道ミサイルの発射に対して科している重要な制裁をさらに弱めるものだ」と述べ、ロシアを非難しました。