(産経新聞 2024/03/10)
全国にある朝鮮学校に対し、令和4年度に補助金を支出した道府県と市区町は計93自治体となり、初めて100自治体を下回ったことが10日、文部科学省への取材で分かった。国が公益性の観点などから支出の妥当性を検討するように求めた平成28年度からは2割以上減少しており、運営実態の不透明性などを背景として支出を見直す動きの広がりがうかがえる。

文科省の内部資料によると、令和4年度に管内の朝鮮学校や通学する子供がいる家庭に補助金を支出していた自治体は、愛知や兵庫など10道府県と、京都市や横浜市、川崎市など83市区町の計93自治体。平成28年度には、計121自治体(14道府県、107市区町)が支出していたが減少傾向が続き、令和3年度に100自治体(11道府県・同89市区町)となり、4年度に初めて100自治体を切った。

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4年度の補助金総額は3年度比814万円減の計2億3064万円。内訳は、道府県が同8万円減の1億2266万円、市区町が同805万円減の1億7984万円となっている。

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朝鮮学校の教育や人事、財政には、北朝鮮と密接な関係にある在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の影響が指摘されるなど運営実態の不透明さが指摘されている。

拉致被害者の支援組織「救う会」の集計によると、平成21年度の補助金総額は計8億円を超えていた。国は25年に高校授業料無償化の対象外とすることを決定。文科省が公益性の観点などから支出の妥当性の検討を求める通知を出した28年には3億円を割り込んだ。ただ、近年は横ばいで推移している
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■朝鮮学校

在日朝鮮人の子供に母国語による授業や民族教育を行う学校。令和5年5月1日時点で全国に57校(うち4校休校)ある。朝鮮籍のほか、韓国籍や日本国籍の子供も通っている。年代別に幼稚部、初級部、中級部、高級部、大学校がある。近年は児童生徒数の減少によって学校の統廃合が進んでいるほか、休校状態が続いている学校もある。


(産経新聞 2024/03/10)

朝鮮学校に対して10道府県と83市区町が令和4年度に支出した補助金総額は2億3千万円あまりに上った。財政緊縮に伴う予算カットに踏み切った自治体がある一方、「子供に罪はない」として支援を続ける自治体も。北朝鮮による日本人拉致問題は解決されておらず、たび重なるミサイル発射に国民の不安が高まるなかで、自治体の判断が注視されている。

「朝鮮学校だけ狙い撃ちしているわけではなく、理解を求めたい」

教育委員会の担当者がこう語るのは北九州市。市長交代後の6年度予算で、補助金の4割カットに踏み切った。市内に1つある朝鮮学校に対し、平成23年度から年300万円、令和4年度以降は年285万円を支出してきたが、6年度は174万円に減額した。

市は私立校並みの支援を続けてきたが、新市長による予算の見直しに伴い、私立校の支援を一律に政令市の全国平均水準まで引き下げたことに合わせ、朝鮮学校にも同様の対応を取ったという。

これに対し、インターネット上では権利の侵害を訴えて削減撤回を求める署名運動が起こされている。市は2月に学校側に経緯を説明しているが、学校側からは「話し合いの場を設けてほしい」とさらに要請されているという。

県内に6つの朝鮮学校がある兵庫県は4年度は4689万円の支出を報告。斎藤元彦知事は昨年7月の産経新聞などのインタビューで、朝鮮学校の運営実態を踏まえて支出を見直す動きに対し、「子供の教育は分けて考えるべきだ」として支援の継続を表明している

3年度に備品などの購入費として20万円を出した岡山県では、4年度の支出はなし。「学校側から申請がなかった」(担当者)という。

一方、北海道の4年度支出額は275万円。当初予算は管理運営費に充てる182万円だった。これに加え、給食などの原材料費や電気料金の値上げに対処するため、93万円を補正予算に計上した。補助金は最終的に前年度比100万円増となった。物価高騰対策として追加支出している自治体は北海道以外にも複数あり、5年度以降は補助金総額が増加に転じる可能性もある

◇北の体制たたえる教育なお継続

朝鮮学校は、北朝鮮と密接な結びつきがある在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の強い影響下にあることが指摘されてきた。北の体制をたたえる教育が継続しているとの報告もあり、運営実態が十分に把握できないなか、自治体の補助金支出には疑問の声も多い。

政府は、北朝鮮による日本人拉致問題や朝鮮総連との関係を問題視し、平成25年に朝鮮学校を高校無償化の対象外とした。学校側は除外を違法だとして全国5カ所の地裁・支部で訴訟を起こしたが、いずれも国側勝訴の判決が確定した。

朝鮮学校は学校教育法で「学校」と認定されず、都道府県が認可する「各種学校」の位置付けだ。自治体は独自に補助金を支出。保護者支援の名目で家庭に提供しているケースもある。

受給した家庭の保護者が「寄付」名目で学校側に納付させられていたこともあり、総連関係者の関与が色濃い。実際、総連運営の動画サイトで公開された昨年5月に行われたという朝鮮学校の創立記念式典の映像には、会場に故金日成主席、故金正日総書記父子の肖像が掲げられ、総連幹部が祝辞を読み上げている。

朝鮮学校の内情に詳しい関係者によると、朝鮮学校では総連傘下の出版社が作成した教科書を使用。思想教育が色濃く、北の体制の優越性を教える内容になっているとみられる

◇拉致被害者の支援組織「救う会」会長の西岡力会長の話

朝鮮学校に対して補助金を出す自治体が100を下回ったことは率直に評価したい。北朝鮮による日本人拉致問題や朝鮮学校で行われている教育の実態などが自治体の首長や幹部らに浸透してきた結果といえるだろう。

ただ、総額2億円を超える国民の税金がいまだに注ぎ込まれていることには、驚きを禁じ得ない。朝鮮学校は果たしてふさわしい公金の支出先といえるのかどうか、支出することを決めた自治体トップには、学校の実態について徹底した調査を行ってもらいたい。

長期間にわたり巨額の補助を続けていた東京都や大阪府のように教育内容を精査した上で支出を停止した自治体もある。例えば、都は、調査で確認された当時の金正日体制の礼賛や在日本朝鮮人総連合会との密接な関わりといった内容を報告書にまとめ、ホームページでも公開している。

支出を取りやめる判断について、その過程と根拠を疑念を抱かせる余地のない形で示すことが重要だ。一方、支出を続ける自治体は議会や納税者が納得できる説明をすべきだろう。