(朝鮮日報 2024/03/09)
 近所の子の面倒を見ていたあるネットユーザーが、拳を握るようにして箸を持つその子の様子を見て書き込んだ一文がオンラインで話題になっている。「両親が箸の使い方を教えない理由が気になる」と書き残し、これに多くのネットユーザーが「箸遣いは家庭教育」という意見を示す中、飲食文化の専門家が「箸遣いを礼節の一環と見なすのは日本文化の影響」という主張を繰り広げ、注目されている。

 2月27日、あるオンラインコミュニティーに「子どもたちに箸遣いを教えない両親」というタイトルの書き込みがなされた。書き込んだAさんは最近、近所の11歳になる小学生の子を何時間か面倒見たことがあった。その子と一緒に飲食店に行ったとき、子どもの箸遣いを目にしたという。

 Aさんは「(その子は箸を)こぶしを握って棒をつかむみたいに持っていた」とし「箸遣いがうまくないので体をねじり、(食べ物を)こぼし、顔や服に食べ物が付いてしまって、本当に気の休まらない食事だったよ」と記した。

 さらに「食べ物をうまくつかめなくて何度もつかんでは落とすから非衛生的でもあって、私が自分の箸でその子の器に入れてあげることも何度もあった」とつづった。飲食店の他の客も、その子の箸遣いを指摘するほどだったという。

 後に、その子の両親が飲食店へやって来たが、わが子の箸遣いについての指摘や矯正はなかった、とAさんは主張した。

 Aさんは「子どもたちに箸遣いを教えない両親。理由は何なのだろうか。子どもたちが大きくなる中で自然とうまくなると思っているのか」「他意があるわけではなく、本当に気になる」と書き込んだ。

 この書き込みに、多数のネットユーザーが「正しい家庭教育が必要」「あまりに小さなころから箸遣いを学ぶわけではないけれども」「大きくなっても改まらなかったらよく思われない」などの反応を示す一方、一部のネットユーザーは「箸遣いは食べ物をこぼさないくらいであれば十分。箸遣い自体は関係ない」「(2本の箸を並行に使う)11字の箸遣いが定番というのも根拠がない話」などの反応を示した。

 正しい箸遣いを巡る「礼節論争」は提起され続けてきた。

 「合コン相手のへたくそな箸遣いを見てるといらっとする」「箸がうまく使えないという理由で結婚が駄目になった」など、ネットユーザーの実生活上の悩みがたびたびオンラインに載るだけでなく、食品会社の「セムピョ」は新入社員の採用面接の過程で「正しい箸の使い方」を実情調査し、一部から「不適切だ」という批判を受けたこともある。

 箸遣いの調査を導入した当時、セムピョの関係者は「箸文化は韓国の基本的な食事礼節で、韓国固有の食文化かつ、今後も引き続き守っていくべき基本的な文化」だと理由を説明していた。

 こうした中、昔の韓国において箸遣いは食事の礼儀作法とはあまり関係がなかった、という主張も出ている。

 飲食人類学者の周永河(チュ・ヨンハ)韓国学中央研究院教授は「箸遣いの礼儀についての記録を見ると、朝鮮王朝後期の時点では関連の記録がほとんどない」と語った。

 朝鮮王朝時代の士大夫の家中における礼儀作法を記録した李徳懋(イ・ドクム)の『士小節』には飲食時の態度が記録されているが、箸の使い方に関しては言及されていない。

また19世紀、火鉢を囲んで座って肉を食べる様子を描いた、成夾(ソン・ヒョプ)の絵画「野宴」では、人々が(11字ではなく)「X字」の箸遣いをしている様子を見ることができる

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 さらに学界では、1960年代から70年代にかけて日本で流行した「箸遣い論争」が韓国に影響を及ぼしたという主張も出ている。周教授は「箸遣いがどれほどうまいかを問うのは、日本から入ってきた風俗」だと語った。キム・ジャア記者