(朝日新聞 2023/01/30)
 国連人権理事会は1月31日、ジュネーブで日本の人権状況についての定期審査の会合を開いた。参加国からは死刑制度や技能実習制度、難民や移民の処遇などについて改善を求める意見が出たほか、韓国は慰安婦問題での両国の緊密な協力に期待を表明した。

 オランダは入管施設でスリランカ人女性が「適切な医療」を受けることなく死亡した「悲劇」への懸念を表明し、収容施設の医療態勢の改善や長期収容の回避などの措置を求めた。

 韓国は、ヘイトスピーチ対策の効果的な実施や在日コリアンへの差別撤廃への努力を日本が続けることに期待を表明。慰安婦問題では「被害者の名誉と尊厳を回復し、心の傷を癒やすために両国が引き続き緊密に協力していくことを望む」と述べた。

 中国は少数派への差別やヘイトスピーチなどを課題として挙げたほか、「日本は慰安婦問題における歴史的な罪を軽視し逃れてきた」と主張した。

北朝鮮は、第2次世界大戦中の人道に対する罪、強制労働についての謝罪などを求めた

 日本政府の代表団は、慰安婦問題について、日韓両国が外交交渉を経て、2015年の日韓合意で「最終的かつ不可逆的な解決」を確認したことを紹介。代表者は「日本の見解や取り組みが、事実の客観的な理解に基づき、国際社会から適切に認識されるよう、引き続き努力していく」と述べた。

 今回の審査は「普遍的・定期的レビュー」(UPR)と呼ばれ、約4年半に1回、国連全加盟国が人権状況の審査を受ける。対日審査は08年5月と12年10月、17年11月に続いて4回目。(ロンドン=金成隆一)