(東亜日報 2023/01/21)
北朝鮮が、数十万~数百万人の餓死者が発生した1990年代のいわゆる「苦難の行軍」以来の最悪の食糧難に見舞われているとの見方が示された。

米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」は19日(現地時間)、北朝鮮の穀物の需要や供給量、食料価格などをもとに分析した結果、穀物の在庫量が最低必要量以下に下がっていると伝えた。最低必要量は、食糧均等配分を前提に社会維持に不可欠な食糧の下限をいう。北朝鮮は、国連食糧農業機関(FAO)基準の最低必要量の80%水準と測定された

38ノースの分析によると、2021年上半期の北朝鮮のコメ価格は、国際価格比1キロ当たり0.5ドル以上の差を記録した。09年に38ノースが測定を始めて以来、北朝鮮の穀物価格は国際穀物価格を上回っていたが、今回のように大きな差が出たのは異例のこと。北朝鮮の食糧供給網が崩壊したことを意味する信号だと、38ノースは明らかにした。

北朝鮮の食料価格は、新型コロナウイルスの感染拡大で中朝国境を閉鎖した20年1月、そして紙幣を刷る紙とインクの不足で貨幣代用証書を発行した21年秋に急騰した。特に、トウモロコシの価格がコメよりも大幅に上昇した。主食のコメが不足し、代替作物に依存するほかない状況が原因のようだと、38ノースは説明した。

38ノースは、数十年にわたる北朝鮮経済の失政に加え、パンデミックやウクライナ戦争などで世界の食料需給事情が不安定になり、より大きな打撃を受けたと分析した。また、中国が最近「ゼロコロナ」政策を撤回したことで世界の食料需要が増えれば、北朝鮮の食料不足の事態はさらに深刻になる可能性があると見通した。