(毎日新聞 2023/01/19)
 中国・新疆ウイグル自治区で少数民族に対する人権侵害が指摘される問題で、在日ウイグル人らで作る日本ウイグル協会や国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」は19日、東京都内で記者会見した。ウイグル族を監視するために使われた世界大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)=中国浙江省杭州市=製のカメラに、日系企業7社の部品が使われていたと発表した

 7社はローム▽TDK▽旭化成エレクトロニクス▽ザインエレクトロニクス▽ソニーグループ▽セイコーエプソン▽マイクロンジャパン。

 新疆では当局が「一体化統合作戦プラットフォーム」(IJOP)と呼ばれる監視システムを通じて、イスラム教を信仰するウイグル族らの行動を把握。宗教的過激派などとみなす人々を「職業技能教育訓練センター」と呼ぶ施設などに多数収容し、政治教育を受けさせてきた。

 日本ウイグル協会などは2022年夏、IJOPで使われたものと同種の監視カメラの分析を専門業者に依頼。分解して部品の型番を調べた結果、センサーやメモリーなど中核部品を含む各種部品を日系企業が供給していたことが判明した。米国や台湾、韓国の会社の部品もあったという。

 ハイクビジョンの監視カメラを巡っては、22年6月、新疆当局から大量に流出した内部資料「新疆公安ファイル」を米調査機関が分析したところ、ウイグル族の行動監視に使われていることが確認された。米国政府は19年に新疆での人権侵害を理由に米製品をハイクビジョンに輸出することを事実上禁止している

 同協会のレテプ・アフメット副会長は記者会見で「日本の技術が人権侵害に悪用されている。企業も取引を見直すべきだ」と訴えた。部品を供給する7社に見解を求めたところ、6社から返信があったが「ほとんどが会社の経営方針を答えただけで回答になっていない」という。

 毎日新聞の取材に対し、ロームの広報担当者は販売代理店を通じたハイクビジョンへの製品供給の実績があると認めたが、「どのような使われ方をしているか確認の方法がなく認識していない」と回答。旭化成エレクトロニクスを傘下に持つ旭化成とTDK、セイコーエプソン、ソニーグループの広報担当者はいずれも「個別の取引については開示できない」などと答えた。

 ザインエレクトロニクスは「日本ウイグル協会にお答えしたのが全てだ」、マイクロンジャパンの広報窓口となるPR会社は「担当者と連絡が取れていない」と回答した。

 企業による人権侵害を巡っては、11年に国連人権理事会が「ビジネスと人権に関する指導原則」を承認した。各国の企業に、原材料の供給元や販売先、投資先に至るまで人権が尊重されているかをチェックする「人権デューデリジェンス(DD)」を実施するよう促している。日本政府も22年9月に「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を公表し、国内企業に取り組みを求めている。【畠山哲郎】