(朝鮮日報 2022/12/25)
〇赤字にもかかわらず江南で引き続き営業

 中国が反体制派の人物を弾圧するための「秘密警察署」を世界各地に展開させている中、韓国の防諜(ぼうちょう)当局が、ソウルのある中華料理店を有力な拠点とみて調査していることが22日までに分かった。

 情報消息筋が明らかにしたところによると、防諜当局は、ソウル・江南所在のある中華料理店が韓国国内における中国の秘密警察組織の可能性があるとみて、実態把握に乗り出した。先に、スペインに本部を置く国際人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」は、中国が世界53カ国で102カ所を超える秘密警察署を運営していると暴露し、韓国国内でも南通市公安局が1カ所を運営していると言及した。駐在国政府を通さない領事活動や自国民調査は主権侵害で、内政干渉に該当する。

 中国人が経営しているこの料理店は、建物・メニューなど、外から見る分にはソウルの一般的な中華料理店と大きな差はない。このレストランを営んでいる法人は、2018-19年に売り上げより2-3倍も大きな当期純損失を出しており、最近はコロナ防疫で被害が拡大した。それでも現在まで6年以上も営業し続けていることなどに当局が疑念を持っている

情報消息筋は「秘密警察署が世界的に問題になった後、屋内の工事をするとして来年初めに営業を臨時中断するところも釈然としない」と語った。

 こうした中、韓国外交部(省に相当)は22日、「中国を含む全ての国とコミュニケーションを取っている」としつつも「実態把握に関連して、現段階で言及すべき事項はない」とコメントした。米国、日本、欧州連合(EU)などは外交当局だけでなく首脳まで乗り出して中国に対して問題を提起し、秘密警察署の閉鎖命令を下したのに比べ、韓国政府は消極的な姿勢を見せている-との指摘が出ている。キム・ウンジュン記者


(朝鮮日報 2022/12/25)

〇駐韓中国大使館「事実無根」

 韓国の情報機関が中国の秘密警察としてマークしてきたソウル江南地区のある中華料理店が23日「来週以降は営業せず廃業する」と明らかにした。駐韓中国大使館はこの店が秘密警察という疑惑について「完全な事実無根」と主張している。今回の問題について外交関係者の間からは「中国の王毅・外相の来韓を含む韓中政府高官の交流に影響を及ぼしかねない」との見方も出ている。

 今回「中国の拠点」とされた飲食店の入口には「予約されたお客様だけです」との案内が貼られ、一般客の立入りが制限された。当初店のホームページは「来年1月から1カ月間、内装工事のためしばらく休業する」と伝えていたが、今年12月31日を最後に営業をやめることも分かった。店の関係者はメディアの取材に「秘密警察疑惑」を否定したが、それ以外の具体的なことは何も語らなかった

 駐韓中国大使館はこの日、報道官名義の声明を出し「いわゆる『海外警察署』など一切存在しない」と主張した上で「中国は一貫して内政不干渉の原則を堅持しており、国際法を厳格に守り、司法主権を尊重している」「中国の公安・検察と韓国の検察・警察は緊密な意思疎通のルートを構築し、高いレベルの協力関係を維持している」と説明した。中国大使館は「(メディアが)騒ぎ立てているうわさによる意図的なねつ造を中断し、韓中両国国民の理解と友好的な感情を促進するため実質的な仕事をたくさんしてほしい」とも呼びかけた。

 韓国外交部(省に相当)の関係者は「一連の動向に注目しており、韓国国内の関係機関などと必要な協議を行っている」「外国の政府機関などによる(韓国)国内での活動は、関係する国内法や国際的な規範をしっかりと守った上で行わねばならない。この考え方は確固としている」とコメントした。秘密警察設置の疑惑が事実であれば、ウイーン条約など国際規範や国際法に反するため、韓中関係に大きな影響も出てきそうだ。キム・ウンジュン記者