(産経新聞 2022/11/13)

【プノンペン=田中一世】岸田文雄首相は13日(日本時間同)、カンボジアの首都プノンペンで開かれた東アジアサミット(EAS)で「東シナ海では中国による日本の主権を侵害する活動が継続、強化されている」と訴え、中国を名指しする形で覇権主義的な行動を批判した。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海で中国公船の侵入が相次いていることを踏まえ、非難したとみられる

また、中国軍が8月に台湾周辺で行った軍事演習で、日本の排他的経済水域(EEZ)に弾道ミサイル5発を着弾させたことに言及し、「台湾海峡の平和と安定も地域の安全保障に直結する重要な問題だ」と主張した。

中国が東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国のフィリピンやベトナムなどと領有権問題を起こしている南シナ海についても「軍事化や威圧的な活動など地域の緊張を高める行為が依然続いている」と指摘した。中国による新疆ウイグル自治区での人権侵害や香港情勢に対する「深刻な懸念」を表明した。

ロシアによるウクライナ侵略や核兵器による威嚇を非難した。「77年間の核兵器不使用の歴史がある中、仮に今回使用されることがあれば人類に対する敵対行為だ」と語り、国際社会全体で明確なメッセージを発するよう訴えた。

東アジアサミットにはASEAN10カ国に加え、米国、中国、ロシア、韓国などの首脳らが出席した。


(NHK 2022/11/13)

カンボジアを訪れている岸田総理大臣は、ASEAN各国やアメリカ、中国、ロシアなどが参加する東アジアサミットに出席し、中国が東シナ海で日本の主権を侵害する活動を継続・強化していると名指しで批判しました。

岸田総理大臣は、訪問先のカンボジアで日本時間の13日午後、地域の安全保障について意見を交わす「東アジアサミット」に出席し、アメリカのバイデン大統領や中国の李克強首相、それにロシアのラブロフ外相も参加しました。

この中で岸田総理大臣は、中国について、沖縄県の尖閣諸島周辺など、東シナ海で日本の主権を侵害する活動を継続・強化しているなどと名指しで批判しました。

また、ことし8月に中国軍が発射した弾道ミサイルの一部が日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したことに触れ、台湾海峡の平和と安定も、地域の安全保障に直結する重要な問題だと指摘しました。

さらに、香港情勢や新疆ウイグル自治区の人権状況に対する懸念や南シナ海への海洋進出、地域における経済的威圧への強い反対を改めて表明しました。

一方、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐっては、力による一方的な現状変更の試みは世界中のどこであっても認められず、核兵器による威嚇や使用は人類に対する敵対行為だとして、国際社会全体で明確なメッセージを出す必要があると訴えました。

このほか、北朝鮮が高い頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返していることは、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦であり看過できないとして、国際社会が一体となって国連安全保障理事会の決議を完全に履行させることが不可欠だと主張しました。