(毎日新聞 2022/09/09)

 ヘイトスピーチ(憎悪表現)を含む文書を職場で繰り返し配布され、精神的苦痛を受けたとして、東証プライム上場の不動産会社「フジ住宅」(大阪府岸和田市)に勤める在日韓国人の女性が、同社と会長に計3300万円の損害賠償などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は8日付で、会社側の上告を棄却する決定を出した。132万円の賠償と文書の配布差し止めを命じた2審判決が確定した。

 小法廷は「上告理由に当たらない」とだけ述べた。裁判官5人全員一致の意見

 1、2審判決によると、女性は2002年からパート社員として勤務。フジ住宅は13年以降、正しい歴史認識を広めるためとして、従軍慰安婦の歴史認識などに関し中国や韓国の出身者を「うそつき」などと侮辱する内容が書かれた雑誌記事などを職場で繰り返し配った

 1審・大阪地裁堺支部判決は20年7月、文書の配布は在日韓国人に顕著な嫌悪感を抱いている会社から差別的な取り扱いを受けるのではないかとの危惧感を女性に抱かせるものだと指摘。女性の人格的利益を侵害する恐れがあるとして、110万円の賠償を命じた

 2審・大阪高裁判決は21年11月、継続的かつ大量の文書配布は差別的言動の温床を生むが、同社は差別的思想が醸成されないような環境作りに配慮することを怠ったとして賠償金を132万円に増額した。1審判決後も文書配布が続いたことから、女性は2審で文書配布の差し止めも求め、高裁は「職場での差別を助長し、会社側が得られる正当な利益も想定しがたい」として差し止め請求を認めた。【遠山和宏】


(朝日新聞 2022/09/09)

 職場で民族差別的な文書を繰り返し配られて精神的苦痛を受けたとして、在日韓国人の女性が、東証プライム上場の大手不動産会社「フジ住宅」(大阪府岸和田市)側に賠償などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は8日付の決定で、会社側の上告を退けた。同社と今井光郎会長に132万円の賠償と文書の配布差し止めを命じた二審・大阪高裁判決が確定した。

 フジ住宅は2013年以降、韓国人や中国人を侮辱・中傷するネットや雑誌などの記事のコピーを、職場で繰り返し配布した。従業員の女性が提訴すると、提訴を非難する社員の意見を載せた資料も配った。

 昨年11月の二審・大阪高裁判決は、文書にはヘイトスピーチにあたる差別的な言動が含まれると指摘。「職場での配布を正当化する理由は見当たらない」としたうえで、「『朝鮮民族はすべてうそつき』といった意識を醸成させ、現実の差別的言動を生じさせかねない温床をつくりだした」と会社の対応を批判した。

 原告の女性は最高裁の決定を受け、「(会社には)謝罪と、職場での人との関係を回復できる環境をつくってほしい。(裁判が)一人一人が尊重されて働くことができ、多様性が当たり前に大切にされる社会の実現の後押しにつながればうれしい」とする談話を出した。(根岸拓朗)

2015年09月01日
2020年07月02日