(中央日報 2022/08/18)

文在寅(ムン・ジェイン)政府で、軍当局が低い高度で近接飛行する日本海上哨戒機に対して現場指揮官が追跡レーダーを照射するなど積極的に対応するよう指示をする指針を作っていたことが確認された。2018年12月~2019年1月、相次ぐ日本海上哨戒機低空威嚇飛行に伴う措置だった。追跡レーダーの照射は艦砲やミサイル攻撃の意志を伝えるものだ。ところでこの指針は韓国防空識別圏(KADIZ)を絶えず無断進入する中国や領空を侵したロシアには適用されない。そのため公海で唯一日本との交戦は辞さないという趣旨となる。

17日、与党「国民の力」の申源湜(シン・ウォンシク)議員によると、2019年2月軍当局は「日哨戒機対応指針」を海軍に通達した。これはその年1月に作成した「第三国航空機対応指針」とは別途の指針だ。

「第三国航空機対応指針」は公海で第三国の航空機が味方艦艇に近づいた場合、段階的に対応するよう指示する内容を含んでいる。第三国航空機が1500フィート(約457メートル)以下に降りてきて近くまで接近すれば、味方艦艇は相互を識別した後、通信で警告するなどの4段階の手続きに従って行動するよう定めている。1次警告が通じなければさらに強硬な内容のメッセージを2次として発信しなければならない

ところで「日航空機対応指針」は「第三国航空機対応指針」と比べると、1段階さらに追加された5段階となっている。日本軍用機が2次警告通信にも応じず近距離を飛行した場合、「追跡レーダー照射」で対抗するように規定した。追跡レーダーは艦艇で艦砲やミサイルを狙うために標的の方向や距離、高度を測定するレーダーだ。射撃統制レーダーと称したり、日本では火気管制レーダーとしても使う

追跡レーダーを稼働し、レーダービームを航空機に照射するのは攻撃する意志があると相手に伝える行為だ。当初、日本海上哨戒機低空威嚇飛行を巡る韓日間の葛藤も追跡レーダーから始まった。

日本海上自衛隊の海上哨戒機「P-1」が2018年12月20日、独島(トクド、日本名・竹島)北東160キロメートルの海上で韓国海軍の3900トン級駆逐艦「広開土大王」に高度150メートル・500メートルの距離まで近づいて飛行した。海上哨戒機の速度を勘案すると、当時の高度と距離は広開土大王に対して威嚇的だったという評価だ。これに関連して日本側は海軍広開土大王艦が先に追跡レーダーを照射したと主張した。しかし軍当局の調査結果、当時広開土大王の追跡レーダー「STIR 180」は稼働していなかった。

その後、日本は2019年1月に3回にわたり海軍艦艇上に海上哨戒機を飛行させ、これによって両国関係が急激に悪化した。

問題は軍当局が日本海上哨戒機に対して「追跡レーダー照射」段階を規定したことに加え、現場指揮官が自衛権次元でこれを決定できるようにしていた点だ。「慎重に実施せよ」という条件を付けたが、一歩間違えれば武力衝突につながりかねない権限を現場指揮官に委ねたといえる

キム・ジンヒョン前合同参謀本部戦略部長(予備役海軍少将)は「日本は我々と政治的葛藤はあったが、軍事的衝突にまで続いたことはなく、事実上安保分野では協力する国」とし「日本が攻撃する可能性が高くないにもかかわらず指揮部が曖昧な命令で艦長に軍事的衝突を起こしかねない行動を委ねたのはやり過ぎ」と指摘した。

また「日航空機対応指針」が日本を韓国の軍事管轄権に対して友好的ではない中国・ロシアよりも強硬に扱っている点が問題だという指摘もある。軍事的に緊張を緩めてはいけない中国・ロシア軍用機に対する対応は、日本とは違って第三国と同じように積極的警告通信など4段階までがすべてだった

実際、最近韓国の領空を侵したのはロシア軍用機だった。ロシア空軍の早期警戒機「A-50」は2019年7月23日午前9時1分ごろ、独島領空を2回侵犯した。当時、韓国空軍の戦闘機「F-16」が機関砲で警告射撃をしながらロシア早期警戒機を領空の外側に追い出した。ロシア早期警戒機の領空侵犯はロシアの戦略爆撃機「Tu-95」と中国戦略爆撃機「H-6」の連合編隊がKADIZを我が物顔で行き来する過程で起きた。戦略爆撃機は核攻撃が可能だ。

追跡レーダー照射が引き起こしかねない外交・軍事的爆発性のために、2019年2月軍当局が「日航空機対応指針」を作った際、軍内部からは「日本と戦争をしようということか」という批判が多く出ていた。関連事情をよく知る匿名の政府消息筋は「『日航空機対応指針』は青瓦台(チョンワデ、旧大統領府)安保室が主導し、軍当局の原案よりも強硬に作った」と話す。

申源湜議員は「日本海上哨戒機を特定して、別途の指針で現場指揮官に軍事的対応まで委任したというのは非常に危険な政策」としながら「軍事的に日本を例外的に優待するのもいけないが、特に強硬な措置を講じるのも不適切だ」と指摘した。

国際法学者であるイ・キボム延世(ヨンセ)大学法学専門大学院教授は「国家が自衛権を行使できるのは当然だが、自衛権行使に先立ち外交的関係も考慮しなければならない」と述べた。

軍当局は日本軍用機に強く対応するように指示する指針を作ったが、実際の前線では対立状況を作らないように相互の動きを事前に知らせていた。国防部が申源湜議員室に報告した内容によると、韓日両国の軍用機が相手側軍艦側に飛行する場合、両側は積極的に情報を交換した。また、韓国軍艦の近隣に中国・ロシア軍艦が現れる場合、日本海上哨戒機が識別・採証のために低高度飛行をする前に、韓国側にこのことを事前に知らせた。

また別の政府消息筋は「韓国と日本の政治家が国内政治を意識して強硬基調を取る場合も、両国安保当局では偶発的な衝突は大きな禍根を残す場合があるので、とりわけ注意が必要だという認識があった」と話した。一歩間違えれば韓日間の軍事衝突につながりかねないため、現場では「日航空機対応指針」は事実上有名無実だった。これに関連して国防部は「日航空機対応指針の破棄を検討中だと申源湜議員室が伝えた

政権が代わって↓の具体的な内容が明らかになったようですね。

2019年04月22日