(聯合ニュース 2022/08/17)

 韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は就任から100日となる17日に記者会見を開き、対日関係について、「両国が未来志向の協力関係を強化する時、譲歩と理解を通じ歴史問題がより円満に、早期に解決できると信じている」と述べた。日本メディアの質問に答えた。

 韓国の大法院(最高裁)が日本企業に徴用被害者への賠償を命じた判決を巡っては、「大法院で確定判決が出て、判決債権者(原告)は法による補償を受けるようになっている」としたうえで、「ただ、判決を執行する過程で日本が憂慮する主権問題の衝突なく、債権者が補償を受けられる方策を講じている」と説明。「私は肯定的に見ている」と述べた。

 また、「韓日関係は現在の北東アジアと世界の安全保障状況に照らしても、供給網と経済安保の側面からも、もはや未来のため緊密に協力しなければならない関係になった」と強調。「両国が歴史問題で合理的な方策を導き出せると、政府と国民が成し遂げられると考えている」と述べた。


(朝日新聞 2022/08/18)

 高いレベルの対話が機能すれば、懸案を乗り越える道筋も開けるだろう。日本と韓国の両政府はともに努力し、関係修復に全力であたるべき時だ。

 就任100日を迎えた韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が、初の記者会見をした。そのなかで徴用工問題について、日韓双方に受け入れ可能な方策の捻出に力を注いでいることを明らかにした。

 韓国の司法では、被告の日本企業に賠償を命じた判決が確定している。一方の日本政府は法的に解決済みとしており、もし企業の資産が現金化されれば、厳しく報復する構えだ。

 その事態を避ける狙いを念頭に、尹氏は演説で「日本が憂慮する問題と衝突せず、債権者が補償を受けられる案を今深く講じている」と述べた。

 この発言は、日本企業に損害を与えずに被害者の救済にあたる考えを示唆しており、これまで以上に踏み込んでいる

 元徴用工や遺族らは依然、日本企業の謝罪などを求めて反発している。尹政権には難題に違いないが、被害者らの声にできるだけ誠実に応えつつ、外交問題を打開するための具体案を早期に示してもらいたい。

 尹氏は植民地支配からの解放を祝う光復節でも、日本を「力を合わせていかなければならない隣人」と評した。また、「普遍的な価値を基盤に未来に向かって進む時、歴史問題も解決できる」とも述べ、関係改善の必要性を訴えた。

 日本に複雑な感情が残る韓国社会で、政治指導者が直近の政権より強いトーンで未来の大切さを説くのは勇気を要する。発足直後から支持率の低迷に苦しむ尹政権としては、なおさらだろう。一連の発言からは、それなりの覚悟が伝わってくる。

 歴史に責任を持つ当事者である日本の側も、呼応した動きをみせるべきである

 歴代政権は談話などで、植民地支配に対する謙虚な思いを表明してきた。その姿勢を再確認するとともに、3年前に実施した韓国向けの輸出規制強化措置の解除に向けた手続きを始めてはどうか

 もともと徴用工問題で動かない韓国政府への報復として実行した措置だ。完全な撤回には時間を要するが、尹政権の韓国内での調整を後押しする前向きなメッセージとなりうる

 アジア太平洋の情勢が複雑さを増すなか、日韓には多くの共通課題があることを忘れてはなるまい。ともに安全保障で米国と同盟関係にある一方、中国経済との結びつきが強い。台湾海峡や北朝鮮問題は、協調対処することが理にかなう。

 日韓に今必要なのは、大局を見据えた関係づくりである。