【独自】北朝鮮技術者、日本のスマホアプリ開発…報酬不正送金容疑で知人ら書類送検へ
(読売新聞 2022/05/18)

 中国に住む北朝鮮のIT技術者が、日本に住む知人の名義を使って、日本のスマートフォンアプリの開発業務を請け負っていたことが捜査関係者への取材でわかった。報酬は知人の口座から日本に住む親族の口座に送金させ、中国で現金を引き出していた

 神奈川県警は、国外への不正送金に当たるとして、銀行法違反(無許可営業)容疑などで知人と親族の2人を近く書類送検する。


 北朝鮮は海外にIT技術者を送り出して外貨獲得を行っていると米政府などから指摘されている。県警は、日本のスマホアプリの開発も外貨獲得の一環で、資金の一部が北朝鮮に送られた可能性があるとみている。

 捜査関係者によると、IT技術者は中国・遼寧省を拠点としている40歳代とみられる北朝鮮籍の男。

 このIT技術者は、神奈川県内に住む知人の韓国籍の男(57)の名義を使って、法人・個人とフリーランスの技術者らをマッチングする日本のサービスに登録。日本企業からアプリの開発や修正などの業務を受注し、顧客に納入していた。

 IT技術者は2019年以降、地図アプリの更新や大手通販サイトの出品者サポートシステムの保守管理など7件の業務を請け負っていたという。中には、自治体の防災アプリの修正業務も含まれていた。アプリを開発した企業が、マッチングサービスを利用してIT技術者に発注したとみられる。

 業務への報酬は、契約名義人となった韓国籍の男の口座に振り込まれた後、この男が手数料を差し引き、IT技術者の親族に当たる東京都内の女(75)の口座に送金していた。

 女は口座にひも付けられた自分名義のデビットカードを中国に送り、IT技術者はこのカードを使って、19年2~6月だけで約400万円分の人民元を引き出したという。

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 デビットカードは、海外の現金自動預け払い機(ATM)で日本円を現地通貨に替えて引き出すことができる。県警はその特性を悪用した不正送金とみて、手数料を受け取っていた男に銀行法違反容疑、カードを提供した女に同ほう助容疑を適用する方針だ。


(読売新聞 2022/05/18)

 北朝鮮のIT技術者が日本のスマートフォンアプリの開発に関与していた疑いが、神奈川県警の捜査で浮上した。北朝鮮の技術者を巡っては、サイバー攻撃に加担するケースがあると指摘されており、アプリの安全性に問題が生じかねない実態が浮かぶ。

 「北朝鮮に資金を与え、経済制裁の抜け穴になるだけでなく、日本の利用者の情報を抜き取られる可能性がある」。捜査関係者は今回の事件について、そう危機感をあらわにした

 事件では、中国に住む北朝鮮のIT技術者が2019年以降、知人の在日韓国人の名義を使い、少なくとも7件のアプリ開発などに関与したとされる。

 地図アプリの更新や、大手通販サイトの出品者サポートシステムの保守管理のほか、自治体の防災アプリの修正業務などが含まれていた。これまでの県警の捜査では、アプリやシステムに不審点などは見つかっていないという。

 だが、米政府が16日に公表した注意喚起の文書によると、北朝鮮の「IT労働者」は業務で取得した接続権限を悪用し、サイバー攻撃を支援することがある。北朝鮮は暗号資産取引所などへのサイバー攻撃を繰り返しているとされ、取得した権限を用いて攻撃拠点を作っている可能性がある。

 米政府の文書は、北朝鮮がIT労働者を外貨獲得源として重視し、国内外で数千人を稼働させていると指摘した。偽の身分証を使い、韓国人や中国人、日本人などを装って企業とフリーランス契約を締結するという。県警が今回捜査している事件と同様の構図だ。

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 核やミサイル開発を進める北朝鮮に対し、17年に国連安全保障理事会が決議した制裁では、国外で収入を得ている全ての北朝鮮人労働者を19年12月までに本国に送還するよう国連加盟国に求めた。だが、中国やロシアなどを中心に、依然として多くのIT労働者が稼働しているとされる。

 米政府は、こうしたIT労働者のほとんどが北朝鮮の軍部や核ミサイルの研究開発を担う機関と関係があるとみており、「労働者の活動を支援したり、金融取引を行ったりした場合、制裁の対象になる可能性がある」と警告している。

 捜査関係者は「フリーランスに業務を発注する企業や自治体は、契約相手の確認などを徹底することが重要だ」と話した