(朝鮮日報 2022/01/08)

 北朝鮮は来月開催される北京冬季オリンピックの不参加を中国に正式に伝えた。韓国政府は北京冬季オリンピックを南北関係改善に向けた「第2の平昌」にしたいと期待を示してきたしかし北朝鮮は新年早々から韓国のミサイル防衛を無力化する「ゲーム・チェンジャー」級の新たな兵器を相次いで発射し、さらに北京で「平和イベント」の開催を呼びかける韓国からの提案を足蹴にした。これは終戦宣言など文在寅(ムン・ジェイン)政権による任期末の南北関係構想はもちろん、5年の任期期間中に力を入れてきた平和プロセスが事実上の失敗で幕を下ろす可能性が高いことも意味する

 北朝鮮オリンピック委員会と体育省は5日、中国オリンピック委員会などに北京冬季オリンピック不参加を伝える書簡を送った。朝鮮中央通信が7日に報じた。書簡の日付は文大統領が東海の最前線を訪問し、北朝鮮が極超音速ミサイルを発射したまさにその日だ。北朝鮮は書簡で「敵対勢力の策動と伝染病の状況により競技大会に参加できなくなったが、オリンピック祝祭に向けて準備を進める中国を全面的に支持・応援する」と書かれてあったという。

 北朝鮮オリンピック委員会(NOC)は東京オリンピックに参加しなかったことを理由に国際オリンピック委員会(IOC)から今年の末まで資格停止処分を受けている。それでも北朝鮮選手たちは個人の資格でオリンピックに出場できるが、これについても北朝鮮は可能性を閉じてしまったのだ。

 北朝鮮の不参加は「コロナ恐怖」が1次的な理由だが、それ以外に文在寅政権の提案に魅力を感じていないことを示す間接的な証拠との解釈もある。韓国政府は北朝鮮との対話再開に向け国際的な民主主義戦線から離脱し、対北人権・制裁に歩調を合わせなかった。北朝鮮が核・ミサイルについて「挑発と言うな」と要求すると、韓国政府の発表から「挑発」という言葉が消え、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が制裁解除を要求すると、韓国外交部(省に相当)の鄭義溶(チョン・ウィヨン)長官はその要求に合わせて米国で「制裁を緩和すべき時」と訴えた。しかし北朝鮮はこれにミサイルとオリンピック不参加で答えた。ある韓国政府筋は「北朝鮮は核を認めさせ、制裁を解除させる手段として南北関係を利用しようとした」「米中対立でこの目的達成が難しくなった状況では、防疫リスクを甘受してまでオリンピックに参加する理由はないだろう」との見方を示した。 キム・ミョンソン記者


(韓国経済新聞/中央日報 2022/01/08)

(略)北京では北朝鮮が五輪不参加を公式化したことで政府代表団を送る可能性はさらに低下したという分析が出ている。また、来月6日に北朝鮮では最高人民会議が開催される予定であり、代表団を派遣しても幹部は抜けると予想される。

北朝鮮専門家は「北京冬季五輪を契機に韓半島(朝鮮半島)平和プロセスを再稼働しようとしていた政府の構想が事実上なくなった」とし「任期が少ししか残っていない文在寅(ムン・ジェイン)政権の立場では、ふさがった南北関係の突破口を開くのがさらに難しくなった」と診断した。