(中央日報 2021/06/16)

11~13日に英コーンウォールで開催されたG7首脳会議の記念団体写真をめぐる議論が熱い。団体写真での文在寅(ムン・ジェイン)大統領の立ち位置と、ノーネクタイの服装などをめぐってだ。通常の儀典原則などに基づいて誤解と真実を探ってみた。

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▲青瓦台(チョンワデ、大統領府)の金光珍(キム・グァンジン)青年秘書官がシェアした「大韓民国政府」アカウントのフェイスブック写真。左端の南アフリカ大統領の部分がカットされている。

◇前列中央に文大統領、「大韓民国の地位」?

先進7カ国と招待国4カ国の首脳、国際機関トップの13人が一緒に撮った写真の中で文大統領は1列目の右から2番目にたった。開催国首脳のジョンソン英首相のすぐ横、中央に近い位置だった。

文化体育観光部もやはりこれを強調しようとするかのように該当写真を活用したフェイスブックへの投稿で「写真1枚で見る大韓民国の地位」というタイトルをつけた。この投稿の本文には「この位置、この姿が大韓民国の地位です。私たちはこれほどになりました」という内容が書かれた。文大統領が1列目の中央近くに立ったのは国際社会で韓国が占める地位のおかげだったという趣旨と解釈できる文面だった

だがこれは通常の儀典序列に従ったものにすぎないというのが外交界の常識だ。複数の国の首脳が参加する多国間外交行事で団体写真を撮る際、最前列中央には常に行事主催国が立つ。そのほかは通常の儀典序列に基づき前後列あるいは中央と外側の配置が決まる。

ほとんどの国は「外賓の格」を分けているが、最も儀典序列が高いのが国家元首である大統領だ。次の序列が行政首班である首相だ。序列が同じ時は在任期間が長いほど、在任期間が同じなら年長であるほど序列が高いとみる。今回の団体写真もこうした儀典マニュアルに忠実に従ったもので、国の地位や国力などとは関係がない

実際に写真の最前列には主催国首脳であるジョンソン首相を除くと全員大統領が立った。ジョンソン首相の左にフランスのマクロン大統領が、右に文大統領が立った。両首脳とも就任が2017年5月で、出席した大統領のうち任期が最も長い。バイデン米大統領は任期6カ月目で中央から遠い端に配置された。

2列目は全員首相が立った。日本の菅義偉首相が文大統領より後の列に立ったのも行政首班である首相であるためだ。日本の国家元首は天皇だ。ドイツのメルケル首相、カナダのトルドー首相も菅首相と同じく2列目に並んだ。

グテーレス国連事務総長とミシェル欧州理事会議長は3列目に立った。国際機関トップの位置は行事の性格により変わったりもするが、主催国の裁量によって決定されるとみるのが通常だ。

元外交部高位関係者は「首脳会議の場合、動線、食事メニュー、写真撮影位置などすべての事柄が儀典要素で、一から十まで徹底する計画されたマニュアルによってなされる。もしかしてわからない差別的要素までも数十回にわたり点検する首脳会議で写真撮影の位置を国の地位とつなげるのは過度な憶測」と話した。

◇「ノータイ」の文大統領、大型儀典事故?

文大統領がスーツでなくジャケット姿でネクタイをしていないことをめぐり「儀典事故」ではないのかという話も出ている。

結論から言えば文大統領のこうした服装は「意図した結果」というのがG7首脳会議に直接的・間接的に関与した政府関係者の説明だ。多国間首脳行事でドレスコードはやはり主催国が決める。主催国が行事別のドレスコードを参加国に事前に通知し、参加国はこれに合わせて首脳の服装を準備する。公式セッション、歓迎夕食会、写真撮影など行事ごとに着る服装が変わることも多い。

写真を見ると文大統領以外にミシェルEU議長もネクタイを締めていないが、これは英国側で特別なドレスコードを要求しなかったためとみるべきというのが複数の外交消息筋の見解だ。

ただそれでもいまだに多くの首脳は最高級外交行事でスーツにネクタイをするケースが多い。特に夜間のレセプションや夕食会には黒や紺色などでドレスアップする伝統的なブラックタイスタイルが依然として基本となる。今回のG7団体写真でも男性首脳らはほとんどがダークカラーの服を着た。

また、カジュアルスーツを着る時も上着とズボンの色は同じ系列で合わせるのが伝統的な儀典慣例と認識される。「高尚な(noble)服は良いが、珍しい(novelty)服は避けるべき」という言葉があるほどだ。

文大統領が明るいブルーの上着にグレーのズボンで上下の色を合わせていないのがやや目立った理由でもある。典型的なスーツ姿を崩すことで若く自由な雰囲気を演出するには成功したかもしれないが「突飛だ」という評価を受ける素地がある。

◇菅首相が上げた写真では米韓首脳ともカット

文化体育観光部はこの写真を広報に使いながら原本ではなく南アフリカのラマポーザ大統領をカットし編集した写真を使って議論を呼んだ。

ところが菅首相もやはり13日に自身のSNSにこの団体写真を上げながらジョンソン首相を中心に右側に立っていた6人をまるごとカットした編集写真を使った。文大統領だけでなくバイデン大統領などの姿が写真から消えた。目立たせたい場所が違うかもしれないが、首脳らの団体写真を任意に編集したり特定人物をカットするのはそれ自体で外交欠礼に該当しかねない。