(朝鮮日報 2020/12/31)

コロナ感染の第三波
ワクチン確保までの手続きは残っているのに…韓国政府が事前に発表か

 米国の製薬会社モデルナ社と2000万人分のコロナ・ワクチン供給で「合意した」とする青瓦台(韓国大統領府)の発表とは異なり、モデルナ側は「韓国政府と協議中」と説明した。そのため「青瓦台はワクチン供給契約についてやや先走ったのではないか」との指摘が出ている。

 モデルナは29日(現地時間)「韓国に4000万回接種分のコロナ・ワクチン供給に向けた韓国政府との協議を確認する」という見出しのプレスリリースを公表した。その中でモデルナは「韓国政府と潜在的に4000万回接種分あるいはそれ以上のモデルナ・ワクチンを供給するため協議中であることを確認する」として「提案された合意内容によると、配布は2021年の第2四半期に始まるかもしれない」と伝えた

 前日に青瓦台は「文在寅(ムン・ジェイン)大統領がモデルナのステファン・バンセルCEO(最高経営責任者)と27分間電話会談を行った」「韓国に2000万人分に相当する4000万回接種分のワクチンを供給することで合意した」と発表した。これはモデルナが発表した内容とはかなりの温度差がある。

 モデルナが米国、英国、シンガポールなどとワクチン供給で合意した際に発表した内容と比較しても明確な違いがある。モデルナは今年8月11日「米国政府と早期に1億回分供給で合意」という題目のプレスリリースを出した。これによるとモデルナは「米国政府は1億回分を確保したと発表する」という表現を使った。これに対して韓国に関する発表には「確保」という言葉がない

 先月17日、英国政府とワクチン供給で合意した際にもモデルナは「英国政府との供給合意を発表する」と伝えた。英国の規制当局が使用を承認すれば、2021年3月から供給を開始する」という具体的な文言もその内容に含まれていた。

今月14日にシンガポールとワクチン供給で合意した際には「シンガポール保健省と契約を結んだ」と説明した

 モデルナが韓国について使用した「協議を確認する」という表現は、通常であれば交渉中であることを正式に認める際に使う言葉のようだ。モデルナは8月24日「欧州に8億回分を供給するため、欧州連合執行機関との協議が進展していることを確認する」と発表した。それから3カ月後の11月25日「欧州連合が早期に8億回分の事前購入契約を承認したことを発表する」と説明した。協議から契約まで3カ月以上の時間を要したのだ。

 青瓦台も今月28日、文大統領とバンセルCEOとの電話会談について発表する際、その時点では最終契約に至っていないことを明確にした。青瓦台の康珉碩(カン・ミンソク)報道官は「合意に基づき、政府とモデルナは(中略)ワクチン供給契約を年内に締結する計画」と説明した。しかし実際は年内の契約が可能かどうかは未知数だ。

 モデルナは日本と交渉を行っていた今年8月28日「4000万回分を日本に供給するため、日本の厚生労働省と協議中であることを確認する」と発表した。その当日、コロナ関連の会見を行った当時の加藤厚生労働大臣はこれについて「モデルナとは現在交渉を行っている」としか明らかにしなかった。記者団からの「4000万回分はいつ頃を目標にしているのか」との質問にも「来年の前半から4000万回分以上を供給する前提で協議を進めているが、それ以上はまだ交渉段階」としか明かさなかった。それから2カ月後の10月29日、最終契約が結ばれた後に厚生労働省は「契約を締結した」と発表した。青瓦台がモデルナとの協議について「合意した」という断定的な言葉を使ったこととは対照的だ

 「モデルナの発表と温度差がある」との指摘について青瓦台のある幹部はこの日「(合意を)否定する内容と受け取るのは非常識だ」と反論した。

 これに対してモデルナの発表内容の中には「このプレスリリースに出てくる未来志向的な叙述は、約束や保障ではない」という文言もあったが、これは米国商法に基づき、未来についての見通しが事実と受け取られ、企業が責任を負うことを避けるために通常よく使われる言葉だ。


交渉がある程度進んだら一方的に公表して、「もう公表してしまった。これで妥結しなければメンツがつぶれるニダ」と交渉を仕上げようとする韓国政府・民間の常套手段ですね。