(朝鮮日報 2020/11/21)

 韓国統一部(省に相当)の李仁栄(イ・インヨン)長官が「南北が(コロナ)治療薬とワクチンの分野で互いに協力できれば、北朝鮮としては防疫による経済的犠牲から抜け出すきっかけを得られると思う」とした上で「(コロナ・ワクチンが)多少は足りないとしても、足りない時に共に分け合うことが本当の分かち合いだ」と述べた。全世界がワクチン確保戦争を行っている中、今に至るまで韓国政府はワクチンを全く確保できていないにもかかわらず、北朝鮮に持って行くことから先に考えているのだ

ところが北朝鮮の宣伝メディアは翌日「なくても良い物資のために国境の外をながめながら子供たちを見殺しにするのか」と主張した。李長官の提案に対し「必要ない」として受け流したと解釈できるだろう

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は今年の3・1節の記念辞で「南北間の防疫協力」を提案した。すると北朝鮮は翌日、新型放射砲を使った挑発でこれに応えた。青瓦台(韓国大統領府)が遺憾を表明すると、金与正(キム・ヨジョン)氏は「おびえた犬」「ばか」などと侮辱した。昨年、文在寅政権は北朝鮮に対し「食料を受け取ってほしい」と懇願するかのように呼びかけたが、北朝鮮は「恩着せがましい」「みっともない」としてこれを無視した。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が核とミサイルを引き続き増強しても、逆に韓国政府は何も提供できずにもどかしがり、そのたびに北朝鮮がこれを足蹴にするパターンが繰り返されている。惨憺たる思いだ。

 北朝鮮政権による人権侵害を糾弾する国連決議が16年連続で採択された。今年の決議案には「北朝鮮のコロナ対応は国際人権法と安保理決議に従うべきだ」との内容も加えられている。2カ月前に北朝鮮がコロナ防疫を口実に韓国の公務員男性を銃殺した事件を間接的に批判したのだ。ところが韓国政府は昨年に続き今年も決議案には加わらなかった。自国民が冷たい海で射殺され、遺体が焼却されたにもかかわらず、その人権のための外交努力さえ放棄したのだ。ただそれでも北朝鮮におけるコロナ防疫は心配だそうだ

 金正恩氏が「核保有国」を改めて宣言した直後、李仁栄長官は「爆弾が投下される戦争中であっても、平和を叫ぶ人間だけがより正義だ」と夢のような話をした。韓国の安全保障において堡塁とも言える韓米同盟については、「冷戦同盟」としてその価値を引き下げた。立っても座ってもいつも北朝鮮のことばかり考える李長官の片思い、恋煩いについては以前からわかっていた。しかしコロナ・ワクチンの獲得競争に韓国だけが後れを取り、国民が不安を感じている時に、「ワクチンは北朝鮮と分け合って使うべきだ」とまで考えているとは思わなかった。ここまでくれば重症と言うべきではないか


人口比に合わせて、入手した3分の1は北に送らないとね。