(京都新聞 2020/09/14)

 京都朝鮮第一初級学校(京都市南区、閉校)をおとしめる発言をしたとして、名誉毀損(きそん)罪に問われ、一審で罰金50万円を言い渡された「在日特権を許さない市民の会(在特会)」元幹部の男(51)の控訴審判決が14日、大阪高裁であった。長井秀典裁判長は、元幹部の男の控訴を棄却した。判決を受け、被告側は上告する方針を示した。

 控訴審の争点は、「この朝鮮学校は日本人を拉致した」などとする被告の発言において、「朝鮮学校」が具体的に京都朝鮮第一初級学校を指していたのかどうかだった。被告側は、大阪にあった朝鮮学校の関係者が拉致事件に関わったという報道などを元に、「一般的な朝鮮学校を指して発言した」などと主張し、名誉毀損罪には当たらないとしていた

 判決は、かつて京都朝鮮第一初級学校があった場所の近くで街宣していることなどから、「京都朝鮮第一初級学校を指しているのは明白」として控訴を棄却した

 また、判決は、被告の発言の公益性などには言及せず、事実上、「朝鮮学校関係者かな、と思ったら110番して」などの発言は公益目的だったとした、一審・京都地裁判決を追認する形となった

 被告側の弁護人は「言い間違いや言い足りないことも認めないという、表現の自由を著しく損なう判決で、萎縮効果は絶大だ。街宣などは慎重にならざるを得ない」などと判決を批判した。学園側も「『公益性』判断を維持する判決で、強い憤りを禁じ得ない」とのコメントを出した

 2019年11月の一審・京都地裁判決は、元幹部の男が2017年4月23日、同校跡地近くの公園で「ここに日本人を拉致した朝鮮学校があった」「朝鮮学校関係者かな、と思ったら110番してください」などと発言し、ネット配信して、運営していた京都朝鮮学園の名誉を傷つけたとした。ただ、拉致問題を一般に広く知らせるという「公益目的があった」として差別の意図を認めず、求刑懲役1年6月に対して、罰金50万円の判決を言い渡した。

 被告側は、名誉毀損罪には当たらないとして控訴した。一方、検察側は控訴を断念したため、二審大阪高裁判決では罰金以上の懲役刑などはなくなっていた。検察側の控訴断念に対し、京都朝鮮学園は「被告の言動は人種差別が目的で、公益目的は認定されるべきではない」などと抗議声明を出していた

 在特会の元幹部だった被告の男は、2009年に京都朝鮮第一初級学校の校門前で拡声器を使って「日本からたたき出せ」などと連呼したとして、威力業務妨害罪などで有罪判決を受けたことがある。

 2020年7月に始まった大阪高裁での控訴審では、被告側は一審と同じく無罪を主張した。検察側は「拉致事件について明らかにする目的だとしても、学校の社会的評価を低下させることは十分にあり得る」とし、名誉毀損罪が成立するとして被告側控訴の棄却を求め、即日結審していた。



朝鮮学校に対するヘイトスピーチで学校法人京都朝鮮学園の名誉を傷つけたとして、名誉毀損罪に問われた「在日特権を許さない市民の会(在特会)」元幹部・西村斉被告の控訴審判決で、大阪高裁は14日、罰金50万円(懲役1年6ヵ月)を言い渡した1審・京都地裁判決(19年11月29日)を支持し、被告側の控訴を棄却した。また京都地裁が認定した被告の行為に対する「公益性」について、裁判所は判断を避けた

被告は2009年、京都第1初級(当時)周辺で行われた「在特会」メンバーらによる街宣活動に主犯格として関与し、その後実刑判決を受けたが、2017年4月23日、09年当時と同様の場所(学校跡地隣接の公園)で街宣行為に及んだ。被告は拡声器を用いて朝鮮学校への差別的言動を繰り返し行い、その様子をネット上で動画配信。その後、京都地検が、被告を名誉毀損罪で在宅起訴(18年4月20日)し刑事裁判となった。
※2009年のは執行猶予。実刑(懲役1年)判決は2012年のロート製薬強要事件。

1審の京都地裁判決では、名誉毀損を認め、被告に罰金50万円の支払いを命じるも、被告の行為に「公益性」ありとしてヘイトピーチに「お墨付き」を与える不当判断がなされた

同判決に対し、京都朝鮮学園は検察側に控訴を求めたが、京都地検は判決を受け入れ見送りを決定。被告側の控訴により控訴審が行われていた。


(京都新聞 2020/09/14)

 京都朝鮮第一初級学校(京都市南区、閉校)をおとしめる発言をしたとして、名誉毀損(きそん)罪に問われ、一審で罰金50万円を言い渡された「在日特権を許さない市民の会(在特会)」元幹部の男(51)の控訴審判決(大阪高裁)で、14日に控訴が棄却されたことを受けて、朝鮮学校側を支援する弁護団メンバーらが大阪市内で会見し、「刑事司法が差別に加担している」「日本社会が怖い」などと判決への批判や不安を訴えた。

 判決は、無罪を主張した被告側の控訴を棄却した一方で、「朝鮮学校関係者かな、と思ったら110番してください」などの発言に「公益目的があった」とした一審・京都地裁判決を支持する形となった。

 京都朝鮮第一初級学校の卒業生の女性弁護士は「この判決を受けて率直に感じたのは、『日本社会が怖い』『日本で生きるのは怖い』ということ。娘が朝鮮学校の幼稚園に通っていることを、言い出せない場面がある」などとし、「私たちは日本社会で『透明人間』のような扱いを受けている。いないことになっているから、痛みを共感してもらえない。もうここまで虐げたら十分でしょう」と失望を語った

 京都朝鮮第一初級学校を運営していた学校法人「京都朝鮮学園」の趙明浩理事長は「これ以上ヘイトがあってはならない。憂慮しているのは、朝鮮学校に通う子どもたち、保護者が、まだ堂々と在日コリアンとして生きていけない社会が続いていること」と不安を話した。「司法の場で公益性を正さなかったことはあってはならない。今後の同種事件の判決において、差別行為を厳しく断罪する運用へと改善されることを願う」とも述べた。

 弁護団事務局長の冨増四季弁護士は「国際社会にも訴え、ヘイトに加担するかのような日本の刑事司法を変えていきたい」と話した。


2019年11月30日


地裁の判断は「この朝鮮学校は日本人を拉致しております」「朝鮮学校関係者かな、と思ったら110番してください」などの発言について、拉致問題を広めたいという『公益目的』はあるが、それは“京都”朝鮮学園ではなく“大阪”朝鮮学園であり、“京都”朝鮮学園が拉致にかかわったと被告が信じるに足る理由はないため、“京都”朝鮮学園に対する名誉棄損と判断したものですね。

「朝鮮人は拉致犯」や「朝鮮人かな、っと思ったら110番」というような発言に『公益目的』があるとしたものではないのにね。


ちなみに↓は

>大阪にあった朝鮮学校の関係者が拉致事件に関わった

原敕晁(はらただあき)さん拉致の主犯である北朝鮮工作員・シン・グァンス辛光洙)の共犯者、大阪朝鮮民族学校の元校長のキム・キルウク金吉旭)のことです。