(朝日新聞 2020/08/17)

 コロナ禍で困窮する学生に国が最大20万円を支給する「学生支援緊急給付金」の対象から外れ、朝鮮にルーツがある朝鮮大学校の学生が苦境に立たされている生まれも育ちも日本、学業や生活への不安も日本人学生と変わらないが、公的な教育支援から除外され続けている。「今からでも対象にしてほしい」と訴える。

 7月下旬、東京都小平市の玉川上水沿いにある朝鮮大学校はひっそりとしていた。在日朝鮮人の子孫で、朝鮮や韓国、日本の各国籍を持つ1~4年の学生約600人が学ぶ全寮制の学校。感染拡大の影響で3月の終業式後に学生は全員帰省し、オンライン授業が続いた。大会が迫った運動部の学生だけが、練習のため寮で生活する。

 サッカー部の崔太晟(チェテソン)さん(19)は政治経済学部2年生。8月の大会に向け校内のグラウンドで練習に励んでいた。学費や寮費は親が負担するが、3月からバイトに入れず、食費や書籍代で貯金は底をつきそうだ。

 大阪で生まれ、埼玉や東京の朝鮮初中高級学校に通った。高校生の時はサッカーの試合中に相手が「ミサイル」と言うのが聞こえたり、通学中に人種差別的な罵声を浴びせられたりした。「違いを認める社会に」と教員をめざす。

 5月に閣議決定した学生支援緊急給付金の対象外であると知った時は「またか」と諦めの気持ちになったという。「なぜ僕たちはいつも除外されるのか」

 文部科学省によると、制度の対象は大学、大学院、短大、高等専門学校、日本語教育機関、外国大の日本校。朝鮮大学校は「高等教育機関であると、文科省がその内容を直接確認していない」として対象外にした。学校側は、卒業生の大学院への入学資格は文科省も認めており、「高等教育機関であるという法制度はすでに存在している」と反論する

 高校にあたる朝鮮高級学校をめぐっては、民主党政権が2010年度に始めた高校無償化の適用を先送りし、安倍政権が12年、不適用を決めた。19年10月に始まった幼児教育・保育の無償化も朝鮮学校付属の幼稚園などは対象外となった。朝鮮大学校教務部の金正浩(キムジョンホ)部長は「幼小中高が無料の日本人家庭と、朝鮮学校に通わせる親の教育費負担は次元が違う。お金の問題以上に、学生が日本社会への諦めを植え付けられていることが怖い」と話す。

 外国語学部4年の金春華(キムチュナ)さん(21)は今、和歌山県の実家の焼き肉店の手伝いをしている。7月になっても客足は戻らず、経営状態の厳しさは肌身で感じる。9月から対面授業が再開される予定だが、両親に頼っている学費や生活費を賄っていけるか不安だ。「教育を受ける権利は私たちにも平等にあるはず。給付金が学びの継続が目的なら、今からでも対象にしてほしい」と話した。(伊藤和行)

 《学生支援緊急給付金》 コロナ禍の影響でアルバイト収入が激減した学生らに学びを継続してもらうため、国が対象学生に1人あたり10万~20万円を支給する。予算は約530億円で、対象者数は約43万人を想定。文部科学省によると、7月末までに大学などから推薦を募り、約38万人への支給が決定した。今後、推薦から漏れた学生の募集もする。

 《朝鮮大学校》 戦前の植民地政策によって日本に残留した朝鮮人やその子孫らが学ぶ最高学府として、1956年に創立。学校教育法の「各種学校」として東京都が設置を認可する。現在は8学部あり、民族教育を重視し、主に朝鮮語で授業を行っている。卒業生には、サッカーのJリーグやラグビーのトップリーグで活躍するスポーツ選手や、作家なども多い。

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大事なことなので2度言いました♪
  asahi00000012145


「給付・無償化対象の学校で朝鮮籍の学生のみ対象外」「朝鮮学校・朝鮮大学に通う日本人・韓国人には給付」なら『国籍による差別』でしょうが、「給付・無償化対象の学校に通う朝鮮籍の学生は対象」ですよね。