(日本経済新聞 2020/07/25)

【ワシントン=永沢毅】米南部テキサス州ヒューストンにある中国総領事館が24日夕、閉鎖された。米国は報復措置をとらないよう要求したが、中国は対抗措置に動く方針。米中の応酬に歯止めがかかる兆しはない。

米メディアによると、米国が求めた期限である現地時間24日午後4時ごろまでに中国の館員は撤収したもようだ。館員がトラックで荷物を運び出す姿が目撃されたという。その後まもなく米政府当局者とみられる複数の人物が5階建ての建物に入った

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▲閉鎖された中国総領事館(24日、ヒューストン)=AP

米政府高官によると、総領事館は米国の知的財産を窃取する一大拠点だった。米研究機関にいる中国人のスパイにどんな情報を盗むべきかを具体的に指示。米国の捜査の手から免れたり妨害したりする方法を手ほどきし、情報収集活動を支援していたという。

香港の民主派活動家を批判する活動や、中国の反体制派を本国に強制送還するチームの滞在拠点にもなっていた。米政府高官は「これは氷山の一角だ」と指摘。「受忍できる限度をはるかに超えた。このまま放置すれば、より攻撃的になりかねなかった」と批判した。

中国の蔡偉ヒューストン総領事は24日、米の閉鎖命令は「国際法と国際関係の基本的なルールに違反しており、関係を破壊しようとするものだ」と抗議する書簡を発表した。

米司法省は中国人民解放軍との関係を隠して米国ビザ(査証)を不正に取得したとして、中国人4人を訴追したと23日に公表した。米研究機関から情報を盗んでいた疑いがある。全米の25以上の都市で類似の事例があり、いずれもヒューストンの総領事館の支援を受けていた可能性がある。

ポンペオ国務長官は23日の演説で、中国共産党に強権路線の修正を要求した。異例の措置といえる総領事館閉鎖はその一環で、各国に対中包囲網の構築を呼びかけた。「これは私たちに限った問題ではない。世界中で起きている」(米政府高官)と警鐘を鳴らす。

米中は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて対立を深めた。香港国家安全維持法の施行を受け、米国は態度を硬化させた。米国が制裁に動き、中国が対抗措置をとる報復の連鎖が続いている。

今回もマクナニー米大統領報道官が24日の記者会見で「中国は報復に動くよりも、悪意ある行動をやめるべきだ」と中国をけん制した。ただ、中国は四川省成都市にある米国総領事館の閉鎖を通知した。近く実施に踏み切る公算が大きい。

成都の総領事館はチベット情勢などの情報を集める拠点だった。米メディアによると、成都には200人近い職員がいて、うち150人は地元中国人だという。米政府高官は同総領事館は「チベット自治区を含む中国の人たちを理解し、メッセージを伝えている」と述べ、知財窃取などに関わっていたヒューストンとは異なると反論した。


(人民網 2020/07/27)

外交部(外務省)の汪文斌報道官は25日「在ヒューストン中国総領事館構内に強引に入った米側の行為に対して、中国側は強い不満と断固たる反対を表明する。すでに厳正な申し入れを行った。中国側はこれについて、正当かつ必要な対応を取る」と述べた。

現地時間24日午後、米側の法執行要員が在ヒューストン中国総領事館構内に強引に入った。汪報道官は「在ヒューストン中国総領事館構内は外交・領事館の構内であり、中国の国家財産でもある。『領事関係に関するウィーン条約』と『中米領事条約』により、米側はいかなる形であれ在ヒューストン中国総領事館構内への侵犯を禁じられている。在ヒューストン中国総領事館の構内に強引に入った米側の行為に対して、中国側は強い不満と断固たる反対を表明する。すでに厳正な申し入れを行った。中国側はこれについて、正当かつ必要な対応を取る」と述べた。(編集NA)


(日本経済新聞 2020/07/27)

【北京=羽田野主】中国四川省成都市にある米国総領事館が27日午前10時(日本時間同11時)に閉鎖された。中国外務省が同日発表した。米政府が要求したテキサス州ヒューストンにある中国総領事館はすでに閉鎖済み。互いに在外公館を閉鎖する事態になり、米中の対立が先鋭化している。

中国外務省によると、中国当局がすでに成都市の米総領事館の敷地内に入り、接収を終えた

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中国メディアなどによると、26日までに総領事館の看板は取り外された。大型バスやトラックが連日出入りし、荷物も運び出された。総領事館の前に人だかりができ、記念撮影する市民もいた

米政府は21日付で、ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を要求した。ポンペオ米国務長官は「スパイ行為や知的財産窃盗の拠点」と指摘し、中国は対抗措置として成都市の米総領事館の閉鎖を求めていた。

AP通信によると、米国務省は声明で、成都市の米総領事館の業務を停止したと明らかにし「中国共産党による決定に失望した」と批判した。

在中国米大使館も27日、中国版ツイッターの「微博(ウェイボ)」で「きょう、われわれは成都の総領事館に別れを告げた」と表明した。