(時事通信 2020/07/13)

 香港で9月に控えた立法会(議会)選挙に向け、民主派が11~12日に実施した予備選挙には、当初目標(17万人)の3倍を超える約61万人が投票した。予備選は民主派内の候補者調整にすぎないが、中国の習近平指導部が施行した「香港国家安全維持法」(国安法)に対する事実上の「住民投票」の意味合いを持ち、多くの市民が中国・香港政府に「ノー」を突き付ける結果となった。

 立法会(定数70)で過半数の議席獲得を目指す民主派は、独自の予備選で候補者を絞り込み、共倒れを防ぐ狙いだ。立法会選は地区別の直接選挙枠と業界別の職能枠で35議席ずつを選ぶが、予備選では主に多くの市民が投票権を持つ地区別枠の立候補者を募った。結果発表は14日になる見通し。

 香港政府が新型コロナウイルス対策と国安法施行で市民のデモ実施を抑え込む中、民主派は予備選を「香港人に許された最後の自由な選挙」(著名民主活動家・黄之鋒氏)と位置付けた。民主派内にも意見の相違はあるものの、立法会選に向けて一枚岩で世論に訴えた。

 立法会で過半数を獲得すれば、予算案を含む議案の決定権を握ることができるが、道は険しい。香港政府側は「予備選は国安法違反だ」とけん制しており、今後民主派に対するさらなる摘発強化も懸念される

 また、予備選で候補者が確定しても、選挙管理委員会が立候補を禁じたり、当選しても「国安法違反」を理由に議員資格を奪われたりする可能性もある。民主派陣営は出馬を認められなかった場合に備え、代理候補を事前に選出するといった対策を講じた。

 立法会選は経済界などに支持基盤を持つ親中派にとって圧倒的に有利な仕組みで、民主派が多数派になったことは一度もない。予備選を主導した香港大の戴耀廷准教授は61万人の投票を「奇跡」と評したが、これは登録有権者の約13%にすぎず、民主派が圧勝した昨年の区議会(地方議会)選における民主派得票の35%程度だ。

 民主派は予備選を通じ、国安法に基づく取り締まりを恐れ、萎縮ムードが広がる香港社会に一石を投じたものの、9月6日の本選挙までにはさらなる戦略と市民への働き掛けが必要となる


(時事通信 2020/07/15)

 香港の民主派陣営が11~12日に実施した9月の立法会(議会)選挙の予備選挙をめぐり、香港・中国両政府は「国家安全維持法(国安法)に違反している疑いがある」と批判し、摘発強化を示唆した。当局が「国安法違反」を理由に予備選で選ばれた候補者の出馬を禁じたり、当選後に議員資格を剥奪したりする事態が多発する可能性がある。

 予備選の結果は14日までにほぼ出そろった。ベテランの民主派議員らが苦戦する半面、中国との対決姿勢を前面に出す「本土派」「抗争派」と呼ばれる若手が多くの支持を集めた。著名活動家の黄之鋒氏(23)は参加選挙区で最多の3万票以上を獲得し、立法会選への立候補届け出を行う見通しだ。

 香港政府は警戒を強めている。政府トップの林鄭月娥行政長官は13日夜の会見で、「予備選の目的が立法会で過半数議席を得て政策を妨害することなら、国安法の規定する政権転覆罪に当たる可能性がある」と指摘。「十分な証拠があれば当局が行動を取る」と警告した。

 選挙を所管する政治制度・内地事務局も「(予備選は)選挙妨害や操作に相当し、公平性を損なう」との苦情が寄せられていると強調し、調査を進めていると明らかにした

 また、中国政府の出先機関・香港連絡弁公室は13日に声明を出し、「予備選は外部勢力の支持を得て行われた」と断定。予備選を主導した香港大の戴耀廷准教授を「(群衆が街頭行動で政権を倒す)カラー革命を起こそうと妄想している」と名指しで批判した。

 定数70の立法会選では、地区別の直接選挙枠と業界別の職能枠で35議席ずつを選ぶが、予備選で確定した候補のほとんどは、多くの市民が投票権を持つ地区別枠に出馬する。予備選の投票者数は目標の3倍を超える約61万人に達しており、民主派は勢いに乗じて選挙運動を本格化させる構え。地区別枠で23以上、業界別の職能枠で12以上、合わせて過半数の議席獲得を目指す


ウイグルやチベットのように香港も日本のマスコミで“扱うのはややタブー”となるんですかね。