(時事通信 2020/07/08)

 香港政府が「国家安全維持法」を施行して7日で1週間が過ぎ、社会の統制は飛躍的に強まった。教育当局は同日までに、国安法に違反する可能性がある書籍や教材を撤去するよう学校に指示。また、同法に関する捜査では令状なしの捜索が可能になるなど、当局に強力な権限を付与する細則も発効した。

 林鄭月娥行政長官は7日の記者会見で、昨年6月以降の反政府デモを念頭に「国家の譲れない一線に対する挑戦を前に、国安法はこうした行為が二度と許されないという断固たる回答だ」と表明した。国安法は中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会が6月30日に制定、香港政府が即日施行した。

 6日に公表された国安法の施行細則によると、捜査機関は「特殊な状況下」で、通常必要とされる令状なしで家宅捜索や立ち入りが許される。捜査対象者の海外への渡航制限に加え、国家の安全に危害を加える恐れのあるインターネット情報の削除やアクセス制限、外国や台湾の政治組織に対する情報開示請求も可能となる。

 また、香港政府の教育局は6日、各学校に対して蔵書内容を点検するよう要請した。香港メディアによると、国安法違反が疑われる記述を含むものは撤去し、新たな教材を導入するよう指示したという。香港では先週末、公立図書館で一部の民主活動家らの著作の閲覧が停止されている

 香港では言論統制が急速に進んでいる。ベッドタウンの新界地区の商業施設で6日夜、100人超の市民が参集し、沈黙のまま白紙を掲げることで抗議の意を示した。

 香港島の繁華街にある飲食店は、無地の付箋を壁一面に張り出した。女性従業員は「メッセージを書いてしまうとその内容で摘発対象になりかねない」と説明し、「無言」の抵抗をアピールした。


(ロイター 2020/07/08)

香港当局は8日、昨年の民主化デモ参加者の間でテーマ曲となった「香港に栄光あれ」を学生が歌うことを禁止した。香港国家安全維持法(国安法)施行に伴い、中国政府が香港統制を強化していると受け止められそうだ。

この日は、国安法に基づき設置される出先機関「国家安全維持公署」の事務所が開設された。

香港教育局の楊潤雄(ケビン・ヨング)局長は、立法会(議会)議員の質問に対し、学生は授業をボイコットしたり、政治的メッセージが込められた歌の合唱やスローガンを訴えたりしてはならないと説明

「昨年6月以降の社会的事象を起源とする『香港に栄光あれ』という歌には、強い政治的メッセージが含まれており、数カ月続いた社会、政治的事象や暴力、違法な事件と深く関連している。校内で学生に演奏、歌唱、放送させてはならない」と述べた