(東亜日報 2020/05/21)

北朝鮮官営メディアが、韓国国内にも知られている「金日成(キム・イルソン)主席の縮地法」について、「実際は可能ではない」という内容の記事を掲載し、その背景が注目される。

北朝鮮の労働新聞は20日、「縮地法の秘訣」と題する記事で、金氏が1945年11月、平安北道龍川郡(ピョンアンプクト・ヨンチョングン)の住民と会って話を交わした際、「そこにいた人がいなくなり、いなくなった人が再び現れるというような、地面を折りたたんだように(長距離を)行き来することはできない」と話したと伝えた。その場にいた住民が、「抗日遊撃隊時代に使ったという縮地法の話を聞きたい」と言ったところ金氏がこのように答え、「(当時)日帝と戦って勝つことができたのは、人民大衆の積極的な支持を得たためだ。『縮地法』があるなら、それは人民大衆の『縮地法』だろう」と話したという
※労働新聞を見ると〈人民が日帝野郎たちの行動を教えてくれたので綿密な作戦計画を立てることができ、日帝野郎たちは「縮地法を用いて神出鬼没だ」と悲鳴を上げた〉ということのようです。

北朝鮮は、宣伝歌で金氏が抗日闘争で縮地法を使って活躍したと学生や大衆に教えた。宣伝歌「将軍様は縮地法を使われる」は韓国でも良く知られている。これを否定するような内容の記事を対内用メディアに登場させたのは異例のことだ

このような状況は、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が自身を神格化することに距離を置いていることにもつながるとみられる。正恩氏は昨年3月、「第2回全国党初級宣伝活動家大会」に送った書簡で、「首領の革命活動と風貌を神秘化すれば真実を隠すことになる」と述べた。金日成、金正日(キム・ジョンイル)時代の神格化された指導者よりも人間的指導者であることを強調したのだ。これは、北朝鮮にスマートフォンが600万台以上普及するなど制限的ではあるが情報が交わされている状況で、最高指導者の神格化自体が難しいという現実的な判断も作用したとみられる


(朝日新聞 2020/05/21)

〇金正恩氏が「ハノイ・ノーディール」失敗を味わったことで現実的な指導者像を強調するとの見方

 過去に故・金日成(キム・イルソン)首席や金正日(キム・ジョンイル)総書記が自らの偶像化のために行った「縮地法使用」について、北朝鮮当局が20日「現実は違う」と表明した。北朝鮮が金日成偶像化に利用してきた神話を自ら否定するのは異例だ。

 北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞はこの日「縮地法の秘訣(ひけつ)」という記事で「実際は人間がいたところから消えたり、消えて再び現れたりして大地を制御しながら行き来することはできない」と主張した。その一方で「縮地法は魔法使いの霊的な技術ではなく、人民との協業を通じて行われた現実的戦略」と説明した。労働新聞は「過去に日本軍は各地に密偵を置いてパルチザンの動きを探知したが、人民が討伐隊の移動経路を事前に知らせることで、パルチザンの方が逆に待ち伏せ攻撃で日本軍を壊滅させた。すると『遊撃隊が縮地法を使う。神出鬼没だ』といった話が広まった」と説明した。さらに「縮地法があるのなら、それは人民大衆の縮地法になるはずだ」とも主張した。縮地法に対するこのような解釈は、金日成・金正日時代のものとは異なる。北朝鮮は過去に学生用・人民用教材の中で、金日成による抗日パルチザン時代についての記述で「縮地法を使い、落ち葉に乗って大きな川を渡り、松ぼっくりで銃弾を作り、砂で米を作った」と主張し金日成を神格化した。また金正日についても1996年に「将軍様が縮地法を使われる」という宣伝歌謡などを広めた。このような神秘主義によって金氏一家に対する偶像化に没入していた北朝鮮の宣伝方式だが、それが昨年2月の「ハノイ・ノーディール(米朝首脳会談決裂)」後から変化が感知されている。

 金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は昨年3月の書簡で「首領の革命活動と風貌を神秘化すれば、真実を隠してしまう」との考えを示した。国策研究所の関係者は「西欧の現代式教育を受けた金正恩氏がハノイ・ノーディールによって失敗を味わったことで、神的で万能な指導者よりも、最善を尽くす現実的な指導者像を築こうとしているようだ」とコメントした。権力を握って8年目に入った金正恩氏が、金日成・金正日の神秘的な影から抜け出そうとしているとの見方も出ている。


2008年04月16日
客観的な事実に基づく「金日成同志の不滅の抗日革命」をおしえてやるニダ!