(韓国日報 韓国語 2020/03/31)

日本の教科書歪曲を集中分析 <中> 『慰安婦』・強制動員の記述の変化

ナム・サング(北東アジア歴史財団研究委員)

去る3月24日、日本の中学校[教科書]の検定結果発表直後、産経新聞は『従軍慰安婦』名称が復活するなど中学校教科書検定で自虐色が強まると報道した。3月25日の社説でも「検定まで自虐史観にとらわれていないか」と問題を提起した。

◇『自虐史観』、古い主張

日本の歴史教科書が自虐的という攻撃は1950年代からあった。1957年度の教科書検定で、家永三郎教授が執筆した高等学校歴史教科書『新日本史』が検定から脱落した。理由は「過去の史実を反省しようとする熱意のあまり、学習を通じて先祖の努力を認識し、日本人としての自覚を高め、民族に対する豊かな愛情を育てるという日本史の目標から遠ざかっている」というものであった。(略)

これに対抗して、家永教授は1965年、検定制度は違憲という訴訟を提起した。訴訟は2次、3次につながり、1997年まで32年間進行された。たとえ検定制度が違憲という判決を勝ち取れなかったが、検定制度の不当性を知らせ、日本の加害事実を教科書に記述できるようにすることに寄与した

◇1982年教科書波動…「隣国配慮」

1970年代までは日本の教科書問題は日本国内の問題であった。日本の教科書記述が国際的な問題になったのは1982年からであった。1982年6月、日本政府が介入して植民地支配と侵略戦争に関する記述を歪曲した事実が日本メディアを通じて明らかになった

韓国と中国が激しく批判すると、日本政府は、近隣アジア諸国と関連した近現代の歴史的事実を記述する際は国際理解と国際協力次元で必要な配慮をすると約束した。いわゆる『近隣諸国条項』で、今も教科書検定の基準になっている。教科書問題は、日本と日本の侵略を受けた国が一緒に解いていかなければならないということを、日本政府自ら認めたのだ。日本保守勢力が近隣諸国条項の廃棄を粘り強く要求する理由もここにある。

日本国内の自省の声と被害国の日本教科書記述に対する関心が重なり、日本の教科書の植民地支配と侵略戦争に関する記述は次第に改善された。教科書により記述の差はあるが、『韓国併合と韓国人の抵抗-植民地政策と被害-3.1運動-関東大地震当時の朝鮮人虐殺-南京大虐殺-皇民化政策の強要-強制動員』などが記述される。1996年に検定を通過したすべての中学校歴史教科書に日本軍『慰安婦』が記述された

◇安倍晋三、1997年から教科書攻撃

すると日本保守勢力は歴史教科書が自虐的だとして攻撃を再開した。この攻撃を主導したのは、1997年1月に作られた『新しい歴史教科書をつくる会』と、2月に作られた『日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会』だった。これらは「日本の歴史を侵略国として罪悪視する自虐的な歴史認識と卑屈な謝罪外交に決して同調できない」としながら、日本軍『慰安婦』記述の削除を要求した。議員の会の初代事務局長は現在、日本総理である安倍晋三議員だったこれらの攻撃で植民地支配と侵略戦争の記述は急激に萎縮する。

◇慰安婦叙述1996年は7冊→2011年は0冊→以後縮小

植民地支配に関する記述がどのように萎縮しているかを、日本軍『慰安婦』と朝鮮人強制動員を事例に述べる。

中学校歴史教科書の日本軍『慰安婦』の記述を見ると、1996年には検定を通過した教科書すべて(7冊)に記述されていたのが、2001年には3冊、2005年には2冊、2011年には0冊になった。教科書を攻撃した勢力は自分たちの運動がもたらした成果だと自評した。

だが、2015年に検定結果が発表された教科書に再び日本軍『慰安婦』の記述が登場した学び舎が検定過程で内容は大幅に縮小されたものの『慰安婦』を記述した。河野洋平官房長官談話を活用し、軍の関与と本人の意志に反する動員であったことを明記したのだ。

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▲2015年に学び舎教科書に日本軍『慰安婦』の叙述が再び登場した。だが、検定前の『慰安婦』キム・スンドクの絵、公文書上の慰安所の位置(左)などが検定通過(右)後に消えた。『慰安婦』キム・ハクスンの証言もまた大幅に縮小された。

今回検定を通過した教科書では、学び舎の他にも山川出版が『慰安婦』を記述した。日本政府と軍が慰安所の設置と『慰安婦』動員を主導したと明確に記述していないが、『慰安婦』の記述が再び増える契機になり得るという点で肯定的に評価できる

◇朝鮮人強制動員の叙述、2006年以降減少

強制動員に関する記述が中学校の歴史教科書に初めて登場したのは、1966年版の日本書籍教科書で「朝鮮人も徴用され、労働力不足を補充した」と記述された。1975年版の教育出版教科書には「朝鮮人と中国人を連れて来て炭鉱と鉱山などで強制的に労役させた」と強制性が記述された。そして、1981年版からすべての教科書に朝鮮人強制動員に関する内容が記述された。

教育出版教科書は、1981年から1986年までは『地域で見る歴史の流れ:日立鉱山(茨城県)-日本に連れられてきたユンさん』というコラムを、1987年から2005年までは『地域から歴史を考えよう:朝鮮・中国から強制連行された人々-筑豊炭鉱(福岡県)のキムさん』というコラムを掲載し、強制動員と被害実態を詳細に扱った。現在、採択率が最も高い東京書籍教科書も1997年から2001年までは『朝鮮人強制連行』のコラムを掲載した。

しかし、このような詳細な記述は2006年以降、すべて消えた今回検定を通過した東京書籍教科書には「多数の朝鮮人や中国人が意思に反して日本に連れてこられ、鉱山や工場などの劣悪な条件下で労働を強要されました」とだけ記述された。さらに大きな問題は、このような事実まで日本政府が否定しているということだ。そして2冊の教科書が世界遺産に登録された軍艦島(羽島炭鉱)の写真を掲載したが、朝鮮人などの強制動員問題には全く言及しなかった

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東京書籍は朝鮮人強制動員とは関係がない『日本のエネルギーのこれまで』部分に世界文化遺産に登録された軍艦島(左上)の写真を入れた。

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▲日本の山川出版も世界遺産を紹介しながら軍艦島(左ページの上から2番目)を「19世紀に開発が始まった以来、1974年まで多くの石炭が生産され、日本の産業発展を支えた」とだけ言及した。

歴史教科書にすべての歴史的事実を入れることはできない。教科書という制限された枠組みの中で事実を選択的に書くしかない。しかし、重要なことは、過去の事実に対する選択は、まさに未来に対する選択ということだ。我々が日本の教科書記述に関心を持たなければならない理由がここにある。(機械翻訳 若干修正)


また5月くらいから(今年は夏以降?)『歪曲教科書不採択』を姉妹都市などに働きかける運動が、韓国で官民こぞって始まるんでしょうね。