(朝鮮新報 2019/12/24)

○連携し地道な要請を

三重県議会環境生活農林水産常任委員会が10日に開かれ、各種学校等を幼保無償化制度の対象とすべきとした四日市初中と同校幼稚部保護者会の請願(11月25日付で提出)について、新政みえ所属議員など一部議員らが継続審査を求めるも、自民党県議団の委員らによる反対意見が多数となり、「不採択とすべき」と判断された。その後、20日に行われた三重県議会本会議で採決され、請願に対する反対27、賛成23で不採択となった

四日市初中の鄭俊宣校長は「そもそも今回の請願は、すべての各種学校へ制度を適用するよう、無償化制度の拡充について、県が国へ働きかけてほしいと求めたものであり、朝鮮学校幼稚部にだけ特別な補助を求めたものではない。しかし常任委員会の議論では、問題の核心である各種学校の除外、子育て世帯への平等な支援についてではなく、『朝鮮学校の問題』として『朝鮮学校だから問題』だと話が進んだ」と指摘。

鄭校長は「請願と関係ない話を引き合いに、反対多数で不採択されたことを遺憾に思う」と述べる一方で、「今後は、他の外国人学校とも連携し請願提出を模索するなど、制度適用を求め、学校として多方面に働きかけていく」と語った。

県下には、各種学校認可の外国人学校3校(朝鮮学校、ブラジル学校2校)がある。(韓賢珠)

※ブラジル学校は『イーエーエス鈴鹿』(鈴鹿市)と『ニッケン学園』(四日市市)


(朝日新聞 2019/12/22)

 10月から始まった幼児教育・保育の無償化制度。3~5歳児の幼稚園や保育所の利用料を補助するものだが、「各種学校」の外国人学校は除外されている。三重県議会には、適用の拡大を求める請願が提出されていたが、不採択に。関係者の訴えが届かないまま、問題は年を越す

 20日の県議会本会議。四日市朝鮮初中級学校(四日市市)が提出していた請願の採決に先立ち、討論が行われた。自民党県議団の小林正人氏は「北朝鮮の関係団体から財政支援がある」として、不採択を主張。一方、新政みえの津村衛氏は「財源を等しく負担している。除外は不公平だ」と採択を訴えた。結果は不採択への賛成が多数だった

 同校の付属幼稚部には、5人の子どもが通い、基礎的な朝鮮語も学んでいる。娘を通わせている女性(35)は話す。「なぜ各種学校だけが対象外なのか」

 「各種学校の教育は多種多様で、幼児教育の質が担保されていない」というのが国の理屈だ。

これに対し、日弁連(菊地裕太郎会長)は20日、外国人学校を無償化対象にするよう求める会長声明を出した。「全ての子どもの健やかな成長の支援が制度の理念。除外は法の下の平等をうたう憲法14条や人種差別撤廃条約などが禁ずる差別的取り扱いに該当するおそれがある」と厳しく指摘した。

 女性は全国の朝鮮学校幼稚部の保護者らでつくる「連絡会」の一員で、国への要請もしてきた。除外された各種学校の幼稚園相当部分は約90校で、朝鮮学校は40校を占める。学校関係者には、来年度以降の入園者数への不安も広がる。女性は「今後も声を上げ続けないと」と話す。

 無償化の枠に入るため、「認可外保育施設」になる選択をした学校もある。鈴鹿市のブラジル人学校「イーエーエス鈴鹿」もその一つ。同校には高等部まであるが、保護者らの要請で、18人が通う幼稚部だけを各種学校から外した

 「イーエーエス」は全国6校で、同じ措置を取った。担当者によると、認可外保育施設になったことで、日本人保育士を雇うなど、従来と違う対応も必要になり、戸惑う部分もあるという。それでも、各種学校から外れる選択をした理由について、担当者は話す。「保護者のニーズに応えるのが学校の使命。だから決断した」(大滝哲彰、黄澈)


ブラジル学校のように日本の制度に合わせるという選択肢はないんでしょうね。

まあ、合わせられてもね・・・



>常任委員会の議論では、問題の核心である各種学校の除外、子育て世帯への平等な支援についてではなく、『朝鮮学校の問題』として『朝鮮学校だから問題』だと話が進んだ
>鄭校長は「請願と関係ない話を引き合いに、反対多数で不採択されたことを遺憾に思う

朝鮮学校が提出した請願で、朝鮮学校のことしか触れていないからじゃないですかね。

 請9 各種学校等への幼児教育・保育無償化制度の拡充を求めることについて
令和元年11月25日

令和元年定例会11月定例月会議

紹介議員 中瀬信之、中瀬古初美、田中智也、小島智子、山本里香、稲森稔尚、藤田宜三
付託委員会 環境生活農林水産常任委員会

請願要旨

(要 旨)
 各種学校等への幼児教育・保育無償化に関わる制度が拡充するよう採択いただき、国の関係機関に意見書を提出いただくようお願い申し上げる
 
(理 由)
 2019年10月から幼児教育・保育の無償化が開始された。この制度は、消費増税による税収を財源とするなか、教育基本法における幼児期の教育の重要性やその振興の必要性がうたわれていることに鑑みて、大変重要な施策である。

 しかし、四日市朝鮮初・中級学校を含む各種学校については、「幼児教育を含む個別の教育に関する基準がなく、多種多様な教育をおこなっている」とし、幼児教育・保育無償化制度の対象外となっている。

 本校幼稚部は、日本で生まれ育つ在日朝鮮人の幼児たちが母国語と民族文化に触れ、自分のルーツを肯定できるように母国語を中心とした幼児教育をおこなっているが、それ以外は日本の幼稚園と変わらない幼児教育をおこなっており、しっかりとした保育の実態も備えている

 2015年に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)においては、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、「すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことが教育の目標として掲げられている。

 三重県においては、2017年に、性別、年齢、障がいの有無、国籍・文化的背景、性的指向・性自認などにかかわらず、誰もが自分らしく参加・活躍できるダイバーシティ社会の実現をめざした「ダイバーシティみえ推進方針~ともに輝く、多様な社会へ~」を全国に先駆けて策定された。今後は、この推進方針を踏まえてダイバーシティ社会の実現に向けたとりくみが求められる。

 以上のような理由から、すべての人々のルーツやアイデンティティが尊重され、すべての子どもたちが意欲的に学ぶことができ、誰もが質の高い教育を受け、夢や希望を実現できるよう、誰一人取り残さない社会の実現のために、各種学校等への幼児教育・保育無償化制度の拡充を強く切望するものである。