元徴用工救済、韓国国会議長法案が判明 軍人軍属も支給対象 慰安婦財団の残金使わず
(毎日新聞 2019/12/13)

 韓国国会の文喜相(ムン・ヒサン)議長は、日韓関係の懸案となっている元徴用工問題解決のため、「慰謝料」の支給対象を拡大する新たな法案を作成した。当初の草案で対象とした日本企業への賠償請求訴訟の原告、原告予定者だけでなく、韓国政府から被害認定を受けた元徴用工や旧日本軍の元軍人・軍属も加え、年内の国会提出を目指す。毎日新聞が12日までに法案を入手し、判明した。

 法案によると、草案では判決を通じて被害認定された者と限定していた慰謝料の支給対象に「法律に基づき審査、決定された者」を加えた。別の法律ですでに支援を受けている元慰安婦は対象から除いた。支給のため「記憶・和解・未来財団」を設立し、傘下に専門家20人による「諮問委員会」をつくり、過去の認定をベースに対象者を審査する。

 財源は日韓の企業と国民の寄付に基づくが「寄付を強制してはならない」と明記。草案段階では、日本政府が元慰安婦事業のために出資した「和解・癒やし財団」の残金60億ウォン(約5億5800万円)も財源に充てる構想だったが、市民団体の批判を受け撤回した。

 法案は24日前後に調整中の日韓首脳会談前の提出を目指す

 関連する12法案と並行審議し、文議長の法案を核に整理する方針。

 韓国内では、法案に日本の被告企業の謝罪などの規定がないことに反発が出ているが、与党関係者は「法案は国内法であり、日本企業や政府の関与は外交的に議論する課題」と指摘。日韓首脳会談で関係改善に進めば「法案可決の環境づくりに役立つ」と述べた。

 これまで韓国政府の「強制動員被害真相究明委員会」で認定された元徴用工や軍人・軍属は21万8000人余。うち証拠書類を提出して慰労金(最高2000万ウォン)を支給された死傷者が約3万2000人、毎年定額の医療支援を受ける生存者は現在、約4000人にのぼる。草案では訴訟当事者ら約1500人に総額約3000億ウォンとみていたが、予算規模は膨らむ見通し。【ソウル堀山明子】


(朝日新聞 2019/12/13)

 日韓関係が悪化するきっかけになった元徴用工訴訟で、韓国国会の文喜相(ムンヒサン)議長が解決策と唱える制度の概要が12日、まとまった。すでに与野党間で調整を終えており、日本政府にもこの動きに期待する声がある。今月下旬の開催が調整されている日韓首脳会談でも議論される可能性があるが、韓国の世論次第で制度が実現するかは見通せない

 この仕組みではまず、韓国で元徴用工らへの慰謝料支給をする「記憶・和解・未来財団」を創設。韓国政府が運営費を支出し、日韓双方の企業や国民から「自主的な寄付金」を募って財源に充てる。支給対象には、韓国大法院(最高裁)で日本企業に対する勝訴が確定した原告のほか、係争中や今後提訴を予定する元徴用工らも含むとした。

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 先月に当初の関連法案の内容が報じられた後、韓国内では「日本側の謝罪が含まれていない」などとする反発が起きた。一方で、日本政府は韓国側に「日本企業に負担を強いない」ことを一貫して求めている。

 このため、文議長は法案の提出理由に、小渕恵三首相(当時)が1998年に韓国の植民地支配をめぐって「痛切な反省と心からのおわび」を表明したことを明記。現在の日本政府が思いを継承していることを前提にしていると強調した

 さらに、日本側の支出を「自主的な寄付金」として、勝訴した原告への賠償金ではないとの体裁をとり、日本政府の主張にも配慮した。被告企業の寄付も期待しているが、法案には明記していない。

 文在寅(ムンジェイン)大統領はこれまで、韓国の三権分立のもと、政権(行政府)は司法判断に介入できないとする立場を取ってきた。文議長には、文政権と水面下で調整を重ねつつ、国会(立法府)が解決案を示すことで、政権の対日交渉を後押しする狙いがある。

 法案は今月中旬にも国会に提出され、審議を経て通過する可能性が高い。ただ、韓国の大統領は国会が決めた法律に対する拒否権を持つ。仮に韓国世論が強く反発した場合、文大統領が制度の実現を拒む可能性も残っている。(ソウル=武田肇)

■日本側には一定の期待

 日本側には、日本も受け入れ可能な法案になるかどうか慎重な見方がある一方、一定の期待もある。

 日韓議員連盟幹事長を務める河村建夫元官房長官は11日に東京都内で講演した際、首相側近の今井尚哉首相補佐官の立場に言及。「今井補佐官は日韓関係を何とかしたいと思っている。文喜相議長の提案に対して関心を寄せている。あれがうまくいけば前に進むと」と語った。

 一方、菅義偉官房長官は12日の記者会見で、「他国の立法府における議論や動向について、政府としてコメントすることは差し控えたいと思う」と述べるにとどめた。 (安倍龍太郎、河合達郎) 


仮に法案が成立しても、「ウリは、ウリに強制労働をさせた企業から、直接、謝罪と賠償を受けたいニダ」と訴訟を起こすことは止められないでしょうし、そうした訴訟の中で日本企業に謝罪・賠償を命じる判決が出るでしょうね。

そして財団の集金は、『戦犯企業』が韓国から撤退するまで(しても?)続くんでしょうね。