(朝鮮新報 2019/11/30)

京都朝鮮学園の名誉を傷つけたとして、元在特会幹部の西村斉被告が名誉毀損罪で起訴されていた事件の判決が11月29日、京都地裁で言い渡された

同訴訟では、京都第1初級襲撃事件(2009年)で有罪判決を受けた被告が、17年4月23日、京都第1初級の跡地近隣の公園で、拡声器を用い朝鮮学園の名誉を傷つける発言を繰り返し、その様子をインターネット上に配信した行為が、名誉毀損罪に問われていた。日本でヘイトスピーチをめぐって名誉棄損罪で起訴されたのは今回の事件が初めてである。

地裁は、懲役1年6カ月の検察側の求刑に対し、罰金50万円の有罪判決を下した。

一方で、被告の行為に「公益目的」があると認定。学園側の弁護団は「ヘイトスピーチに公益目的があると断言した最悪な判決」(豊福誠二弁護士)として非難している

学園側の弁護団は11月29日付で発表した声明で「判決理由において、被告人の言動が民族差別であることへの明言を回避し、公益目的を認定したこと(及び量刑)は極めて不当であり、ヘイト被害を受けた学校関係者への動揺を与えている。本件のヘイトクライムとしての本質に対する判断を回避していることは、昨今の日本社会での反差別・反ヘイトスピーチの立法化の流れに逆行する判決内容」だと強く非難。控訴審における是正を求めた。

差別助長する判断“腹立たしい”

判決言い渡し後に行われた記者会見で、学園側弁護団の冨増四季事務局長は、「ヘイトクライムの本質を見失ったまったくの不当判決である」と指摘した。

冨増事務局長は、「被告人の行為は、表現という装いのもと明らかに攻撃の意図を持って行われた犯罪だ。判決では、名誉棄損罪を認めながらも、被告の行為に『公益目的』があると認めた。裁判官は、ヘイトスピーチを受ける子どもたちへの想像が完全に欠落しているのではないか」と述べた。そのうえで「京都第1初級襲撃事件の民事訴訟で、保護者、教職員、子どもたちに負担をかけながら、被告人の差別動機を立証してきた蓄積を一切無視して判決が下された」と非難した。

また豊福誠二弁護士は「被告の行為が、なぜ『公益目的』に結びつくのか理解ができない」と裁判所の判断へ疑問を呈した

豊福弁護士は、裁判所が被告人の行為に「公益目的」があると判断した点について、「被告が明確な差別の意図を持ち行為に至ったことを示す検察側の立証が、十分にできていなかった」と課題をあげ、今後、控訴審において「10年前の京都地裁判決に基づき、正しく判断されること」を求めた。

豊福弁護士は、「私たちが求めているのは、日本社会が差別を許さないという意思表明だ。今回、処罰はあったが『公益目的』を認めたことでそれがすかすかになった。的外れな判決に非常に憤りを感じる」と述べた。

喜久山大貴弁護士は地裁が被告の行為に対し「公益目的」を認定したことは、「被告が差別をしていないということと同じ」であり、明らかなヘイトスピーチを地裁が認めず、「一般の名誉毀損事件と同じような扱いで処理してしまった」ことを指摘。さらに、一部メディアの報道や公安調査庁の報告書などを根拠にした被告側の発言を、地裁がそのまま採用してしまっている点も「問題である」と強調。高校無償化裁判を例に挙げ、「国による差別を司法が許してしまっている現状が、現場でのヘイトスピーチを助長してしまっている」と警鐘を鳴らした。

学園を代表して発言した柴松枝理事は「日本でのヘイトスピーチ、民族差別をなくす大きな契機になる判決が下されるのではと期待を持っていただけに残念」だと訴えた。その上で「今日の判決の中には、朝鮮学校の子どもたちの気持ちが一言も言及されていなかった。痛み、苦しみ、不安を抱いている子どもたち、そして毎日送り迎えをしている保護者の気持ちが無視されていた。腹立たしくてたまらない」と憤りを示し、09年の京都第1初級襲撃事件以降、様々な形で成果を獲得してきた権利擁護運動が「後戻りしてしまったよう」だと述べた。

被告側は同日、控訴を申し立てた。(李鳳仁)


 「朝鮮学校は日本人を拉致」と動画配信、罰金50万円判決
(読売新聞 2019/11/29)

(略)以前に京都朝鮮学園が運営する朝鮮学校が近くにあった京都市南区の公園で、拡声機を使って「ここにあった朝鮮学校は日本人を拉致しております」などと述べ、その様子をインターネット上で動画配信した。(略)

 柴山智裁判長は判決で「被告は別の朝鮮学校の元校長が拉致に関わっていたとの報道などに接し、真実だと考える相当な理由があり、拉致に関する事実を明らかにしたいとの動機には公益目的がある」と判断

一方、京都の朝鮮学校が拉致に関与したという被告の発言については過去の報道などからも真実相当性はないとし、名誉毀損罪の成立を認めた

 ネットで配信したことなどを挙げ、「伝播でんぱ性の高い方法がとられたことを考慮すると、被害結果は軽視できない」とも指摘したが、「公益目的だったことは相応に考慮されるべき」などとして懲役刑ではなく、罰金刑を選択した
ヘイトスピーチで名誉毀損、在特会元支部長に罰金刑判決
(朝日新聞 2019/11/29)

(略)柴山智裁判長は同罪の成立を認めた上で、懲役刑ではなく罰金刑とした理由を「公益を図る目的で主張を述べる中、名誉毀損の表現行為に及んだもので、相応に考慮すべきだ」と説明した。(略)

 判決によると、西村被告は2017年4月23日、京都朝鮮第一初級学校跡(京都市南区)近くの公園で拡声機を使い、同校跡を指して「この朝鮮学校は日本人を拉致しております」「その朝鮮学校の校長ですね、日本人拉致した、国際指名手配されております」などと発言。その様子を動画投稿サイトで流し、学校を運営していた京都朝鮮学園の名誉を傷つけた。(略)


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