(朝日新聞 2019/11/18)

 中国・新疆ウイグル自治区で、当局が多数のウイグル族住民を「再教育施設」に収容しているとして国際的な批判が出ている問題で、米ニューヨーク・タイムズ紙は16日、収容政策に関する403ページに上る内部文書を入手したとし、内容を報じた。

 一連の文書は、中国で政治的に地位のある人物から匿名を条件に提供されたものだという。

 習近平(シーチンピン)国家主席が関係部局に行った指示の内容を示す文書には、習氏がイスラム過激主義を伝染病のウイルスに例え、対処するためには「痛みを伴う一定期間の治療が必要だ」との言葉があったという。また、ウルムチ市の警察を視察した際には「容赦なく対応せよ」と、強硬な対応を命じていたという。

 2016年に自治区書記に就任した陳全国氏が習氏の指示内容を担当者に配布し、積極的に収容するよう命じた文書もあったとし、これ以降施設への収容が一気に進んだと指摘した。

 施設入所者の家族からの問い合わせに対応するため、トゥルファン市が作成したという「想定問答」には「危険思想の影響を受けたため政府の訓練学校に行った」「家族の幸せのために一定期間の教育訓練が必要だ」など、具体的な指示が書かれていたとしている。(上海=宮嶋加菜子)


(NHK 2019/11/18)

中国で大勢のウイグル族が不当に拘束されていると国際社会から批判が強まるなか、アメリカの有力紙は、中国政府の内部文書を入手したと報じ、中国政府は職業訓練が目的だと主張する施設に強制的に収容し、徹底した思想教育を行っているなどと伝えました。

アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは16日の電子版で、中国政府が新疆ウイグル自治区でウイグル族の人たちを強制的に収容していることを示す内部文書400ページ余りを入手したと報じました。

それによりますと、中国政府がテロ対策を目的に職業訓練を行っていると主張する施設では、外部と通信が遮断され、厳しい規律のもとで徹底した思想教育が行われているとしています。

また、自治区の外から帰省した若者が、家族が収容されたことを知った場合には、地元の当局者が速やかに接触して、SNSなどで情報を拡散させないよう措置をとるとしています。

さらに、内部文書には習近平国家主席の非公開の演説内容も含まれるとしていて、2014年に新疆ウイグル自治区で行った演説では、取締りについて「いっさい容赦するな」などと指示したと伝えています。

中国政府の大量の内部文書が外国メディアに報じられるのは異例のことで、ニューヨーク・タイムズは提供したのは中国の政治関係者だとしたうえで、「中国共産党の内部にもウイグル族への弾圧を疑問視する声が根強いことを示している」と指摘しています


2019年07月01日