(朝鮮日報 2019/10/22)

 駐韓米国大使公邸に集団で乱入し、占拠・立てこもりを繰り広げた親北朝鮮団体のメンバー19人のうち、4人の身柄が拘束された。

 ソウル中央地裁は21日、「集会および示威に関する法律」違反の容疑などで拘束令状が請求された韓国大学生進歩連合(大進連)メンバー7人の令状実質審査を行い、キム某容疑者など4人について拘束令状を発布した。拘束事由は「犯罪の容疑が疎明され、証拠隠滅および逃走の恐れがある」というものだった。残る3人に対する拘束令状は、犯行を大筋で認め、証拠が収集されているという点などを理由に棄却した。容疑者らは米大使公邸に集団乱入して占拠・立てこもりを繰り広げたり、これを阻止する警察の公務を腕力で妨害したりした疑いが持たれている。

 21日の令状審査は2人の判事が分担して進めた。チョ・グク前法相の弟に対する令状棄却で論争になっていた明在権(ミョン・ジェグォン)令状専担部長判事が6人を審査し、4人を拘束した。残る1人は宋景鎬(ソン・ギョンホ)部長判事が担当し、令状を棄却した。


(朝鮮日報 2019/10/22)

 米大使公邸に乱入して反米デモを繰り広げた親北朝鮮団体のメンバー4人が身柄を拘束されたことを巡り、「捜査機関と裁判所が予想外の強硬な処分を下した」という評価がなされている。外国公館侵入という事案の重大性にもかかわらず、現政権になって以降、集会・デモ事犯に対しては軽い処分が続いていたからだ

 乱入事件を起こした韓国大学生進歩連合(大進連)は、昨年夏にソウルで北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長賞賛大会を開き、フジテレビのソウル支局に無断で入り込んで反日デモを繰り広げた団体だ。今年だけでも数回にわたって違法行為に及び、警察から立件された。4月には保守系最大野党「自由韓国党」のナ・ギョンウォン院内代表の議員室を奇襲占拠して立てこもり、7月には革新系野党「正義党」の尹昭夏(ユン・ソハ)院内代表の議員室に鳥の死骸を送り付けた疑いも発覚した。さらに同月、反日の流れに便乗してフジテレビと三菱重工業のソウル事務所に相次いで無断侵入したこともあった。先月には、反米・反日を主張して光化門広場の世宗大王像を占拠したこともあった。

 警察は、このうちナ・ギョンウォン議員室立てこもりと尹昭夏議員室宅配テロの2件についてのみ拘束令状を申請し、残りは毎回書類送検もしくは訓戒放免の処分を行っていた。ナ・ギョンウォン議員室立てこもり関連の令状は裁判所が棄却した。しかも今回の大使公邸乱入事件の令状審査は、チョ・グク前法相の弟に対する令状の棄却で論争を引き起こした明在権(ミョン・ジェグォン)判事が担当した。それでも、請求した令状の過半は発布された。

 あるソウル勤務の判事は「世論が極めて良くなかった上、米国が公式に強い遺憾を表明し、検察・警察・裁判所がそろって圧迫を受ける状況だったのだろう」と語った

 警察からは、審査結果に対する不満も出ている。18日に塀を乗り越える際、これを阻止しようとした義務警察(兵役の代わりに警察で勤務する警察官)に力で抵抗した男女のメンバー3人に対する令状発布の結果が違っていたからだ。ある警察関係者は「この3人は容疑も全く同じものを適用したのに、一部しか拘束されなかった」として、「裁判所の判断基準がわからない」と語った。

 大進連は、令状を発布した裁判所を糾弾する声明を出した。声明では「大学生の正当な声に拘束令状を発布した司法府を強く糾弾する」として、「大学生はこれからも防衛費分担金引き上げ反対闘争を粘り強く繰り広げていくだろう」と主張した。

 決定が出るまでは、雰囲気は違っていた。大進連は21日昼、令状が請求された7人の写真をフェイスブックの公式アカウントに載せ、「裁判所に出席した7人の愛国青年」「あの堂々さとほほ笑みの中に真心があり、真実がある。令状請求は必ず棄却されなければならない」と記していた。

 この日、大進連は「大学生即刻釈放嘆願書」も裁判所に提出した。拘束令状が請求されたメンバーの身分は大学生なので、すぐに中間試験を受けなければならないため釈放して欲しい、という内容だった。大進連は「もうじき大学生が2学期の中間試験を受ける日がやってくる」として、「警察の無理な捜査と拘束令状申請で大学生は試験を受けられず、単位すら諦めなければならない状況に至っている」「留置場の中でも勉強して試験の準備をしている学生らが、肝心の中間試験を受けられるようにすべきだろう」と主張した。この嘆願書には計6500人が署名したと大進連は主張した。

 警察への糾弾も行った。21日午前には中央地裁前で記者会見も開き、「警察は、スローガンを叫んでいた大学生らを、口にするのもおぞましい罵倒や無慈悲な暴力と共に連行した」と主張した。警察は反論した。ある警察関係者は「大進連メンバーは当時、逮捕現場の全ての過程を撮影していた。警察が罵倒したり暴行したりしていたら、その資料を自ら公開したはず」と語った。


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2019年10月18日


(朝鮮日報 2019/10/19)

〇親北大学生団体17人、大使公邸の塀を乗り越えゲリラ占拠
〇警察「対応したらデモ隊がけがする」…阻止せず1時間近く放置
〇外国公館の保護は国家の義務

 18日、親北朝鮮団体メンバーの男女17人が米国大使公邸の塀を乗り越えて侵入した。一行は大使一家が生活している公邸の建物の玄関前を占拠し、1時間以上も反米デモを繰り広げた。当時、ハリー・ハリス駐韓米国大使とその家族は公邸を空けていた。政治的目的の米大使公邸乱入は、1989年に起きた全大協(全国大学生代表者協議会)の占拠・立てこもり事件以来、およそ30年ぶりだ。

 ソウル・南大門警察署は18日、「韓国大学生進歩連合(以下『大進連』)メンバー19人を、米国大使公邸に侵入した容疑など(共同住居侵入、『集会および示威に関する法律』違反など)により現場で全員逮捕した」と発表した。大進連は今夏、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長を称賛する大会をソウルで開いた団体だ。大使公邸はウィーン条約に基づき、韓国警察が保護すべき「特別な義務」を有している。しかし現場警備に立っていた義務警察(兵役の代わりに警察で勤務する警察官)は、デモ隊の乱入を積極的に阻止することはなかった

 大進連メンバー19人がソウル市中区の徳寿宮近くにある米国大使公邸前に最初に現れたのは、18日午後2時55分ごろ。反米プラカードを掲げて「ハリス(駐韓米国大使)はこの地を去れ」、「米国反対」などのスローガンを叫び始めた。さらに、準備してきた鉄製のはしご2基を設置し、高さおよそ3メートルの公邸の石塀を乗り越え始めた。男性2人が警察官3人を体で阻止する間に、女性11人を含む17人が塀を越えて行った。警察は「はしごをむやみに取りのけた場合、乗り越えている学生らが落ちて大けがをしかねない」と主張した

 大使公邸侵入に成功したデモ隊17人は、大使公邸「ハビブ・ハウス」の玄関前に陣取ってデモを続けた。警察官およそ70人がデモ隊を追って公邸に入ったが、デモ隊の中にいた男性だけを連行し、女性11人は数十分間デモするがままにしていた。「女性の体に手を出しと問題になりかねず、女性警察官の到着を待っていた」として、「ほかの場所へ行かないよう包囲はしていた」と主張した。そうしている間にデモ隊はデモ場面の動画を撮り、リアルタイムでインターネットにアップした。女性警察官25人が到着してデモ隊を全員連行した時刻は、塀の乗り越えが始まってから70分が過ぎた午後4時5分だった
(朝鮮日報 2019/10/19)

〇親北団体に侵入された米大使公邸
〇「urge」という強い表現を使用
〇文正仁特補、「米国大使館でデモしてこそ米国は変わる」と先月発言

 駐韓米国大使館は、18日に発生した大使公邸乱入事件に関連して「大韓民国が、全ての駐韓外交公館を保護するための努力を強化することを強く促す(urge)」という声明を出した。外国公館が接受国の政府に向けて、何らかの措置を「強く促す」というのは、外交的には極めて強い表現だ。元外交官は「urgeという表現は通常、敵性国に使うもので、同盟の間ではあまり使わない」と語った

 先に米国側は、2015年3月にマーク・リッパート駐韓米国大使(当時)が刃物を持った反米運動家に襲撃された際には「暴力行為を強く糾弾する」とだけコメントし、韓国政府を直接批判したり遺憾を表明したりはしなかった。18日の乱入事件当時、公邸にはハリー・ハリス大使と家族はおらず、実質的被害はなかった。それにもかかわらず、リッパート大使襲撃事件より今回の事件の方がはるかに深刻と認識していることを明らかにした。

 米大使館は「大使の公邸へ不法侵入する事件が14カ月ぶりに再び起きたという点を、強い懸念と共に注目している」ともコメントした。昨年9月にも朝鮮族の女性(43)が夜10時ごろ大使公邸に無断侵入したが、それから1年余りではるかに深刻な公邸侵入事件が発生したことを、米国側が問題にしているのだ。

 外交関係者らは、今回の事件は激烈な「反米キャンペーン」の信号弾ではないかと懸念している。現在の韓米関係は、対北・対日政策をでの意見の違い、防衛費分担金を巡る対立などでややぎくしゃくしている状況だ。外交消息筋は「トランプ政権が北朝鮮と交渉している間は、韓国国内の親北・反米勢力は静かにしていたが、米朝膠着・対立が長期化の局面に差し掛かれば、『単純な事件』一つが根深い反米感情に火を付けかねない」と分析した。

 これに関して、文正仁(ムン・ジョンイン)大統領特補(統一・外交・安全保障担当)は先月、「米国大使館前で市民がデモしてこそ(米国は)変わる」と発言した。ビンセント・ブルックス元韓米連合司令官は最近、あるセミナーで「(大規模な反米デモにつながった)過去の火種が再び大きな炎にならないよう防がなければならない」と語った。


平日の午後とはいえ大使が在宅中の可能性はあり、万が一在宅中ならさらに大きな問題になっていたでしょうから、不在情報を得た上での行動なのかもしれませんね。


(東亜日報 2019/10/19)

(略)今回の大使官邸[公邸]乱入事件が起きた時刻、ハリス大使は青瓦台[大統領府]緑芝園でムン・ジェイン[文在寅]大統領が主宰する駐韓外交団招請レセプションに参加してムン大統領と会っていた。ムン大統領が就任以後、初めて韓国に駐在する外交官全体を青瓦台に招待した席であった。(機械翻訳 若干修正)