【追跡】五輪に旭日旗? 日韓対立
(毎日新聞 2019/09/13)

韓国「軍国主義の象徴」/日本「広く使用されている」

 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会が今月、競技会場への旭日旗の持ち込みを容認する姿勢を示し、旗を「軍国主義の象徴」と問題視する韓国が反発している。日本側は取り合わない構えを見せてきたが、専門家からは「国際的なスポーツイベントにはそぐわない」と反対意見が上がり、五輪憲章が禁じる「政治的宣伝活動」に当たる可能性も指摘されている

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旭日旗を掲げる艦船=京都府舞鶴市で2015年3月、鈴木健太郎撮影

 発端は韓国国会の文化体育観光委員会だった。先月29日、国際オリンピック委員会(IOC)や組織委などに対し、競技会場への旭日旗や旭日旗をあしらったユニホームの持ち込みを禁止するよう求める決議を採択。旭日旗による応援は「帝国主義によって侵略された歴史の記憶を刺激する」と主張している。

 組織委は今月に入り、「決議にどう対応するかは答えられない」と公式なコメントは避けながら、報道各社の取材に「旭日旗は日本国内で広く使用されており、旗の掲示そのものが政治的宣伝とはならないと考えており、持ち込み禁止品とすることは想定していない」と、容認する方針を示した。

 韓国外務省報道官はすぐ反応し、「旭日旗が過去の軍国主義と帝国主義の象徴と周辺国に認識されていることは日本側も知っているはずで、謙虚な態度で歴史を直視する必要がある」と指摘。韓国の文化体育観光省は11日、会場への旭日旗の持ち込み禁止を求める書簡をIOCに送ったと発表し、再考を促した。

 同様の書簡を受け取ったという国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドルー・パーソンズ会長は12日、東京都内で報道陣に対し「スポーツと政治を混同するつもりはない」と述べ、静観する姿勢を示した。

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 欧米のメディアも問題を報じ始めており、ツイッターでも賛否が渦巻いている。「五輪に旭日旗を持って行こう」と呼びかけるツイートがある一方で、持ち込み禁止を求める署名も始まっている

 韓国では、国際大会で旭日旗追放を目指す市民運動もあり、東京五輪をアピールの好機として活発に活動している。徴用工問題から始まった反発が、五輪への協力拒否の呼びかけに発展する中、新たな火種になりかねない情勢になっている。【堀山明子(ソウル)、芳賀竜也】

◇11年サッカー対戦きっかけ

 旭日旗は太陽と太陽光線をかたどっている。同様のデザインは浮世絵や大漁旗などにも用いられ、縁起物としてとらえられてきた。一方で明治期以降は陸海軍の軍旗として使われ、1954年からは自衛隊旗としても用いられている。

 これまでも、日本の植民地支配や占領を経験した東アジアを中心に、一部で忌避する動きはあった。特に韓国では2010年代ごろから、問題視する動きが強まっている

 韓国政治外交に群しい静岡県立大大学院の奥薗秀樹准教授は、「きっかけはサッカーの11年アジア・カップでの日韓戦だ」と指摘する。

 奥薗准教授によると、この試合で得点後にサルのまねをし、相手を侮辱したと批判された韓国の選手が「観客席に旭日旗が見えたから」と釈明。このことが韓国で広く報道されて意識されるようになった。また同時期に日本のヘイトデモで旭日旗が使われ、「軍国主義の象徴」とする認識が強まったという。

 昨年10月、韓国・済州島で開かれた国際観艦式で、韓国政府が海上自衛隊に隊旗の掲揚を自粛するよう要請。日本側が参加を見送った騒動や、持ち込み禁止を求める決議の背景には、こうした韓国世論の動向が関係しているとみられる。

 奥薗准教授は「日韓関係が極度に悪化する中、韓国側が対抗措置の一環として、旭日旗を政治利用している側面があることは否定できない」と指摘する。

 しかし今回の問題については「相手が嫌がるものをスポーツの場にわざわざ持ち込んで挑発すべきではない。世界が見るグローバルな五輪の場で『かつて植民地支配された国がこんなに嫌がっているのに』と受け取られる。日韓2国間の枠組みだけで今回の旭日旗問題をとらえるとけがをしかねない」と警告する。【大島祥平】

◇憲章は政治性排除

 IOCは、五輪憲章で「五輪会場などでいかなる種類の政治的、宗教的もしくは人種的な宣伝活動は認められない」と定めている

 2012年ロンドン五輪では、男子サッカーの日韓戦で竹島の領有を主張するメッセージを掲げた韓国選手が処分された。18年平昌五輪では、韓国と北朝鮮の南北合同チームの「統一旗」に竹島が描かれていることを日本側が問題視。使用が中止された。

 日本政府は「旭日旗のデザインは大漁旗や節句の祝い旗、海上自衛隊の艦船の旗に広く使用されており、政治的主張だとか軍国主義の象徴だという指摘は全く当たらない」(13年の官房長官記者会見)との見解を示してきた。組織委関係者も今回の方針について「官房長官の会見を基準に判断した」と明かす。政府も組織委も、旭日旗の掲示が憲章には抵触しないとの立場だ。

 しかし、サッカー界では旭日旗の「政治性」が認定されたケースがある。17年に韓国で開催されたアジア・チャンピオンズリーグでは、J1川崎のサポーターが旭日旗を掲げて騒動となった。アジア・サッカー連盟(AFC)は、倫理規定が禁ずる「国家の起源と政治的な意見に関連する差別的な象徴」にあたると認定。川崎に執行猶予付きでAFC主催大会の1試合を無観客開催とする処分と罰金を科した。日本サッカー協会やJリーグは「政治的、差別的な意図はない」と旭日旗の使用を禁止していないだけに波紋が広がった。

 奈良女子大学の石坂友司准教授(スポーツ社会学)は「旭日旗は日韓関係の火種となっている。政治問題化しており、五輪会場で旭日旗を掲げる行為は政治的主張ととらえられる。軍旗として使われていた歴史を考えれば平和や融和を掲げる五輪の理念にそぐわず、持ち込みを容認した判断には問題がある」と話す。

 IOCは毎日新聞の取材に対し「懸念が生じた場合はケース・バイ・ケースで考える」と回答。組織委が示した方針の是非については明言を避けた。

 本番で持ち込まれた場合はトラブルも予想されるが、組織委関係者は「荷物チェックで『後ろの人が観戦しにくいので出さないで』とお願いするなど、現場の知恵で解決していくしかない」と話した。【川崎桂吾、田原和宏】
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>サルのまねをし、相手を侮辱したと批判された韓国の選手が「観客席に旭日旗が見えたから」と釈明

ちゃんと「該当試合で観客席の旭日旗は確認されていない」ことも触れないとね。

ただ、キ選手やとりまきが、そんな“大義名分”(?)を創造できるわけもなく、「言い訳にできる」と思うくらいには『反旭日旗』は浸透していたようですね(当ブログでもいくつか取り上げています)。


2011年01月27日



>旭日旗のデザインは大漁旗や節句の祝い旗、海上自衛隊の艦船の旗に広く使用されており、

この政府見解を裏付けるような多種多様な旭日模様の応援グッズが、オリパラ開催までに様々なスポーツの試合で使用されるようになると良いですね。