(産経新聞 2019/08/28)

 朝鮮学校を高校授業料無償化の対象から除外したのは違法だとして、東京朝鮮中高級学校高級部の卒業生61人が国に1人当たり10万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は卒業生側の上告を退ける決定をした。請求を退け、卒業生側敗訴とした1、2審判決が確定した。決定は27日付。5裁判官全員一致の結論

 全国5地裁・支部で起こされた同種訴訟で、確定したのは初めて。残る4件のうち名古屋地裁、広島地裁、福岡地裁小倉支部では原告が敗訴し、いずれも高裁に係属中。大阪地裁が唯一原告の請求を認めたが、大阪高裁で覆っていた。

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 高校無償化制度は、公立校では授業料を取らず、私立校の生徒らには支援金を支給する仕組みで、民主党政権の目玉政策として平成22年に始まった。24年の第2次安倍晋三政権発足後、下村博文文部科学相(当時)が拉致問題や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との関係を問題視し、25年に省令を改正、朝鮮学校を対象外とした。訴訟の主な争点は、朝鮮学校を授業料無償化の対象から除外した国の判断が、裁量権の逸脱、乱用に当たるか否かだった

 平成29年9月の1審東京地裁判決は、文科相が無償化の適用対象に指定するかどうかの判断にあたり、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が朝鮮学校と密接な関係にあり、教育内容に影響を及ぼしているとする公安調査庁長官の国会答弁などを考慮したことは「不合理とは言えない」と指摘。「就学支援金が授業料に確実に充てられるという十分な確証が得られない」として不指定とした判断に「裁量権の逸脱、乱用があったとは認められない」とした。

 30年10月の2審東京高裁判決も、朝鮮学校の資金が朝鮮総連に流れている疑いが報じられていると指摘。適用除外の判断根拠は学校運営への疑念だったとして「政治的外交的な理由で適用を除外された」とする卒業生側の主張を退け、1審判決を支持、原告側の控訴を棄却していた。

 民事訴訟法は、上告理由について、原判決に憲法解釈の誤りや重大な手続き違反がある場合に限定。また法令解釈上の重要な問題が含まれる場合には「上告受理の申し立て」を受けて最高裁の裁量で受理できると規定している。第3小法廷は決定で、卒業生側のいずれの手続きも退けた。

 決定を受け、文科省は「法令の趣旨にのっとって適切に判断した国の主張が認められたものと受け止めている」とコメントした


(朝日新聞 2019/08/28)

 朝鮮学校を高校の授業料無償化の対象から除外した国の処分が違法だったかどうかが争われた訴訟で、「適法」とした判決が確定した。最高裁第三小法廷(山崎敏充裁判長)が27日付の決定で、学校側を敗訴させた一、二審判決を支持し、東京朝鮮中高級学校(東京都北区)の卒業生らの上告を退けた。同様の訴訟は全国5カ所で起こされているが、判決が最高裁で確定するのは初めて。

 授業料の無償化は、民主党政権下の2010年に関連法が施行され、安倍政権が13年、朝鮮学校を対象から外すために文部科学省令の規定を削除した。同校の卒業生ら61人はこの処分が違法だったとして、1人あたり10万円の賠償を国に求めていた。

 昨年10月の二審・東京高裁判決は、無償化の対象を決める裁量権は文科相に委ねられていると指摘。「教育内容や人事に朝鮮総連が影響を及ぼしている」などとした公安調査庁の調査を根拠に無償化の対象外とした判断は「裁量権の範囲を逸脱したものとはいえない」と認定し、一審に続いて原告の訴えを退けた。

 原告側の弁護団は28日、「最高裁は理由を何ら述べずに主張を退けた。行政による違法行為を是正するという司法の役割を放棄しており、断固抗議する」とのコメントを出した

 同種の訴訟では大阪地裁が「教育の機会均等とは無関係な政治的な理由で朝鮮学校を排除した」として国の処分を違法と認めたが、大阪高裁がこの判決を破棄し、原告側が上告している。名古屋、広島、福岡地裁小倉支部に起こされた訴訟は原告側が敗訴し、高裁で審理が続いている。(北沢拓也)


(読売新聞 2019/08/28)

(略)文部科学省修学支援プロジェクトチームは「国の主張が認められたものと受け止めている」としている。


(毎日新聞 2019/08/28)

(略)最高裁決定に対し、元生徒側の弁護団は「具体的理由を述べることなく退けた決定に抗議する。一日も早く、朝鮮学校を(無償化の)対象とすることを求める」とコメントした。(略)


産経・読売が国側のみ、朝日・毎日が朝鮮学校側のみのコメントを取り上げているのが対照的ですね。


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