(毎日新聞 2019/06/19)

 韓国最高裁が日本企業に元徴用工への賠償を命じた判決を巡り、外務省は19日午前、日韓請求権協定に基づく「仲裁委員会」設置に向け、委員選定を他国に委ねる「第三国プロセス」に移行すると韓国政府に通告した。日韓両国は協定上の期限である7月18日までに委員選定を依頼する第三国を指名する。ただ、韓国側が応じる見通しは立っておらず、協定に基づく紛争解決に暗雲が漂っている。

 日本政府は5月20日に仲裁委の設置を韓国側に要請し、日本側委員を任命した。だが、韓国政府が協定上の期限(今月18日)までに韓国側委員を任命しなかったため、委員任命を白紙に戻し、「第三国プロセス」への移行を決めた。外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は19日、韓国の駐日公使を外務省に呼び、「韓国政府が期限までに仲裁委員を任命しなかったのは遺憾だ。協定上の義務に従い、第三国を選定して、仲裁に応じるよう強く求める」と伝えた

 仲裁委員会は3人で構成し、日韓両国は決定に従う義務がある。「第三国プロセス」では、日本指名のA国、韓国指名のB国、A・B両国が選定するC国が、それぞれ委員を1人ずつ選ぶ。請求権協定に基づいて仲裁委が設置された例はなく、審理の進め方や期間などは委員らが独自に決める。

 ただ、日韓請求権協定には日韓両国が第三国指名に応じない場合の規定がなく、紛争解決手続きが行き詰まる可能性がある。昨年10月の判決以降、日本政府は韓国政府に対して▽賠償の肩代わりなど韓国政府独自の対応▽協定上の政府間協議▽仲裁委員任命―――を相次いで求めてきたが、韓国側はいずれも明確な回答を避けている。

 日本政府は、協定上の解決が難しい場合、国際司法裁判所(ICJ)への付託を検討している。だが、韓国政府はICJの決定に従う「強制管轄権」を受け入れておらず、ICJの審理開始にも韓国側の同意が必要だ。【秋山信一】


G20まで待つと思ってましたが、早速動いたんですね。