(朝鮮新報 朝鮮語 2019/06/18)朝鮮総連の機関紙

「条件をつけずに首脳会談を開催」したいという日本首相の立場表明を、朝鮮は「面の皮の厚さが熊の足の裏のようだ。」(2日、朝鮮アジア太平洋平和委員会報道官)と一蹴した。朝日平壌宣言により、過去の清算に基づく国交正常化を実現するのが朝鮮の一貫した主張であり、したがって、両国間の根本問題に背を向けたまま「前提条件なしの首脳会談開催」などは最初から念頭にない

◇敵対視政策の維持

「北朝鮮には何度もだまされた。」、「対話のための対話は意味がない。」と主張した安倍首相は、昨年4月に板門店で南北首脳会談が開かれた後に「日朝平壌宣言に基づいて拉致、核、ミサイル問題を包括的に解決して国交正常化を目指す立場に変わりはない。」と変身術を使い始めた。

今年5月以降は「前提条件なしに首脳会談開催」を表明している。4月にアメリカを訪問してトランプ大統領と朝鮮問題を論じたことが契機になったという観測が出回った。

朝鮮は日本の対話タリョンが、朝鮮半島と地域の平和を論する場に入ることができずに犬の餌にドングリのように押し出されている可憐な境遇を免れるための演技と見なす。「前提条件なしに首脳会談開催」も言いまわしが違うだけで内心は変わっていないと判断する。日本首相の発言に善隣友好の心が塵程もないためだ。
※タリョン:しつこく同じことを言うこと
 犬の餌にドングリ:他人と打ち解けず1人孤立している人のこと。エサ入れに入ったドングリを食べずによけて残すことから。

判断の基準は朝日平壌宣言に対する態度と立場だ。2002年の朝日首脳会談で採択された宣言の核心は、日本の過去清算に基づいた国交正常化の実現だ。ところが安倍首相は朝鮮と首脳会談を開催したいというが、これまで過去清算の意志を明らかにしたことがない

また、条件を付けないと言いながら会談が開かれれば「拉致、核、ミサイル問題を論じなければならない。」と話している。日本で「拉致」問題は朝鮮との対立を煽り、朝日平壌宣言の履行を遮る手段になってきた。

核、ミサイル問題は、朝日間で論じる問題ではない。結局、関係改善のための真剣な対話をしようとしている姿勢ではないという結論に至る。

実際、日本政府の対朝鮮敵対視政策は少しも変わっていない。4月9日には朝鮮に対する独自制裁を2年間延長することを決めた。5月17日には総連を『破壊活動防止法』に基づく調査対象と規定するという政府答弁書を採択して、「総連弾圧は共和国に対する敵対行為」、「日本当局はともすれば対話を云々するが、言葉と行動は正反対」(「労働新聞」)という非難を呼び起こした。

◇行動のない虚言症

朝鮮は安倍首相の政治姿勢、政治手法をよく知っている。2002年に小泉首相の朝鮮訪問に同行した後、朝鮮に対する反対感情を触発して平壌宣言の履行を遮る言動を繰り返した。2014年の朝日政府間のストックホルム合意は、安倍政権下で結ばれたわけだが、日本が朝鮮に対する敵対視と対決姿勢を露骨化したことで、合意により進行されていたすべての日本人に関する包括的調査が中止され、『特別調査委員会』も解体された。

国々間の約束と信義を守ることができない政治家の発言が肯定的な呼応を受けることはない。「前提条件なしに首脳会談開催」発言に対し「面の皮が厚い。」と断固して断ったのも外務省ではなくアジア太平洋平和委員会だ。外交的次元で対応すべき発言でないことをわざわざ確認させたわけだ

朝日対話に関する日本首相の発言が真正性を持つには行動が伴わなければならない。対朝鮮敵対視政策の集中的な表現である独自制裁は当然撤回されなければならない。過去清算の意志を明らかにし、その主要な課題の一つである総連と在日朝鮮人の権益保障のための措置も取る必要がある。行動がない対話タリョンは国民の耳目をそらす世論誤導術に過ぎず、朝鮮問題に関する首相の虚言症は対話相手の不信を増幅させるだけだ

◇増幅する不信感

相手が善意で対すれば善意で対し、強硬に出てくれば超強硬に対抗するというのが変わりない朝鮮の立場だ。昨年6月に史上初めて朝米首脳会談が実現したのは、トランプ大統領が前任者らと異なる決断を下して善意を示したためだ。彼は長久な歳月持続してきた朝米間の敵対関係にけりをつけて両国の利益のための新しい未来を開く意向を持ち、朝鮮の最高指導者は彼の決断に応えた

ハノイでの朝米首脳会談が合意なしに終わると、日本がその何か橋渡しの役割をすることができるという荒唐無稽な主張が溢れ出て、首相が直接立ち上がり、あたかも対朝鮮交渉方針が変更されたように広告しているため、日本は分不相応にする前に自分の姿が相手の目にどのように映っているのか考えてから行動しなければならない

現在、朝米交渉は膠着の局面にあるが、朝米首脳方々間の個人的な関係は依然として良く、思い出せばいつでも安否を尋ねる手紙も取り交わすことができる立派な関係が維持されている。それでトランプ大統領は記者会見をはじめとする公開発言を通じて、朝鮮の最高指導者に自分のメッセージを伝えることができる。

日本首相はそうはできない。「相互不信の殻を破り、新たに始める。」という言葉を繰り返したが、彼は朝鮮の根強い対日不信を払拭させることをまったくしていない。信頼がない人が「対話の意向」をいくら叫んでみても、誰も耳を傾けない。(機械翻訳 若干修正)