読売新聞社・韓国日報社 共同世論調査  歴史認識 日韓溝深く
(読売新聞 2019/06/11)

◇「慰安婦」「徴用工」で相互不信

 読売新聞社と韓国日報社が実施した日韓共同世論調査では、元慰安婦や元徴用工を巡る問題などでの対立を背景に、両国で国民感情が悪化し、相互不信の強さが表れた。その一方、訪日韓国人は増え続け、韓国側で日本を旅行したい人は5割近くに上っている。非核化が進展しない北朝鮮を巡っては、韓国側で警戒感が高まり、融和路線の文在寅(ムンジェイン)大統領に対する不信感も表れた。

 日韓関係が「悪い」は日本で83%(前回2018年調査63%)に20ポイント上昇。韓国でも82%(同69%)と13ポイント上がった

1995年から今年まで15回の調査をみると、韓国側では一貫して「悪い」が多数を占めている日本側では、2011年調査までは「良い」が多い年もあったが、12年夏に韓国の李明博(イミョンバク)大統領が竹島に上陸したのを機に、急激に悪化。翌13年に就任した朴槿恵(パククネ)大統領が、第三国に対して日本批判を繰り返したこともあり、14年調査は「悪い」が最高の87%を記録。その後も「悪い」が「良い」を大きく上回る状況が続いている。

◇日本側の落ち込み目立つ

 日本で韓国を「信頼できる」は21%(前回38%)に下がり、「信頼できない」は過去最高の74%(同60%)に上昇。韓国でも日本を「信頼できる」は23%(同20%)、「信頼できない」は75%(同79%)で日本とほぼ同水準だが、日本側で前回より悪化したのが目立つ

 韓国政府が、元慰安婦を支援する財団の解散を決めたことに、日本では「納得できない」が74%に上った。「納得できない」とした人に限ると、日韓関係が「悪い」は90%、韓国を「信頼できない」も84%に上った。

 韓国側でも財団解散に「納得できない」は56%で、「納得できる」の36%を上回ったが、元慰安婦の問題で日本がさらに謝罪する必要性を尋ねると、「必要がある」は87%(前回91%)に達した。日本側では「必要はない」が80%(同77%)で、意見の隔たりが大きい

 元徴用工訴訟で、韓国最高裁が日本企業に賠償を命じた判決は国際法違反だとする日本政府の主張に、日本では「納得できる」78%が「納得できない」11%を大きく上回ったが、韓国では「納得できない」79%、「納得できる」16%だった。

 今後の日韓関係について、「歴史認識を巡る問題で隔たりがあっても、経済や文化交流で改善を進めるベきだ」とした人は日本で52%(前回59%)、韓国で64%(同69%)。「歴史認識を巡る問題で隔たりがある限り、改善を進めるのは難しい」は日本で42%(同36%)、韓国で33%(同29%)とそれぞれ上昇した。

◇優先すべき課題 「竹島」双方でトップ

 日韓両国の間で、優先して解決すべき問題を6項目から複数回答で選んでもらうと、「竹島(独島)を巡る問題」が日本で63%、韓国で82%といずれもトップだった。

 一方、2位と3位は日韓両国で大きく異なっている。日本では2位が「海上自衛隊の哨戒機へのレーダー照射問題」59%、3位が「日本の水産物に対する韓国の輸入規制」56%。これに対し、韓国の2位は「韓国の元慰安婦を巡る問題」74%、3位は「韓国の元徴用工を巡る問題」62%だった。日本側は直近の問題、韓国側は歴史問題をそれぞれ重視する傾向がうかがえ、優先度の認識がすれ違っていることを示している。


2019年06月11日