(統一日報 2019/06/05)

 韓日関係の悪化は経済分野にも大きな影響を及ぼしている。両国の貿易関連にとどまらず、日本で生活している在日同胞の事業にも少ながからずその余波が及んでいる。今回は、韓日関係悪化の経済的な影響を在日同胞事業家に聞いた

 昨年の10月、韓国大法院が徴用工問題の賠償判決を出してから両国の政治・外交関係は急速に悪化した。3月12日には、麻生太郎副総理が衆議院財務金融委員会で、同判決に対して「関税に限らず、送金の停止、ビザの発給停止などいろいろな報復措置がある」と述べた。実際に日本政府は5月31日、6月から韓国産水産物への検疫を強化すると発表した。日本の当局者は食中毒を未然に防ぐためとしているが、実態は報復措置とみる向きが多い。

 このような状況下、在日同胞経済はどれだけの影響を受けているのだろうか。多くの在日同胞が店を構える新大久保にある韓国料理店は「お客の数は減っていない」と本紙の取材に答えた。同店補は「新大久保に来るお客はもともと親韓・知韓の人が多く、両国の政治状況を気にしていない」と話す。

現在、第3次韓流ブームが起きているという分析もある。韓国ドラマやK―POPは下火になったが、韓国グルメブームに火がついた。定番とされていた焼肉やキムチだけではなく、チーズをトッピングしたチーズタッカルビやホットクなど、10~20代を中心に人気を集めている。

韓流の影響を受けない地域ではどうだろうか。

日本で多くの韓国料理店を展開する実業家は「日本で反韓感情が最も激しかった2012年には3割以上売り上げが下がったが、今はそこまで悪くなく1割程度の減少」と話す。「12年とは違って、今の日本社会は政治と文化を分けて考える人が増えたように感じる。政治状況にも揺るがないコアな客層が形成されたと感じる。一方で、韓日関係がよくなれば、もっと客層は拡大するだろう」と関係改善に期待を示した。

飲食店以外に目を向けてみる

在日韓国人貴金属協会の金幸太会長は「現在、日本の貴金属産業は韓国人なしでは成り立たない。業界の約8割を韓国人が占めている状況だ」と業界の現況を伝えた。同協会の金璟真常任理事は「両国の関係が悪化しても、この業界では我々在日韓国人の技術力が認められている。韓日関係の悪化や、好き嫌いなどの韓国人への感情に左右されず、取引ができる」と述べた。

在日同胞の基幹産業であるパチンコ業界はどうだろうか。今年2月に風営法が改正され、パチンコ・パチスロの最大出玉が従来の3分の2に制限されることとなり、厳しい状況に置かれている。韓日関係の悪化は在日同胞が標的にされやすく矢面に立たされる

遊技業界の売上高は過去4年連続で減少傾向だが、昨年は減少幅が縮小していた(帝国データバンクから)。しかし、縮小傾向は変わらず、さらには風営法の改正により、経営が圧迫されている。

一部に嫌韓ムードが高まるなか、来年5月からは新たな規制も導入され、東京都では等価交換禁止、規格外機種の強制撤去まで俎上にのっている

韓日関係が悪化すれば、パチンコ産業への風当たりも強くなる可能性がある。


在日韓国人貴金属協会とは?のため、取り上げられた記事を貼っときます↓

日本貴金属市場握った在日韓国人、素早い手で30年
(ハンギョレ新聞 韓国語 2014/11/28)

(略)現在、日本市場で製作される貴金属製品は在日韓国人の手を経ずにはいられないというのが日本現地の反応だ。在日韓国人細工専門家たちは技術が良く、手が早くて競争力が優れているという評価を受けている。精密技術で世界最先端を誇る日本で韓国人の手技が認められているという意味だが、1980年代初期に渡ってき始めた韓国細工人が去る30余年間、涙と汗で築いた成果だ。(略)

御徒町の韓国人貴金属細工業者は、日本,東京の真ん中、上野のそばに密集している。ここには約500人の韓国細工人が集団を成して貴金属細工をしている。御徒町は日本江戸時代から貴金属関連の職人が集まっていた所だ。

1980年代初期、全羅北道裡里市(現在の益山)地域で日本の注文を受けて貴金属を細工して輸出していた業者の細工人が「輸出するより日本現地で直接注文を受けて製作し、すぐにアフターサービスをするほうが良い」と判断をして、一つ二つ日本に渡っていってここ御徒町に定着し始め
、ソウルと釜山などの地に散らばっていた細工人が合流し、現在の御徒町韓国人細工集団を形成することになった。

細工人は16年前に在日韓国人貴金属協会を結成し、会員たちの権益伸長とそこで生まれ育つ韓国人の子供の韓国語教育、アイデンティティ確立に対する事業を展開している。(略)これらは金、白金、ダイヤモンド、オパール、サファイアなどの貴金属で指輪、ネックレス、ペンダントなどを作り、銀座の高級店舗に納品している。貴金属であるため高いのは1億ウォンを越える製品もある。貴金属細工は小指の爪のくらい比較的大きい宝石から直径0.1ミリメートル前後の宝石を極めて細密に固定するのが主な業務だが、仕事の特性上、目の疲労が重なり、皆が老眼が早くきたり、視力が悪くて眼鏡をかけることが多い。かつて、ここは好況を呈したが、東日本地震後の景気の悪化、為替レート問題、韓日両国間の政局梗塞などが重なって難しい時期を送っている。

現在の在日韓国人貴金属協会の第7代会長であるファン・ビョンドク(黄秉德)氏(47)は、1987年に業界に入門し、1989年に日本に来て、宝石製造/加工業者である(株)コンベントを運営し、日本貴金属業界で成功した事業家として名を馳せている。

ファン会長は「(略)韓国細工人はますます老齢化している。平均年齢を考えれば50代半ば以上であろう。70%程度が家族と離れて一人で日本に来たケースだ。何年か前からは東南アジアと中国などから来た外国人勤労者たちが低賃金を強みとし、競争が激しくなっている」と苦衷を打ち明け、「だが、協会を中心に団結し、これまで色々な危機を数えきれないほど乗り越えてきたように克服するだろう。在日韓国人2世、3世を対象に韓国語講座を運営しており、毎年3月に婦人会を中心に上野桜屋台を運営し、キムチやスンデなど韓国固有の食べ物を販売している。その他、色々な収益事業を通じて2006年からは会員の子供に奨学金も与えている」と述べた。

ファン会長は「在日韓国人がここに永く定着できるように最善を尽くして努力して行く」と抱負を語った。(機械翻訳 若干修正)