(朝日新聞 2019/05/29)

 北朝鮮が昨年以降、外国投資の受け皿として期待する国内の経済開発区を再編するなど、投資環境の改善を試みていたことが、朝日新聞の入手した内部資料でわかった。資料では、外国人の複雑な出入国手続きや高額な土地賃借料といった課題も列挙している。米国との非核化協議で経済制裁が解除されることを当て込んでいた可能性がある

 資料は、北朝鮮政府が、外資の誘致を担う当局者らに方針を徹底させるために作っていた。

 北朝鮮は2013年に経済開発区を設ける考えを打ち出し、昨年時点の整備数は工業(14)、農業(3)、観光(6)、輸出加工(3)、先端技術(1)。資料によると、これらを「中央級」と「地方級」に再編し、平壌に先端技術開発区を設けた。首都に外国の投資を呼び込もうとするのは異例といえる。さらに、資料は「切迫した課題」として、通信設備の未整備などにも言及している。

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▲北朝鮮で再編された主な経済開発区

 北朝鮮経済が専門の北韓大学院大学の梁文秀教授は今回の資料について「制裁緩和後の外資誘致を準備するためだったのではないか」と分析。「資料ではバラ色の経済開発区を描く一方、改善点も挙げている。投資環境の改善に何が問題か自ら認識していることが注目される」と語る。

 北朝鮮は最近、日本の都道府県にあたる慈江道で観光客誘致に成功した金才竜氏を首相に任命。今回の資料でも、一部の経済開発区について、地方政府による管理を明確化しており、地方経済の再建を重視した動きとみられている。(ソウル=神谷毅)

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 朝鮮中央通信は昨年11月、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が経済開発区がある地方のうち、新義州市の開発を直接指導したと報じた。

 ただ、同市と川を挟んで向かい合う中国遼寧省丹東市をつなぐ新たな国境橋「中朝鴨緑江界河公路大橋」は、2014年の完成後5年近くを経ても開通していない。国境貿易の「大動脈」になると期待されたが、北朝鮮側の橋のたもとには、建物も車道もほとんど整備されていない更地が広がっている

 丹東市は、北朝鮮の対外貿易の9割を占める中国で最大の国境貿易都市だ。

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▲中国と北朝鮮を結ぶ未開通の「中朝鴨緑江界河公路大橋」の北朝鮮側のたもと=2019年2月、中国・遼寧省丹東市から、平井良和撮影

 中朝首脳会談や米朝首脳会談が相次いだ昨年以降、地元の中朝貿易関係者からは北朝鮮の「経済開放」に期待する声が相次いで聞かれた。北朝鮮の開発区を視察する中国企業のツアーも活発化。今年、北朝鮮側とビジネス協定を結んだ企業も10社以上に上るという。

 一方で、ある貿易関係者は「多くのビジネスの準備は対北朝鮮制裁の緩和を大前提にしている」と指摘する。今年2月にはハノイでの米朝首脳会談が物別れに終わっており、制裁緩和は見通せないままだ。この関係者は「北朝鮮の経済開発が大きなビジネスであることは間違いない。今は準備して待つしかない」と話した。(丹東=平井良和)


本気でアメリカを言いくるめられると思っていたようですね。