(時事通信 2019/05/17)

 政府は17日、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)について、現在も「破壊活動防止法に基づく調査対象団体である」とした答弁書を閣議決定した。「今後の情勢いかんによっては、将来、暴力主義的破壊活動を行う恐れがあることを否定し得ない」との見解も示した。衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」の松原仁氏の質問主意書に答えた。

 答弁書は、北朝鮮による三つの拉致事案で「朝鮮総連傘下団体等の構成員の関与があったと認識している」と説明。朝鮮総連について「前身組織である在日朝鮮統一民主戦線がこれまでに暴力主義的破壊活動を行った疑いがある」「北朝鮮とも密接な関係を有している」などとも指摘した。


令和元年五月七日提出
質問第一五七号

朝鮮総連による対日有害活動等に関する質問主意書

提出者 松原仁

東京都千代田区に中央本部をおく在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)に関する次の質問について、政府が承知しているところを具体的事例で示されたい。

一 北朝鮮による日本人または在日朝鮮人の拉致に、朝鮮総連関係者は関与しているか

二 我が国が計一兆三千四百億円以上の公的資金を投入する事態となった朝銀信用組合の経営破綻に、朝鮮総連は関与しているか

三 安倍晋三内閣総理大臣は平成二十七年二月二十日に開かれた衆議院予算委員会で、「朝銀信組の破綻の問題は、他の信組の問題とは違って、いわば破綻することがわかっているにもかかわらず、後で預金保険機構あるいは公的資金が入ることを前提にどんどん貸していく、そして大きな穴をあけた結果なんですね。投資の失敗だけではなくて、いわば不正融資というか、北朝鮮に金が渡るということを前提に貸し手側と借り手側が一体となっていたという問題がありました」と答弁されたが、相違ないか

四 朝銀信用組合の経営破綻に関係して検挙された朝鮮総連関係者はいるか。

五 北朝鮮を仕出地とする覚せい剤密輸事件に関与した朝鮮総連関係者はいるか。

六 不正輸出事件に関与した朝鮮総連傘下企業や朝鮮総連関係者はいるか。

七 朝鮮総連傘下団体のなかに、科学技術によって北朝鮮を支援することを目的とする団体はあるか。あるとすれば検挙の事例はあるか。

八 朝鮮総連傘下団体の税理士法違反事件に関与して検挙された朝鮮総連関係者はいるか。

九 外務省へのスパイ活動で検挙された朝鮮総連関係者はいるか。

十 北朝鮮人権問題に関する集会を、威力を用いて妨害したことで検挙された朝鮮総連関係者はいるか。

十一 朝鮮総連は「日本と国交を有する諸外国における大使館にも比すべき活動」を行っていると述べるが、北朝鮮のために日本の各界に働きかける工作活動を行っているか。

十二 朝鮮総連または前身組織は暴力主義的破壊活動を行ったことはあるか。

十三 朝鮮総連は破壊活動防止法に基づく調査対象団体か

十四 朝鮮総連は将来、暴力主義的破壊活動を行うおそれはあるか

右質問する。
内閣衆質一九八第一五七号
令和元年五月十七日
内閣総理大臣安倍晋三

衆議院議員松原仁君提出朝鮮総連による対日有害活動等に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、現時点においては、昭和四十九年六月に発生した姉弟拉致容疑事案、昭和五十三年六月に発生した元飲食店店員拉致容疑事案及び昭和五十五年六月に発生した辛光洙事件において、それぞれ朝鮮総聯傘下団体等の構成員の関与があったものと認識している。

二及び三について

 御指摘の「朝銀信用組合の経営破綻」の原因については、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第百三十二号)第十三条の規定に基づく金融整理管財人の報告等によれば、融資審査が不十分であったこと、法令遵守体制に問題があったこと、内部での相互牽制機能が形骸化し、不適切な経営管理が行われていたこと等が指摘されているところであり、また、預金保険機構及び株式会社整理回収機構が債権回収の一環として融資資金の過去の動きの把握に努めた結果、朝鮮総聯に対して架空の名義等を用いて融資が行われていたことが明らかとなっているところである。

四について

 お尋ねの「朝銀信用組合の経営破綻に関係して検挙された」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、平成十三年十一月、警視庁において、朝銀東京信用組合のため業務上預かり保管中の金員を着服したなどとして、朝鮮総聯の構成員らを業務上横領罪等で検挙したことがあるものと承知している。

五について

 警察庁において調査した限りでは、北朝鮮を仕出地とする覚醒剤密輸事件への朝鮮総聯等の構成員の関与は、現在のところ確認されていない。

六について

 お尋ねの「不正輸出事件」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、平成元年二月、新潟県警察において、当時の外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)により輸出が規制されていた貨物を通商産業大臣(当時)の許可を受けずに不正に輸出しようとしたなどとして、朝鮮総聯傘下団体の構成員を同法違反等で検挙したことがあるものと承知している。

七について

 お尋ねの「科学技術によって北朝鮮を支援することを目的とする団体」としては、在日朝鮮人の科学者、技術者等で構成されており、朝鮮総聯傘下団体の一つである在日本朝鮮人科学技術協会があり、同団体については、平成十七年十月、警視庁において、薬局の開設等の許可を受けずに医薬品を販売したなどとして、同団体の構成員を当時の薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)違反で検挙したことがあるものと承知している。

八について

 お尋ねの「朝鮮総連傘下団体の税理士法違反事件」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十年十一月及び十二月、警視庁において、税理士ではなく、また、税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)に別段の定めがある場合ではないにもかかわらず、税理士業務を行ったとして、朝鮮総聯傘下団体の構成員らを同法違反で検挙したことがあるものと承知している。

九について

お尋ねの「外務省へのスパイ活動」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、昭和四十二年十一月、警視庁において、外務省の事務官から秘密文書等を収集するなどした行為に関し、朝鮮総聯傘下団体の構成員らを国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)違反等で検挙したことがあるものと承知している。

十について

 お尋ねの「北朝鮮人権問題に関する集会」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、平成六年八月、大阪府警察において、「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク」というグループが開催した集会を威力を用いて妨害したとして、朝鮮総聯の構成員らを威力業務妨害罪で検挙したことがあるものと承知している。

十一について

 政府としては、朝鮮総聯が各界関係者に対し、その活動に対する理解を求め、北朝鮮に対する友好的な世論を醸成するため、北朝鮮の各種記念日に際して開催する祝賀会への参加を呼び掛けるなどの各種諸工作を行っているものと認識している。

十二及び十四について

 政府としては、朝鮮総聯について、その前身組織である在日朝鮮統一民主戦線がこれまでに暴力主義的破壊活動を行った疑いがあるものと認識しており、また、北朝鮮とも密接な関係を有していることから、今後の情勢いかんによっては、将来、暴力主義的破壊活動を行うおそれのあることを否定し得ないものと認識している。

十三について

 朝鮮総聯は、破壊活動防止法(昭和二十七年法律第二百四十号)に基づく調査対象団体である。


どこのマスコミがどう反応するのか楽しみですね。