(朝日新聞 2019/05/10)

 米国防総省が2回目となる北朝鮮による飛翔(ひしょう)体の発射を「複数の弾道ミサイル」と断定した。弾道ミサイルであれば、通常のミサイルとはまるで事情が違ってくる。国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議は北朝鮮に弾道ミサイル技術を使ったいかなる発射も禁じており、今回の飛翔体発射が国連決議違反に該当することになるためだ。国際社会は何らかの対応を迫られる可能性も出てくる。

 米側の2回目の飛翔体発射をめぐる反応は、1回目とは違って厳しいものだった。トランプ米大統領は「我々は極めて深刻に見ている。(ミサイル発射は)だれもハッピーではない」と不快感を示した。北朝鮮の話題となれば、正恩氏との個人的な関係が良好であることをつけ加えるのが常だが、こうした言葉を一切発することはなかった。

 米側には、1回目の飛翔体発射後の対応をめぐる反省があったとみられる。もともと正恩氏の戦略について、ワシントンでは「米国のみならず、日韓両国の寛容さと忍耐力を試そうとしている」(ジュン・パク元CIA上席分析官)という見方が強かった。ゆえにトランプ氏を筆頭に、日米韓が抑制的な対応を示したことが皮肉にも次なる北朝鮮の挑発活動の「呼び水」になる、という懸念が米政府関係者には広がっていた。

 ただ、米国防総省は弾道ミサイルと断定したものの、米国は国連安保理の緊急会合の招集を求める動きまでは見せていないトランプ氏も正恩氏と交渉を続けていく姿勢は基本的には変えていない。米朝交渉を破綻させれば、自らが誇る数少ない「外交的成果」が瓦解(がかい)することになるからだ。

 一方の北朝鮮も、トランプ氏を3度目となるトップ会談の場に何とか引きずり出し、制裁緩和を勝ち取るのが最大の狙いだ。その実現に向け、パク氏は「我々は北朝鮮によるさらなる攻撃的な行為を見る可能性が高いだろう」と警告する。

 北朝鮮は2020年の米大統領選再選を目指すトランプ氏の足元を見据え、ギリギリのラインを探りながら、挑発活動を続けるとみられる。それは一歩足を踏み外せば、2017年当時の一触即発の危機を招きかねない危険なゲームでもある。米朝の蜜月時代は終わり、新たな緊張局面に入ったと言えるだろう。(ワシントン=園田耕司)


(朝日新聞 2019/05/10)

 北朝鮮が9日に発射した飛翔(ひしょう)体について、岩屋毅防衛相は10日午前の記者会見で、「政府として収集した様々な情報を総合勘案した結果、短距離弾道ミサイルを発射したものとみられる」と述べ、米国に続き、日本政府として弾道ミサイルと認定したことを明らかにした。


(聯合ニュース 2019/05/10)

 韓国の情報機関・国家情報院(国情院)は10日、国会情報委員会の委員らに対し、北朝鮮が9日に発射した2発のミサイルについて、「新型兵器体系の可能性があり、分析が遅れている」と報告した。

(略)国情院は今回発射されたミサイルの飛行高度は約40キロで、飛行距離は1発目が420キロ、2発目は270キロと報告した。

 また「北は9日に東海上に発射したミサイル2発のほか、黄海上にも240ミリの放射砲(ロケット砲)を発射した」とし、「今回のミサイル発射は昨年9月の南北軍事合意の趣旨に反するものとみることができる」との見解を明らかにした。 

 今回発射されたミサイルが弾道ミサイルであるとする見方については、「弾道ミサイルではないと結論を出したわけではない」とし、「韓国全域を射程圏に置くことができる兵器であり、われわれも北の全域を射程圏に置くことができる武器体系を備えている」と強調した。(略)


(聯合ニュース 2019/05/10)

(略)過去のケースを見ると、安保理は北朝鮮の弾道ミサイル発射に非難声明や追加制裁で対応してきたが、対応のレベルはミサイルの射程により異なっていた

 韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が9日に発射したミサイル2発の飛距離をそれぞれ約420キロ、約270キロと発表した。このミサイルは最大射程が500キロと推定され、短距離に分類される。安保理はこれまで、射程が長く多くの国を脅かす可能性のある大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の発射には追加制裁を科したが、今回のように射程が短い短距離ミサイルに対しては非難や警告などにとどめた。(略)

 だが、北朝鮮が発射を繰り返すなど挑発を続ければ米国を含む国際社会で強い対応を求める世論が広がり、制裁違反との指摘が強まる可能性もある。

 韓国政府は、今回のミサイル発射は昨年9月の南北軍事合意の趣旨に反すると指摘しながらも、弾道ミサイルとの断定には慎重だ。軍当局は10日、飛翔体は弾道ミサイルだとする海外の報道を受け、「今のところ、短距離ミサイルと評価している」と伝えた。