(朝鮮日報 2018/12/13)

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領の専用機が「北朝鮮を訪問した飛行機は180日間(6カ月間)米国を訪問できない」という米国の対北朝鮮制裁の適用を受けていることが12日、分かった。これにより、南北首脳会談直後の9月24日に文大統領が国連総会出席・韓米首脳会談のためこの専用機で米ニューヨークを訪問した時は、「制裁の例外」を認めてもらう手続を取っていたことが確認された。外交消息筋は「米国と協議して特別許可を受ければ、米国を訪問できる。しかし、このような制裁免除手続きは1回ではなく、訪米のたびにする必要がある」と語った。

 ドナルド・トランプ米大統領は、北朝鮮に行ったすべての飛行機はそれから180日間以内に米国に入れないという内容の対北朝鮮独自制裁(大統領令13810号)に昨年9月署名した。この大統領令には特別許可を受ければ制裁を免除するという例外規定がある。文大統領の専用機が南北首脳会談のため9月18日から20日まで平壌に行き、その後ニューヨークを訪れたのは、このような例外規定と韓米間の協議があったから可能だったのだ。米政府関係者はこうした事実を認め、「北朝鮮を訪問した以上、韓国大統領の専用機も制裁対象に含まれる」と言った。韓国政府も、大統領府国家安全保障会議(NSC)、儀典室、外交部(省に相当)の北朝鮮核問題担当すべてが「制裁の例外を認めてもらう手続きが必要だ」との意見を出したという。

 しかし、米国は一度制裁免除を出しても、180日間の制裁期間中は訪米のたびに例外規定に従うよう要求してくるため、韓国大統領府内部では、「米国は韓国にこれほどまでのことをするのか」と不満の声が上がっているという

 先日の20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するため、開催地アルゼンチンを訪問する際、韓国大統領府が中継地に急きょチェコを選んだのも、大統領専用機の制裁適用問題と関連があることが分かった。韓国大統領府は当初、アルゼンチンを訪問する前に中継地として米ロサンゼルスに立ち寄り、同地の韓国人・韓国系住民との懇談会開催を推進していたが、直前になって大統領不在のチェコを訪問することを決め、その背景が取りざたされていた。

 韓国大統領府関係者は「中継地がロサンゼルスからチェコに変更されたのは、米国の対北朝鮮制裁とは無関係だ。大統領専用機が制裁の適用を受けているというのはとんでもない話だ」と否定している。


(朝鮮日報 2018/12/13)

G20首脳会議出席時、韓米間で何が?

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するためアルゼンチンに向かった際、経由地が当初検討されていた米ロサンゼルスからチェコに変更されたのは、当時高まっていた韓米間の確執ムードに関係があることが分かった。韓国大統領府は当時、米国が南北関係に関して次々と待ったをかけていることに不満が募っていた。米国も、南北軍事合意書に関して韓国に対し強い不満を表明していた。こうした中、韓国大統領専用機が訪米のたびに対北朝鮮制裁の例外許可を受けなければならないという報告があった。すると、韓国大統領府は「それならロサンゼルスではなく別の経由地を検討せよ」という内容の指示を下したとのことだ。米国が文大統領専用機の着陸を阻止したわけではないが、結果的には対北朝鮮制裁が経由地変更の主な原因となったことになる。

■経由地は10月初めまでロスだった

 外交筋が12日に明らかにしたところによると、韓国政府はG20首脳会議出席のための経由地に早くからロサンゼルスを決めていたという。ロサンゼルスには海外在住韓国人・韓国系コミュニティーの中でも最大規模のコミュニティーがある。このため、これまでの韓国大統領は就任1-2年目にロサンゼルスを訪れ、現地在住者と懇談会をするのが慣例だった。文大統領は就任後、米国を4回訪問しているが、ロサンゼルスには行ったことがない。外交部(省に相当)は実際にロサンゼルス訪問の準備をかなり進めていたと言われる。ロサンゼルス地域の韓人会(現地在住者の集まり)関係者は、本紙の電話取材に「今年春から『11月ごろに大統領行事があるだろう』という話が出ていた。事実、数カ月前に総領事館側から非公式に大統領訪問の話があった」と語った。この話は「準備が必要だ」という内容だったそうだ。ところが10月初めごろ、韓国大統領府は政府に対して別の経由地を調べるよう指示を下した。大統領の海外訪問準備は通常、3カ月前から始めることを考えると、出国まであと2カ月という時期に経由地を変更するのは異例だと言える。

 外交消息筋によると、文大統領がロサンゼルスに行くには専用機の着陸許可を米国側から受けなければならないとの報告があり、それから大統領府の雰囲気が変わったとのことだ。文大統領の専用機は9月18日から20日まで南北首脳会談のため平壌に行っていた。この場合、原則として文大統領の専用機も180日間、米国入国を禁止する独自制裁の対象となる。このため、南北会談直後の9月24日に文大統領が国連総会に出席するためニューヨークを訪れた時、外交部は米国側と協議して「制裁例外適用措置」を受けた。ワシントンの消息筋は「南北首脳会談は米国とも十分共有している事案で、米国は文大統領専用機に関連して特に問題視しているわけではない。ただ、制裁例外適用措置を受けるため形式的な手続きが必要だった」と話した。

 だが、これについて韓国大統領府の内部会議からは「いくら形式的な手続きだとしても、大統領専用機が毎回許可を受けなければならないのか」という問題提起があった。一部の参謀は「主権にかかわる問題」「米国はひどすぎる」と激高している様子だったという。政務担当だけでなく、鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長ら外交担当も不満の意を表出していたとのことだ。

■米国に対し不満抱き「米国経由する必要ない」

 韓国大統領府の反発は、単に大統領専用機の制裁例外適用措置に関するものではなかった。外交消息筋は「これまで積もり積もってきた米国に対する『わだかまり』が専用機問題をきっかけに噴出したと考えるのが正確だろう」と言った。

 韓米間の確執は9月の南北首脳会談を前後して相次いで表明化した。8月末、韓国政府と北朝鮮が北の鉄道区間を共同点検しようとした時、軍事境界線を管轄する国連軍司令部がこれを白紙化させた。国連軍司令部の主軸は米軍だ。韓国政府が力を入れてきた開城工業団地の南北共同連絡事務所に関しても、米国は各種資材や石油類の搬入を対北朝鮮制裁違反だとして問題提起し、開所がかなり遅れた

 逆に、韓国が南北首脳会談軍事合意書を米国に十分な検討時間を与えずに南北首脳会談直前に出したことに対しては、米国から不満の声が上がった。マイク・ポンペオ米国務長官は康京和(カン・ギョンファ)外交部長官に電話をかけ、激しい言葉遣いで抗議したという報道もあった。外交部関係者は「軍事合意書以降、さまざまな問題で米国がかなり気むずかしくなっているのは事実だ」と言った。

 そうした中、10月初めには「韓国は我々の承認なしには何もできない」というドナルド・トランプ米大統領の発言まで伝えられ、韓国大統領府の米国に対する不満は頂点に達したという。結局、こうしたムードから「必ずしも米国を経由する必要はない」という決定が下されたとのことだ


(朝鮮日報 2018/12/14)

韓国大統領府「米政府に聞け」 米「韓国政府に聞け」
 
 韓国大統領府と外交部(省に相当)は、今年9月に北朝鮮の平壌に行った文在寅(ムン・ジェイン)大統領専用機が米国の対北朝鮮制裁の適用を受け、米ニューヨーク訪問時に制裁免除手続きを取っていたという本紙報道について、「事実ではない」と否定した。

 韓国大統領府は13日、「我々が米国に制裁免除を要請したことはない」と述べた。しかし、外交部は「(専用機の米国入国について)韓米間で緊密な協議はした」と言っている。専用機問題を協議したが、公式の免除要請はしていないということだ。専用機が米国の制裁対象になっているのかどうかについても、「米国に聞いてほしい」と具体的には答えなかった。

 韓国大統領府の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官は同日の記者会見で、「文大統領が9月に米国で行われた国連総会に出席した際、専用機の制裁例外手続きが取られた」という記事について、「米国に制裁例外手続きを要求したことはない。従って、韓国政府が米国の制裁免除を申請したこともない」と言った。米国の許可を受けて米国に行ったという話は事実無根だとしたものだ。

 ところが、外交部当局者は「このような(専用機)協議は常にしている複数の協議の1つだ。韓米間で緊密な協議をした」と述べた。ただし、「協議後、米国に制裁免除申請をしたことはなく、何の問題もなしに国連総会に出席した」とも言った。韓米間協議により専用機の訪米問題を解決したということだ

 韓米間協議の時期について、この当局者は「時期ははっきり言えない」と言った。本紙の報道内容も、米国の大統領令に基づき、文大統領専用機に対する制裁の免除を受けるための韓米間協議を経て訪米が実現したという内容だ。韓国政府が米国に制裁免除を「要請した」という部分はない。

 文大統領専用機が米国の制裁対象になっているかどうかについて、金宜謙報道官は「韓国政府よりも米政府や米大使館から確実な回答を得てほしい」と米国に球を返した。これに対して米大使館側は「その問題なら韓国政府か駐米韓国大使館に聞いてほしい」と言った。つまり、韓米間で「ピンポンゲーム」をしているような形だ。

 在外公館長会議に出席するため韓国に一時帰国している趙潤済(チョ・ユンジェ)駐米大使は、記者懇談会でこの問題に関する質問を受けたが、何も答えなかった。ワシントンの外交消息筋は「専用機の米国入国過程には口にできない複雑な事情がある」と語った。

 外交部も「専用機の米国国内法(制裁)適用については、米政府に問い合わせてほしい」と言った。韓国大統領府と同じだ。「大統領専用機はもともと制裁免除になるのか」と尋ねると、外交部当局者は「(文大統領は)とにかく国連総会に問題なく出席した。制裁免除は申請していない」と述べた。米大統領令には、制裁対象が北朝鮮に行った航空機となっているだけで、民間機・軍用機・専用機の区別はない。

 韓国大統領府は、中間経由地に米ロサンゼルスを検討していたが、チェコに最終決定した理由について、時差ぼけ回避のための「生体リズム」を考慮したと説明した。金宜謙報道官は「経由地をチェコに決めたのは制裁とは無関係だ。給油と、チェコとの首脳外交、そして代表団の時差適応を考慮した」と言った。

 その上で、「(アルゼンチンに行くのに)西(ヨーロッパ)に行くのか、東(米国)に行くのかについては、人間の生体リズムや気流の問題などを考慮すると、西に行く方がはるかに時差適応に有利だ。飛行専門家に聞いてみてほしい」と述べた。

 しかし、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領=当時=は2004年の南米訪問時にロサンゼルスとハワイを経由地に選んだ。李明博(イ・ミョンバク)元大統領、朴槿恵(パク・クネ)前大統領も米国を経由して南米に行っている。歴代の韓国大統領のほとんどが、大統領府が提示した生体リズム論に逆らう経由地を通って南米に行ったというわけだ。金宜謙報道官は「もともとロサンゼルスを経由する予定だったのがチェコに変更されたのではなく、ロサンゼルスもスペイン・オランダ・ハンガリー同様、検討を経て脱落した経由地候補の1つだった」という趣旨の説明をした。


「大統領専用機は制裁対象ではない」と誰も言えない“状況”なんですね。