(日本経済新聞 2018/12/10)

政府は10日、中央省庁や自衛隊が使う情報通信機器の調達に関する運用指針をまとめた。不正プログラムの埋め込みなど安全保障上の危険性を考慮に入れ、機密情報の漏洩を防ぐ。イランへの製品輸出の疑いがある中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)などの製品を念頭に置く。2019年4月以降に調達する機器に適用する

政府が通信機器の調達手続きに関する指針をつくるのは初めて。10日に全省庁の機器調達やサイバー対策の担当者を集め指針を申し合わせた。

対象は政府機関が使うパソコンやサーバー、ルーターなど。(1)国家安全保障や治安関係の業務を行う(2)機密性の高い情報を取り扱う(3)個人情報を大量に扱う(4)基幹・基盤システム(5)運営経費が極めて大きい――の5つの観点で調達が適切かどうか判断する。機器に不正なプログラムやウイルスが埋め込まれていればデータが外部に流出したり、システムが動かなくなったりしかねない。自衛隊の部隊運用など機密情報が漏れる恐れもある。

導入済みの機器も危険性があるとみなせば切り替える。機器の調達はこれまで価格で判断する一般競争入札が基本だったが安全性を重視する。

念頭に置くのは中国企業の通信機器だ。ファーウェイは米国が経済制裁を科すイランに製品を不法に輸出した疑いがある。新指針の下では同社製品は安保上のリスクを伴い、調達先から排除される公算が大きい。

菅義偉官房長官は10日午前の記者会見で「情報の破壊や情報システムの停止など悪意のある機能が組み込まれた機器を調達しないことは極めて重要だ」と述べた。中国企業の製品を念頭に置いた措置かと問われ「特定の企業、機器を排除することを目的としたものではない」と語った

運用指針の公表に関し「中国側から外交ルートで照会があった」と明らかにした。菅氏によると、日本政府は中国側にサイバー対策上の重要性と「日本が取る措置は国際ルールに整合的な形で取られる」と説明した

中国企業の通信機器の取引停止では米国が先行している。4月には中興通訊(ZTE)に米企業との取引を禁じる経済制裁を発動した。8月に米国防権限法(NDAA)を成立させ、ファーウェイ製品などを使用するだけで米政府との取引を禁じる規定を盛り込んだ。

日本政府関係者によると、米政府は日本政府にも中国製機器の危険性に関する情報を提供してきた。日本が中国企業を念頭に調達基準を厳しくするのも、こうした状況を踏まえたものだ。


(朝日新聞 2018/12/10)

 政府は10日午前、サイバーセキュリティ対策推進会議を開き、情報通信機器の調達手続きについて、サイバー攻撃や情報漏洩(ろうえい)への対策など安全保障上のリスク低減を目指した運用を新たに申し合わせた。中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の製品排除が念頭にあるとみられる。

 申し合わせでは、情報システムの調達や構築、保守、更新などの際に、通信回線装置や端末、複合機などの契約方式について、価格面だけでなく総合的な評価を行う契約方式を採用するとした。担当者は会議後、「私どもが意図しない動作やシステム停止など、悪意ある機能が組み込まれる懸念がある」と述べた。

 対象となる政府機関は各府省庁をはじめ、会計検査院や公正取引委員会など23機関。来年度の調達分から適用する。


日本政府の中国通信機器排除方針、在日中国大使館が声明を発表
(中国網(チャイナネット)2018/12/10)

 一部日本メディアは7日、日本政府が国家安全を理由にファーウェイとZTEの製品を政府調達から排除する方針を固めたと伝えた。在日中国大使館は声明を発表し、重大な関心を示した。声明の内容は下記の通り。

 ファーウェイとZTEの製品に安全リスクが存在する証拠は何らない。ファーウェイとZTEは世界的に有名な電子通信設備サプライヤーで、全世界の多くの先進国がファーウェイとZTEの設備を使用している。ファーウェイとZTEの製品は日本市場と日本のユーザーの間で高い評価を得ているほか、毎年大量の日本製品を輸入し、現地で多くの従業員を雇用し、日本経済に多大な貢献を成し遂げている。東日本大震災後、ファーウェイとZTEは困難を乗り越え、被災地の損傷した通信設備を速やかに修復し、企業の社会的責任を積極的に履行した。

 中国の法律・規定はいかなる機関にも、通信企業を通じバックドア、盗聴・スパイ装置を事前に埋め込むことを認めていない。中国企業も対外協力の過程において、国際ルールと現地の法律を遵守し続けている。日本政府が国家安全を理由に政府機関と自国企業による中国関連企業の製品の調達と使用を制限すれば、特定の国と企業に対する差別的な手法に当たる疑いがある。日本の外資導入ばかりか、中日双方の経済協力の妨げにもなる。我々はこれに強く反対する。

 中国側は日本側に対して、ファーウェイやZTEなどの中国企業の日本における投資を積極的に見据え、中国企業に公平で公正なビジネス環境を提供するよう求める。


通信機器だけでなく防犯・監視カメラも対象にし、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)、海能達通信(ハイテラ)も排除しないとね。
2018年10月04日