(国民日報 韓国語 2018/11/06)

大法院[最高裁]の日帝強制徴用被害者賠償判決と違い、慰安婦被害おばあさんの損害賠償訴訟は、日本側の裁判拒否で開始も出来ずにいる。日本戦犯企業を相手にした強制徴用訴訟と違い、日本政府を相手にした訴訟のため、『送達』という国際法が障害物として作用しているためだ。

5日、法曹界によれば、国内裁判所で進行中である慰安婦関連訴訟は合計6件で、慰安婦被害おばあさんが日本政府を相手にソウル中央地方法院[地裁]に出した損害賠償請求訴訟2件が核心だ。だが、そのうちの1件は日本外務省がハーグ送達条約13条により〈自国の安保または主権を侵害する場合〉に該当するとし、訴状を法務省に伝達せずに返送して裁判期日が延期になっており、、残りの1件も訴訟手続きを開始することができずにいる。民事訴訟法上、被告に訴訟事実を知らせる訴状が渡ってこそ、すなわち送達されてこそ裁判手続きを進めることができる。

専門家たちは「日本側が送達を受け入れない以上、裁判を始めることは難しい」とし「外交ラインを通じた解決策の摸索しか方法がない」と指摘する。ハーグ送達条約14条は〈送達する裁判上の文書の転達と関連して生じる紛議は、外交上の経路を通じて解決する〉とだけ規定しているためだ。

これに対し、大法院法院行政処[最高裁判所事務総局に相当]は去る7月30日、外交部[省に相当]に外交経路を通じた送達を要請した状態だ

慰安婦被害おばあさんを代理しているキム・セウン弁護士は「郵便などによる当事者への送達方法は韓国裁判所が認めていない」とし「結局、外交部が積極的に取り組まなければならない」と明らかにした。

送達問題が解決したとしても、韓国裁判所が日本政府を相手にした訴訟を担当することができるのか、すなわち裁判権があるのかどうかが問題になる。主権国家の行為に対しては外国の裁判所が判断できないという国家責任免除理論が国際訴訟で支配的であるためだ。韓国裁判所に裁判権がないと判断された場合、訴訟は却下される。

首都圏所在の法学専門大学院教授は「過去、大法院は外国の主権に対する不当な干渉になる場合、裁判権が認められないと判断したことがある」と話した。

一方、キム・チャンロク慶北大法学専門大学院教授は「イタリア裁判所は国民であるルイス・ペリーニがドイツ政府を相手に強制労働損害賠償を請求した訴訟で勝訴判決を下し、イタリア憲法裁判所もまた、ドイツ政府の手をあげた国際司法裁判所(ICJ)の決定と違い違憲判決を下した」としながら「跳び越えることのできない障壁ではない」と話した。

ソウル地域裁判所ハン部長判事も「慣習法に対する解釈問題と外国政府に不法行為の責任があると判決する可能性も充分だ」と指摘した。

一方、2013年にソウル中央地方法院で慰安婦訴訟を担当したイ・ヨンジン憲法裁判官は、関連論文で「重大な人権違反行為などに対しては、国家責任免除理論を適用できないという主張も出てきている」としながら「関連条約の加入、立法、国際的共助などを考慮する必要がある」と指摘した。(機械翻訳 若干修正)

※(参考)イタリア vs ドイツ
 イタリア裁判所がドイツ敗訴判決
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 ドイツが国際司法裁判所に提訴
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 国際司法裁判所がイタリア敗訴判決。『国家の主権(=裁判権)免除という慣習国際法規範の遵守をイタリア政府に対して命じた』[2012年2月3日 Jurisdictional Immunities of the State(Germany v. Italy:Greece intervening), Judgment, International Court of Justice, General List No. 143]
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 イタリアが判決に沿った国内法制定。『(一部抜粋)国際司法裁判所が,イタリア国を当事者とする訴訟手続を解決する判決をもって,他国の特定の行為が民事裁判権に服することを否定した場合,当該行為に関する係争が係属している裁判官は,裁判権の存在を承認する,既判力の発生した未確定の判決をすでに下した場合を含め,職権により,訴訟の状態及び審級に関わりなく裁判権の欠如を認定するものとする。』[2013年1月14日 法律第5号第3条 Adesione della Repubblica italiana alla Convenzione delle Nazioni Unite sulle immunità giurisdizionali degli Stati e dei loro beni, fatta a New York il 2 dicembre 2004, nonché norme di adeguamento allʼordinamento interno. ]
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 イタリア憲法裁判所が国内法を違憲判決。[2014年10月22日 判決238号 Corte Costituzionale, sentenza n. 238]

↓の続報ですが、何も進んでいないようですね。
2018年01月30日