(朝日新聞 2018/11/04)

 韓国大法院(最高裁)が日本企業に元徴用工への損害賠償を命じた判決を巡り、韓国大統領府が沈黙を続けている。文在寅(ムンジェイン)政権は従来、南北関係への支援や朴槿恵(パククネ)前政権を批判する思惑から日本との協力を訴える程度で、必ずしも日韓関係に強い関心を払っているとは言い難かった。国民感情を刺激し、解決が困難な徴用工問題に取り組む姿勢を十分には示せずにいる。

 韓国政府は判決があった10月30日、李洛淵(イナギョン)首相の名前で声明を発表。文在寅大統領は11月1日、国会で施政方針演説をしたが、徴用工問題には触れなかった。大統領府関係者は「国務総理室に任せてある。我々は関与しない」と語る

 文政権は従来、外交分野で南北関係を最重要課題としてきた。また、慰安婦問題を巡って日本と対立した朴前政権を意識して、未来志向の日韓関係を訴えたが、朴前政権が日本と合意した慰安婦合意には冷淡な態度を取っている。

 韓国外交省も、大統領府に十分な意見具申ができなかった。日本を担当する外交省東北アジア局幹部らは近年、慰安婦問題の処理など政治案件に巻き込まれて次々に更迭された。外交官出身ではない康京和(カンギョンファ)外相の発言力も弱く、大統領府への影響力はなかった。

 大統領府関係者らは徴用工問題について判決前、「日本がなぜそれほど敏感に反応するのか理解できない」と語っていた。与野党が一致して判決を支持するなか、「知日派の李首相に任せる」「問題が沈静化するまで時間をおく」といった方針しか決められないでいる。韓国政府は判決を受けて関係省庁会議を立ち上げたが、対応策を発表する見通しは立っていない。 11月末の主要20カ国・地域(G20)首脳会議の機会までに日韓首脳会談を開けない場合、関係修復の機会を逃すという懸念の声も関係者の間で出始めている。(ソウル=牧野愛博)


ムン大統領は、2012年に最高裁判断を受けた訴訟の一つ↓である三菱重工業を相手にした損害賠償訴訟が提起された2000年当時、法務法人プサンの弁護士で、訴状提出、準備書面、証拠資料提出など裁判に直接関与し、2006年11月に辞任したらしいです(大統領府の仕事が忙しくなったから?)。

2012年05月26日
2017年05月24日

大統領が関与すると、韓国政府の整合性、ムン個人の整合性のどちらかがとれなくなるので「しない」ではなく「できない」のでは。