(読売新聞 2018/10/30)

 韓国大法院(最高裁)が新日鉄住金に韓国人元徴用工への賠償を命じる判決を確定させたことを受け、河野外相は30日、「日韓請求権協定に明らかに反し、日本企業に不当な不利益を負わせるものだ。日韓の友好協力関係の基盤を根本から覆すもので、断じて受け入れられない」とする談話を発表した。

 その上で、韓国政府に対し、「国際法違反の状態を是正することを含め、適切な措置を講ずる」よう求めた。適切な措置が講じられない場合は、「国際裁判も含め、あらゆる選択肢を視野にいれ、毅然きぜんとした対応を講ずる考えだ」とも強調した。


(外務大臣談話)
平成30年10月30日

1 日韓両国は,1965年の国交正常化の際に締結された日韓基本条約及びその関連協定の基礎の上に,緊密な友好協力関係を築いてきました。その中核である日韓請求権協定は,日本から韓国に対して,無償3億ドル,有償2億ドルの資金協力を約束する(第1条)とともに,両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題は「完全かつ最終的に解決」されており,いかなる主張もすることはできない(第2条)ことを定めており,これまでの日韓関係の基礎となってきました。

2 それにもかかわらず,本30日,大韓民国大法院が,新日鐵住金株式会社に対し,損害賠償の支払等を命じる判決を確定させました。この判決は,日韓請求権協定第2条に明らかに反し,日本企業に対し不当な不利益を負わせるものであるばかりか,1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の法的基盤を根本から覆すものであって,極めて遺憾であり,断じて受け入れることはできません

3 日本としては,大韓民国に対し,日本の上記の立場を改めて伝達するとともに,大韓民国が直ちに国際法違反の状態を是正することを含め,適切な措置を講ずることを強く求めます

4 また,直ちに適切な措置が講じられない場合には,日本として,日本企業の正当な経済活動の保護の観点からも,国際裁判も含め,あらゆる選択肢を視野に入れ,毅然とした対応を講ずる考えです。この一環として,外務省として本件に万全の体制で臨むため,本日,アジア大洋州局に日韓請求権関連問題対策室を設置しました

(平成30年10月30日(火曜日)16時22分 於:本省中央玄関ホール)

冒頭発言
【河野外務大臣】日本と韓国は1965年に日韓基本条約並びに関連協定を結び,日本が韓国に資金協力をすると同時に請求権に関しては完全かつ最終的に終わらせたわけであります。これが国交樹立以来の日韓両国のいわば関係の法律的な基盤となっていたわけでありまして,今日の韓国の大法院の判決はこの法的基盤を韓国側が一方的かつかなり根本的に毀損するものとなりました。日本の企業あるいは国民がこの判決によって不当な不利益を被ることがないように韓国政府において毅然とした必要な措置をとっていただきたいというふうに思っております。法の支配が貫徹されている国際社会の中ではおよそ常識で考えられないような判決でありますので,韓国側には韓国政府にはしっかりとした対応を取っていただきたいと思いますし,日本としてはまず韓国政府のしっかりとした対応が行われるということを確認をしたいというふうに思っております。私からは以上です。

質疑応答
【記者】今回の判決を受けて日韓関係の悪化を懸念する声がありますけれども,その辺どのようにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】この請求権協定というのは日本と韓国の言わば国交の法的基盤となっていたものでありますから,この基盤が毀損されることになればですね,日韓関係に影響が生じざるを得ないということになる可能性もあります。日本政府としては,まず韓国政府が毅然とした対応をとってくれることを期待を致しますが,それがとられない場合には,国際裁判を含め,あらゆることを視野に入れた対応をせざるを得ないと思います

【記者】韓国側の大使とお話されてきたと思いますけれども,そこでの反応というのはいかがでしたでしょうか。

【河野外務大臣】大使にはしっかりとこうしたことを韓国政府に至急伝えて頂きたいということと,日本政府の口上書をお渡しを致しましたので,至急転送願いたいということを申し上げました

【記者】今後,康京和(カン・ギョンファ)外相との電話等をお考えでしょうか。

【河野外務大臣】必要とあらば行います。

【記者】今回送られた口上書にはどのようなことが書いてあるのでしょうか。

【河野外務大臣】今申し上げたようなことを書いてあります。

【記者】韓国政府に期待する毅然たる措置というのは具体的にはどのようなものを想定されていらっしゃいますか

【河野外務大臣】韓国政府が日本の国民あるいは日本の企業に不当な不利益をもたらさないようにとらなければならない措置というのはよくご理解されていると思っております

【記者】大使からは何か反応,説明はあったのでしょうか。

【河野外務大臣】至急,そのとおりに正確に転送するという話を頂きました。

【記者】日韓請求権協定3条に基づく2国間の協議の申し入れというのは現段階ではどのようにお考えでしょうか

【河野外務大臣】韓国政府がこの判決を受けて,しっかりとした対応をとってくれるというふうに私は今思っております

【記者】日韓関係に影響を生じかねないということですけど,北朝鮮問題の対応の連携への影響というのはどうお考えですか。

【河野外務大臣】そうしたことに影響が出ないように韓国政府がきちんと対応をとってくれることを思っております。